《マシュー・ベラミー(vo、g、key)を中心にして英国南部のデヴォンで結成された3人組ロック・バンド。10代からポップなメロディと激しいギター・サウンドで“ポスト・レディオヘッド”と期待される。1999年のデビュー・アルバム『ショウビズ』が本国より先に日本や欧州周辺諸国で火がつき、逆輸入される形で英国でブレイク。01年の2ndアルバム『オリジン・オブ・シンメトリー』でより華麗で耽美的に変身を遂げて全英第3位と躍進。》~CDジャーナルより~
奇しくも9月16日は、【クイーン】の影響下にあるUKのビッグアーティストの新譜の発売日であった。それは【ミューズ】と【ミーカ】。ロックとポップの違いはあるけれど……。しかもアルバムカバーまで宇宙的なコンセプトという共通点でした。もちろんどちらも大ファンな私は両アルバムとも購入しましたよ。で、今日はとりあえずミューズの『THE RESISTANCE』の方を書くとします。
ウェブ上の小さな絵では分かりにくかったけど、宇宙空間のタイムトンネル上に直立している男がいて、その先には宇宙一美しい惑星“地球”がある。かなりロマンを掻き立てるカバーで気に入ってしまいました。紙ジャケットの感触も最高に良いです。聴く前からワクワク感で一杯、さて音はどうだったか。
結論から言って、もう最高の出来です。楽曲のテンションの高さは相変わらずで、今回も心臓の高鳴りは押さえられない。それでも、聴きやすさは増しているような感じです。ハードコアなバンドからワールドワイドに通用するバンドとして、サウンドのバランスは調整されているような気がします。
今作の高揚感はロックと言うよりも、
クラシックのオペラや管弦楽の乗りに近い。「UNITED STATES OF EURASIA」ではクイーン張りの多重コーラスで昇天して、何と
ショパンの「ノクターン」まで出てくる始末。それもフル演奏だ。おいおい、我々オーディエンスをどこまで痺れさせれば気が済むのだろう。そんなに泣かせたいのかい!?
「GUILDING LIGHT」の楽曲のねちっこさ、粘っこさにも痺れる。ベースの波動は魂を揺さぶるのに充分すぎる。
一転ヘビーロックのギターリフが炸裂する「UNNATURAL SELECTION」「MK ULTRA」へと続く流れもお見事。
穏やかな曲調の「I BELONG TO YOU」は前後の曲の融和剤的な役割も担っていて、
違和感なくクライマックスへと流れていく構成に寄与していると思う。
9曲目の「EXOGENESIS:SYMPHONY PART1」からの3曲は交響曲3部作だ。ホルストの「惑星交響曲」みたいな弦楽音。もうこれは本格的にクラシック。5作目にしてミューズの本心を見せられたような気がする。自分達がやりたかった音楽はロックンロールではなく交響詩。主役の旋律を奏でるのがギターからピアノへと転換。再びショパン的なピアノソロに導かれて、旅は終わる。いや、始まったのかもしれない。
音楽的バックグラウンドは偏執狂的なこだわりで、妥協がない作品。これはセルフプロデュースの効果ではないかなと思う。それでいて、従来のミューズらしさ(特に初めの3曲)も残していて、核心部分に流れていく構成は見事としか言いようがない。
結果的にエンターテイメントな作品にはなっているけど、あくまでも結果。目的化しつつある【コールドプレイ】とは違う。音楽一家で育ったマシュー・ベラミーの才能が一気に花が咲いたアルバムかなぁ。
凄いバンドですね。ミューズって。
RESISTANCE