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テーマ:ぶらり見て歩き(684)
カテゴリ:羽駈羽駈旅行記
【雨の糸 大気紡ぎて 梅雨に入る】 【約束を 違えし傷み 四葩かな】 まるまる茸 暑いというよりも、蒸している。梅雨だからしかたがないと、すっかり覚悟を決めるほど降るでもなし、気持ちよく晴れるでもなし、ただただ湿った空気ばかりが体にまとわりつく。どんなに悪態をついてみても始まらないのだが、季節は季節なりの気候であってほしいものだ。大雨に見舞われ土砂災害などがあいついでいる所があると思えば、降るべき雨がまったく降らずに空梅雨の様相を見せている所もあるらしい。茨城でも、梅雨らしい雨はなかなか降ってこない。降りそうで降らない。 この季節に可憐な花びらを密集させて、色鮮やかに咲く紫陽花も、いつもの誇らしげな表情は影をひそめ、なんとなく元気がない。降り続く雨をスポットライトのように浴びて咲く紫陽花。なんだか主役をのがしてしまった女優さんのようだ。 それでもせいいっぱいに色を移し、七変化のまたの名をそのままに、健気にも美しい姿を見せてくれていた。埼玉県幸手市・権現堂の紫陽花。この権現堂は、川に沿った堤・約6kmに渡って、大正時代に植えられた3000本余りのソメイヨシノが、春には見事な風景を見せる。菜の花と桜が一時に見られる場所として、全国でも有名なのだそうだ。満開の時期にはたくさんの人出でにぎわい、週末には国道が渋滞するほど。そんなにぎやかな春が過ぎると、まさに祭りのあと、あまりに淋しいということで、平成8年頃から紫陽花が植栽された。最近では5000株以上の紫陽花が、新緑に染まる桜の木の下で、鮮やかな姿を誇っている。まだまだ小さな株も多く、一部ではまばらな感じはぬぐえないが、紫陽花が咲き揃っている間を散策するのはなかなか風情がある。 お休み処では、縁台で冷たい飲物をいただいたり、わらび餅やくずきりなども食べられる。売店の前に、ここに植えられている60種以上の紫陽花が、鉢植えに展示してある。紫陽花は数え切れないほど、種類が豊富だ。「十二単」「墨田の花火」など日本らしい名前が多いのもなんとなく紫陽花らしい気がする。 墨田の花火 キヨスミサワ ウズアジサイ(別名おかめ) 未来 名は知らない。薄緑色の紫陽花 「あじさい」の名の由来は様々あるらしいが、「あづさい」からきているという説がある。「あづ」は「集まる」という意味。「さい」は「真の藍(さのあい)」。つまり、藍色の花びらが集まった花ということ。土壌の性質によって花の色が変わるという紫陽花だが、白から水色、青、紫、赤と色が移っていくのだから、一概に土の性質ばかりとは言えないかもしれない。 花言葉は「移り気」「移ろい」。あまり名誉な言葉ではないけれど、「辛抱強い愛」「耐える愛」なんていうのもあるから、辛抱しぬいて耐えに耐えたあとにきっぱりと気を移すということなのだろう。と、思っておこう^^;。 俳句の二句目。若かりし頃、結婚を考えていた恋人がいたにもかかわらず、新たな恋に身を投じてしまった我が身を思い返してしまった。「移り気」という花言葉に、思わず傷みとともにその当時を思い出し、詠んだ一句。当時は傷みなどほとんど感じずに、心の趣くまま、本能の趣くままに突っ走っていただけの若さという残酷な時代だった。二十年以上過ぎた今になって、そんな想い出に傷みを伴なうのも、まだまだ生身の心を抱えているということか。人の傷みを思いやる余裕もなかった自分への懺悔、あるいは悔恨...なんにしても、そんな理屈で整理できない時代を経たからこその今があるのだろう。紫陽花を見つめながら、自分勝手に輝いていた頃を、傷みとともに懐かしく思い出したのだった。 花に見えるのは実は「ガク」 真ん中の地味な小さいつぶが花 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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