2021年の世界10大リスク
1月5日にアメリカの国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いるユーラシア・グループが今年の10大リスクを発表しました。1. 米国の分断 トランプ大統領の選挙結果受け入れ拒否が米国の深い分断を浮き彫りにしています。 COVID 19ワクチン接種がスムーズに進んで、パンデミックが抑制されれば、 バイデン氏が共和党からも一定の政治的評価を得る可能性があるものの、 厳しい課題が続く予想です。2. コロナ問題長期化 COVID 19ワクチンは世界が21年に正常化に向かうことに寄与するものの、 各国がワクチン接種のスケジュール達成に苦しみ、パンデミックが高水準の公的債務や離職者、 信頼の喪失という負の遺産を残すと予想。3. グリーン化 米国はバイデン政権下で炭素排出の実質ゼロ目標など気候変動のイニシアチブに 再び参加しようとしていますが、「より野心的な気候変動対策による企業や投資家のコスト」と 各国・地域の計画協調を「過大評価することによるリスク」があると ユーラシアは指摘しています。 中国や欧州連合、英国、日本、韓国、カナダも国内・地域経済をより環境に優しいものにすると 表明しています。4. 米中緊張関係の波及 米中間の経済関係は今年、これまでほど対立的ではなくなるだろうけれども、 米国から同盟国へのストレス波及や他国へのワクチン配布での競争、グリーンテクノロジーに 関する競合により、緊張が再燃する可能性がある可能性を指摘しています。5. データ競争 国境を越えたデジタル情報の流れが鈍るに伴い米中間の競争が最重要となって、 データに依存する企業の課題になる事。中国政府は恐らく国外技術への依存を減らし続け、 米国は国民の個人情報を安全に保つ取り組みを進めると予測。6. サイバーリスク 自宅からテクノロジーにアクセスする人々が増える中で、サイバースペースにおける国家の 行動に関する世界的ルール作成で政府・民間部門の両方でほとんど前進が見られず、 攻撃やデータ盗難の可能性が高まる。7. トルコ トルコは昨年、危機を回避することが出来ましたが、21年に入っても脆弱なまま。 エルドアン大統領は4月-6月に再び圧力に見舞われ、景気拡大を促そうとするかも しれないけれど、そうすることで社会的緊張をあおる恐れがある。8. 産油国にとって厳しい年になる 中東・北アフリカのエネルギー生産国で抗議活動が激化して、改革が遅れる可能性がある。 歳入の大半を石油から得るイラクは基本支出予算の確保や自国通貨安の阻止に苦しむ公算が 大きい。9. ドイツのメルケル首相退陣 ドイツのメルケル首相は欧州で最も重要なリーダーであり、同首相が去れば欧州の リーダーシップが弱まることから、今年後半のメルケル首相退陣が欧州最大のリスクだと分析。10. 中南米が抱える問題 中南米諸国がパンデミック以前に直面していた政治・社会・経済問題が、一段と厳しくなる リスクがある。アルゼンチンとメキシコでは議会選挙が行われ、エクアドルとペルー、チリは 大統領選挙を控えている。ポピュリズムに訴える候補者が増え、特にエクアドルでは同国の 国際通貨基金(IMF)プログラムと経済安定を危うくする可能性がある。