ポップバンドの宿命、それは常にヒット曲を出し続けなければならない事。それが、もしデビュー作でビッグヒットしようものなら、次作からのプレッシャーは相当なものだろう。
カッティング・クルーは1986年イギリスから登場、とびきりメロディアスでポップな曲「愛に抱かれた夜」が世界的にヒットした。物悲しい鳴きのギターが印象に残る、情感たっぷりに歌い上げるヴォーカルがまた良いのです。
アルバムからは「夢のうつろひ」「サハラの誘惑」もヒットしただろうか。
原題は『BROADCAST』といって、よく聴きました。
しかし、このアルバム以降2・3枚出したようですが、ファースト程のヒットはしなかったと思います。私も2作目は買おうという気にはなりませんでした。このアルバム1枚あれば充分という……
何故なんだろうと考えてみると………
(1)ロックに不可欠なカリスマ性がなかった
(2)ルックスが平凡
(3)サウンドに目新しいものがなかった
(4)サウンドに切れがなく、刺激がない
(5)明確なコンセプトがない
特にイギリスのバンドには上にあげた要素は不可欠であろうと思います。
メロディーのみで勝負するには、極上のコーラスやハーモニーが必要だと思われます。カッティング・クルーはリードヴォーカルにギターがハモルスタイルで、そこら辺も地味に聞こえてしまう。中途半端な印象を持ってしまう。
「愛に抱かれた夜」が彼らの最高傑作で完成形、これ以上の物を望むべきでもないといったところで、またそれを超える曲も出来なかったと考えればいいのでしょうか。
でも『愛に抱かれた夜』は80年代記憶に留めておきたいアルバム、名曲であることは確かです。