例えばペット好きな人が、何故か長年飼っている犬や猫の顔に似てきてしまうという現象が良くあります。
もしくは仲の良い夫婦が、長年連れ添っていると顔立ちや性格が似てきてしまう、似ているなぁという事を思った事がありませんか。
それは安心感や安堵感といったものが表情を柔和にさせることに作用して、似たような顔に見えてしまうのではないかなどと思ったりします。
そしてもっと究極なのは仲の良い老夫婦の片方がこの世を去ったとき、数日後すぐ後を追うように片われがこの世を去っていってしまう。実際私の身近で同じ日に死んでいった老夫婦がいました。その時私は悲しいというよりは、美しい死に様だなぁという想いを持ちました。これこそ愛の究極の形なのかなぁなんてね。
一見ベン・フォールズとは何の関係のない様な話ですが、『ROCKIN’ THE SUBURBS』
の最後の曲である「THE LUCKIEST」という曲を聴いていてそんな事が思い浮かびました。
《THE LUCKIEST》
♪最初はいろんなことが
ちゃんとわからなかった
他人の意見に惑わされてばかりいた
今はわかる 道を間違えたりつまずいたり
転んだりしたからこそ ここにたどり着いたのだと
初めて君の愛らしい顔と出会うまで
僕はいったいどこをさまよっていたんだろう
今は君がいつもそばにいてくれる
わかっているよ
言い表す言葉が見つからないほど
君を愛しているんだ
隣に住む
おじいさんは
もう90歳を過ぎて
ある日眠りながらこの世を去った
おばあさんは数日後
安らかにそのあとを追った
変な言い方しかできなくてごめん
だけど分かってもらえる?
僕らはそんなふうになれるさ
わかってるよ♪
世間を知るという事、そして真実の愛というものは、紆余曲折があって初めて分かることだという。そして出会い、こんな出会いに巡り会うチャンスは一生に一度あるかないかなのだろう。この曲が切なく聞こえるのは、もしかしてあの時のボタンの掛け違いが、自分の心の中に眠り続けているからでしょうか。
《STILL FIGHTING IT》
♪みんな知ってる
大人になるのは辛いことだって
だけどそれは誰もが通る道なんだ
またここに戻ってくるなんて運命の巡り合わせ
君に教えてあげよう
長い年月が過ぎたけれど
僕らはまた同じように戦ってるのさ
残念だけど
君は僕に似ているよ♪
ベン・フォールズ・ファイブ解散後のファーストソロアルバム『ROCKIN’ THE SUBURBS』、ベン・フォールズはこのアルバムをほぼ1人で作り上げたといいます。ピアノ以外の楽器も自分で演奏して。
心に染みるメロディー、美しいピアノとストリングス、そして素晴らしい詩、文句のつけようのないアルバムです。
ボタンを掛け違えた私はもう駄目だけど、皆さん素晴らしい出会いをしてくださいね。(笑)