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そこで部品を当時の物で揃えてみました。先ず同調用コイル。これはバスケット巻きで線間容量が少なくローロス・タイプと呼ばれていました。以前にヤフオクで落札しました。ここまで美しく3次線まで巻かれた物は見た事が無く、どんなに高値になっても落札しようと決意した逸品です。再生量は2次線と角度が可変出来るチックラーコイルで水平位置で結合が最も密となり垂直だと最も疎になる様に調整出来ます。チックラーコイルは直ぐに姿を消し、この3次コイルを水平位置で固定し豆コン(最大50pFくらいのバリコン)を直列に接続したタイプに変わって行きました。 バリコンはギルフィラン・タイプと呼ばれる物です。米ギルフィラン社は1924年から5球式ニュートロダイン受信機と、それを構成するパーツの発売を開始しました。日本に輸入されてその簡単な構造を模倣して多数の日本メーカーも発売を開始しました。しかし日本の模倣品は粗悪品が多く、ほとんどがステーターとローターが接触してしまう精度の悪い物ばかりでした。私のコレクションの中には、この日本製の粗悪品も沢山あります。その中からぎりぎり接触しない物を探し出しました。 レシーバーは祖父から父、そして私へと引き継がれた物です。JOIK札幌放送局が放送を開始したのは昭和3年6月5日、まだ父も母も生まれていません。おそらく大正末期のラジオブームの中で待ちに待った札幌放送局の開始をこのレシーバーで待ち受けていたのだと思います。これはフランス製で文献によると家一軒が買える程の価格だったとありますが、これは誇張し過ぎと思われます。しかし当時のレシーバーはラジオのパーツの中では最も高価だったのは事実です。一体このレシーバーでどんな回路のラジオで祖父は札幌放送局を受信していたかは謎です。祖父は随分以前に他界、父はこのレシーバーを使用している祖父の姿は見た事は無いと言っています。 放送開始当時のアマチュアのラジオ製作は木製のブレッドボードにパーツを配置し、これにベークライト製の正面パネルを付けた物が一般的でした。私もこのスタイルに則って製作をしようと思います。メーカー製のラジオはこれを木製の箱に入れただけで、アマチュアとプロの差があまり無かった時代です。金属製のシャーシが登場するのは1920年代終盤に電源を電池に頼るのでは無く商用コンセントから取る時代になってからです。電池からでは想像もつかない電力が取り出せる商用コンセントです。最も恐れられていたのは火災で、それくらい当時の部品の信頼性は低かったのです。高品質で美しいラジオを生産していた米アトウォーターケント社も最初に商用コンセントから電源を取り入れた製品は頑丈な鉄ケースできっちり全体を包んで故障が発生しても絶対に炎が外に出ない構造になっていました。
「ヴィンテージラジオ物語」田口達也氏著、1993年発行 「音響道中膝栗毛」伊藤喜多男氏著、1982年発行 「70 YEARS of RADIO TUBES and VALVES」John W. Stokes氏著、1982年発行 「オーディオ用真空管マニュアル」一木吉典氏著、1985年発行 「ラジオ工学教科書」第1部第1巻~第3巻、社団法人ラジオ教育研究所、1948年初版発行 その他、インターネットでのピンポイント詳細調査など。 その後、UX-200 1球式再生検波ラジオ用のグリッドリーク(グリッド帰路抵抗器)とこれに並列に入れる250pFを探しましたが見つかりません。確か米サンガモ社製の立派な物を持っていたはずなんだけど・・・一時、シャックの中があまりにもラジオだらけで邪魔でしょうが無く、10台以上骨董屋に売った事があります。あの時に貴重なヴィンテージ部品を付けたまま売った可能性があります。ヴィンテージは絶対手放さない様に気を付けていたのですが・・・ パワーパック構想 ヴィンテージ・ラジオ時代の電源は当然ながら電池です。A電池はフィラメント用の6V、電流容量が多いので自動車用6V鉛蓄電池を使用しました。これは充電する事により繰り返し使用が可能です。B電池はプレート用の90Vと中間セルから取り出した45V。乾電池を60セル直列につないだ物が販売されていました。C電池はバイアス用の-4.5Vで、これも乾電池を3セル直列につないだ物が販売されていました。6Vの鉛蓄電池はオートバイ用として現在も入手可能ですし、C電池はバイアスを与えるだけで電流は流れないので単三乾電池3個で済みます。問題はB電池です。乾電池を60個も直列につなぐ気力はありません。そこで、これらの電圧を商用コンセントから取り、定電圧パワーパックを作ってみようと考えていました。現代の部品を使えば容易に作成可能です。電源はラジオ本体から切り離された別物なのでヴィンテージ違反にはならないと自己判定していました。そこで思い出したのですが、かつて、5球ニュートロダイン動作機を雑誌にも登場する、とある有名な方から納得出来る金額で譲って頂きました。しかしこのラジオはリアパネルの電池接続図にC電池の表記が無く、譲って頂いた方に電話をして「抵抗バイアスだからC電池は不要なのですか?」と尋ねました。返って来た回答は「真空管での整流は電解コンデンサーの容量を大きくするとカソードを傷めるので小容量にして下さい」でした。確かに合っていますが、質問の答えには全くなっていません。雑誌に登場するような日本で著名なコレクターであっても知識はこの程度なのかとあきれてしまいました。結局その後、このニュートロダインに電源を投入する事は無く居間の飾り物として現存しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 26, 2019 07:01:08 PM
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