ハムバッカーのタップ回路 その1
今回はギター回路の話題です。
実はパッシブ楽器の回路を考えるのが一番の趣味なのですが、数少ない知人であるこいち時間のこいちさんとやりとりしていて
ギターのタップ回路についての話になったので解説をこちらでも公開したいと思います。
まず、「タップ配線とは」って所からですが
ハムバッカーのピックアップは2個のコイルが直列で配線されているので、配線のアレンジによってコイル1つのシングルコイルとしても鳴らす事ができます。
タップ(中間点)を引き出して切り替えるので一般的にそう呼ばれます。
シリーズハムバッカーはコイルが2倍になってしまうため電気特性的に高音域が落ちやすく、また他にも位相など様々な要因から、独特な音色となります。
そこで、ハムバッカーの片側のコイルのみ使う事で、ギターを変えずにシングルコイルの煌びやかな音色を得られる回路としてよく採用されています。
手軽に「シングルらしい音」という分かり安い音色幅を持たせられるのでなかなか扱いやすい回路です。
個人的にシングルの音色はコイルに依存する周波数特性よりも、マグネットに依存するアタック感などのレスポンスが重要なポイントだと思ってるので「シングルの音」、と考えると少々めんどくさくなりますが…音色幅と使いやすさは素晴らしいと思います。
タップ回路は中々奥も深く、理解してうまく使えば役立つので中々見ない内容を折り込みながら詳しく解説したいと思います。
アレンジとしては最もメジャーな回路なので
スルーされがちですが、興味のある方は参考までにどうぞ。
まず、一般的なタップ回路です。
スイッチでタップ線をグランドに落とす事で、片側の出力がグランドに落とされると共に、2個目のコールド線が接地されるので、回路上はシングルコイルと同様と見ることができます。
右の図のように形を書き換えただけで、かなり理解しやすくなるかと思います。
ギターの回路では、引き回された配線の
どこが電気的に同じラインか、という部分が非常に重要になります。
これが見られるようになると、複雑な回路になってもよく見れば、
ピックアップ
抵抗で制限
コンデンサで高域だけスルー(低域だけ制限)
そしてショートとグランドアース程度の組み合わせでしかないので電気の流れ方を深く見ることでしっかりと理解できます。
ハムバッカーでのタップ回路自体の起源は不明ですが
ディマジオ社からデュアルサウンドという名前で4芯ピックアップが出た前後の時代ではないかと思います。
デュアルサウンドでは通常の直列接続から並列接続の切り替えを推奨していた気がするので、タップ回路は若干遅れて普及した可能性もありますね。
詳しくご存知の方いましたらご教授頂けるとありがたいです。