朝、起きたら国分寺のEsが10Mまで伸びていました。14MでCQを出し続る事約1時間、7M CW WACAラストの五島市のSCAさんよりコールがありました。7M QSYをご指定されたので即QSY。無事QSO完了しました。SCAさん、大変感謝致します。
Amazonへ発注していた6V鉛蓄電池が届いたのでレオスタットで電圧を調整し、UV-200のフィラメントを点灯させてみました。電圧は定格の5Vの約半分、2.52Vです。レオスタットを実際に使ってみるのは初めてですが、触れないくらい発熱しています。この時代、電力を捨てて苦労しながらラジオを聞いていたのだなぁと感じます。
レオスタットを回転させると所々接触不良を起こすポジションがあったので、現在錆び落とし剤に浸しています。およそ95年前に製造された物なので、接触不良があっても動作するだけで見事です。流石、第一次世界大戦後の大好況のアメリカ製、作りがしっかりしています。この時代の日本製の物もコレクションしていますが全て接触不良どころか接触するポジションが全くありません。
ここまで綺麗になりました。まだ濡れているので通電は出来ません。この錆び落とし剤、20年程前にヴィンテージラジオの蒐集を始めた時から使っていますが、未だ健在。
錆びを落として再点灯させてみました。接触不良ポジションが無くなったので最大定格近くの4.85Vまで上げてみました。この、フィラメント電圧を可変する事によりμが調整可能なのは、惰性が無いタングステン製フィラメントの成せる技です。しかし、フィラメントを傷めない様、なるべく内目に使う事が肝要です。でも当時、真空管のフィラメントを点灯させると読書が出来たと言う笑い話があります。
ゲルマニウムダイオードとショットキーバリアダイオードのVfを測定してみました。1N60のVfは0.223V、型番不明のショットキーは0.170V。ゲルマラジオはショットキーバリアで作った方が歪が少なさそうです。先日作ったトイレットペーパー同調コイルラジオのショットキー版をそのうち作ってみます。
これは米ギルフィラン社がハゼルチン博士のライセンスを取得し、1924年から発売を開始した5球式ニュートロダイン受信機GN-1です。高周波増幅2段、グリッド検波、低周波増幅2段の構成です。TRF(Tuned Radio Frequecy)増幅2段は使用されている万能管UV-201のグリッド・プレート間容量が8.1pFと大きく発振しやすいため、高周波コイルが平行でも、最も結合が疎になる58度に傾けてあるのが特徴です。また、2次側コイルの中間から前段に負帰還をかけ、安定度を確保したのが特許の由来です。日本に輸入されたのは、発売開始から2、3年後で、銀座の林商会で500円で売られていたそうです。現在の貨幣価値に換算すると約100万円です。完成度があまりにも高く、日本メーカーもこぞってギルフィラン社の部品を模倣して発売しましたが、全ての日本製の部品は本家に劣ります。日本のエレクトロニクスは、このラジオの模倣から始まったのです。その高値から日本での実売数は少なく、博物館クラスです。田口達也氏著「ヴィンテージラジオ物語」で、このラジオの存在を知ってはいましたが本物に出会ったのはヤフオクでした。あの時、どんなに高値になっても落札しようと決心した私のコレクションの中で最高峰の物です。落札価格はキャンディーズの直筆サイン色紙よりも高かったです。でも低周波増幅段間結合トランスが断線していて、このままでは鳴りません。当時のラジオの故障はこのトランスの断線が最も多く、生きているトランスに現在出会うのは稀です。このラジオもテストランとレックスの物に入れ替わっていますが、その後また断線した様です。私の頭を悩ませるのは、このラジオをレストアしても良いか否かです。トランスがオリジナルでは無くてもヴィンテージラジオ時代に行われた部品交換です。良識あるコレクターなら、現状維持のまま、劣化させず保存すべきと言うはずです。今の所、手を入れる気はありませんが、発売から100周年の2024年に断線トランスを残したまま、バイパスする方法でレストアするかも知れません。その際には後から手を入れた事が分かる様に痕跡を残す事にします。痛んだ美術品を修復するのと同じです。