京都骨董ふしぎ夜話
獅子ししゃもさんの ちょっと不思議なミステリーです。 京都骨董ふしぎ夜話 (メディアワークス文庫) 「鸚鵡の愛」・・・春一番が吹いたと言うその日、祇園の南のはずれにある鳴神小路に立つ<桃枝骨董店>の使用人・天草は早々に暖簾をしまい、師父のわがままに応じたあと、ご馳走の買出しに出かけた。師父の孫・光お嬢さんが横浜の全寮制の学校を卒業して七年ぶりに帰ってくるのだ。食材を買い込み店に戻ると、そこには見慣れた二人の男が…礼田刑事と安東刑事が、空き巣の被害の物品の手配書と共に来ていたのだ。そして、もはや幼いお嬢さんではなくなった光お嬢さんは帰宅早々天草にだけなぜか、ご機嫌ななめ。おまけに師父の親友で能の師範からは不思議な依頼が・・・「呪いの古銭」・・・お嬢さんの学友で、姉妹のような間柄の樹里さんが京都に遊びに来ることに。しかし、天草を見る樹里さんの目はあまりに厳しく…そして、なぜか安井の金比羅さんに連れて行かれることになった。そう、縁切り神社の名を持つ安井金比羅宮に・・・ 「狛犬、家路をゆく」・・・先日の窃盗事件の狛犬とブレスレットを預かることになった桃枝骨董店に、礼田・安東コンビが来たのだが、どうやら安東刑事は光お嬢さんのことを知っているようだった。「希望の光ちゃん」静岡の浜松出身の彼がそう言った途端空気がピンと張った・・・ そして、師父が倒れた!「冬の日の1995」・・・天草の正体が光にばれてしまったが、天草が<腹が減ったら尻尾が出る>ことは認めようとしないので、過去の日記を探し始めた桃枝骨董の主。そこには犬に化けた狐の話が何代も前から記録されていてた。過去を思い出しながら日記を読んでいた主だが・・・京都が舞台の骨董がらみのミステーで、知った場所が出てくるので読んで楽しかったわ。天草の正体に関しては表紙絵ですでにばればれなので、なにも言いません。ただ、父のふるさとの地名なので、字を見るたびになぜか不思議と親近感が沸いておりました。さて、狐の使用人と、物に憑いた想いの声が聞こえるお嬢さんのコンビのお話はしばらく続くようです。続編も借りております。