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カテゴリ:読んだ! 読みたい!
本屋さんに行くたびに、いつもいつも横目でチラリと、気にはなっていた本。
『バッテリー』というタイトルもさることながら、表紙のイラストも私の興味を惹いていたのだが、なんとはなしに、「まっ、いっか」と見過ごしていた。 ところが、楽天お友達の123maoさんのところで、この『バッテリー』が紹介されていて、食いつくように飛んでいったら、「僕が責任をもって背中を押します」とのお勧めの言葉が...(笑) 早速『バッテリー』&『バッテリー2』とを購入。 自分の球に絶対の自信を持っている、12才の少年、原田巧。傲慢ともとれるその過剰なまでの自信が、周囲の人々ばかりではなく、自分自身をも傷つけていくのだが... 父の転勤で、地方都市新田市に越してきた巧。新田高校を率いて何度も甲子園出場経験を持つ祖父。新しい街で出会った友人、永倉豪。無邪気で病弱な弟、青波。父や母、新田での同級生たち。 巧は、周りを取り巻く人々との関わりを、拒み、関係ないと突きはなし、ただ自分の球を投げることだけに打ち込む。 無造作に体に触れられると、家族であろうとその手を邪険に振り払い、人の感情や反応を思いやる気持なんてさらさらない。 自分をまっすぐに表現することしかできない不器用さ、私は、とたんに彼に惹きつけられてしまった。 まだまだ少年なのに、度量の大きさを感じさせる豪も魅力的だ。巧の球に魅せられたキャッチャー豪は、ぶつかり合いながらも巧との距離を縮めていく。 こんな、いなかの県大会の二回戦で負けたチームのキャッチャーじゃないか。おれの球が、そんなに簡単につかまえられてたまるかよ。 そう思った巧だったが、豪との関わり合いの中で、全力をこめたボールを投げられる喜びを感じるようになる。 4年生になる弟・青波。小さな頃から病弱で、母親の過剰とも思える庇護のもとに大きくなった。すぐ熱を出す、咳き込む、吐き気が襲う、たくさんの訳のわからない症状をかかえながら、育ってきた青波は、子供ながらに忍耐と諦めを身につけていた。全てを保護者に委ねてしまうことが、いちばん楽だということを体が知っている。しかし、新田に越してきてから、青波に変化が表れる。 無邪気に優しい笑顔を持つこの子は、周りを和ませる術を先天的に持っているような少年だ。兄に憧れ、尊敬し、野球をしている姿に見惚れる。いつか僕も兄ちゃんのように野球がしたい...青波の中に生まれたものは...ちびちゃんながらも、こちらも魅力あふれる少年なのだ。 ツッパリ少年の成功物語ではない、野球を通しての友情物語でもない、説教くさい成長の物語でもない。自分が主役であり続けること、自分の主張を通していくこと、自分の自信を絶対と信じ続けていくこと、すべてが、私たちには難しいことだ。現実と折り合いをつけ、周囲にそれなりに気をつかい、感情をおさえ、環境に順応し、諦めるべきことはムリに納得させ、そうして社会生活を送っている私たちには、すべて難しいことだ。 だからこそ、巧に惹かれるのかもしれない。傲慢で、繊細で、冷酷で、一途で、稚拙で、自分を支えているものは、絶対の自信だけ。自由であることのみにこだわり、自分の中にあるものを持て余す。時に「最低なヤツ」と思わせながらも、目が離せない。 「児童文学」としてジャンル分けされているこのシリーズだけど、これってほんとに児童文学なの、と思わせてくれる作品。巧の切れ長の目や、豪の大きな体や、青波の無邪気な笑顔がそこにあり、そして、梅の香り、空の青さ、木々のざわめき、マウンドを吹きぬけていく風までも、読んでいる間中、体に感じていられるようだ。 今回、この『バッテリー』シリーズを読むにあたって、背中をおしてくれたmaoさんに感謝♪ maoさ~ん、お先に2、3と読みましたよ~(^0^) ハードカバーですべて買ってしまいそうな勢いで、原田巧に惚れてしまった私。責任とってね(笑) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【賢人訓より】 《巧言令色鮮し仁》...こうげんれいしょくすくなしじん 愛想よいことばや表情でうまく取り繕う人は、思いやりの心のない人である。 どんなに口達者でお世辞がうまくても、誠意のないことばでは人には伝わらないし、相手にもされない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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