|
カテゴリ:アメリカ生活の日常
貧困大国アメリカという本を読んで、急に医療への関心が出てきていろいろ調べて見ると、アメリカの医療の実態というかひどさがどんどん浮かび上がってくる。
アメリカの医療というと、一般的には医療先進国というイメージがあるが、それはごく一部の高度医療技術や、お金がある人だけが受けられる医療レベルに限定されることが分かる。 実際に、いろいろなファクターで調べると、アメリカの医療レベルは先進国の中でも下位に属する。 いろいろなファクターというと難しいが、要は、医療にとっての根本的な要請事項として 1.いかにかかりやすいか。(OECDの目標として、家庭医からの紹介から14週間以内に初診を受けられること、というのがあるぐらい、すぐに医者に見てもらうことが世界的には難しい、という事実がある。) 2.いかに的確な医療が受けられるか(医療の質の問題。これは平均寿命や乳幼児死亡率などの統計で数値として比較ができる) 3.いかに安く、全ての国民が公平に受けられるか(医療の最低保証ライン、あるいは保険料や自己負担率など) この1及び2と最後の3.の経済性は相反する内容であることに注意したい。ここから全ての医療問題が発生してくると言っても過言ではない。 そのため、世界中の各国は、それぞれが医療改革を唱えて独自にいろいろな施策を導入しているが、それがうまく機能している国は今の所見当たらない。 その際たるものがアメリカで、先日の日記に書いたように、上記の3項目の中で、2を除いて(この2もお金がある人だけ)、非常に悲惨な状況にあり、国のGDPの中に医療費の占める割合が16%を超えるほど突出しているにも関わらず、その医療レベルはこういった総合評価では先進国中、最低と言ってもいい。 この表を参考に見てもらいたい。いかに悲惨か、というのがよく分かると思う。⇒ 世界の医療比較(1)高齢化との関連 世界の医療比較(2)その他 ここで、気が付くことは、日本の医療のバランスの良さである。 病気になったら医者にすぐかかれますか?日本人ならだいたいすぐ、「はい」と答えるだろうが、ここアメリカで私が「どうもうつ病になったらしい」と気がついてから検査を受けるまでに3週間、その結果別の再検査が必要と言われて、待つことまた4週間、そしてその結果がでてから実際に医者の予約を入れるとまたここで、早くて3週間・・・。うつ病などで実際に診察と治療が受けられるのが、自覚症状が出てから2ヶ月以上も経ってしまい、その間に症状が急速に悪化した経験がある。 また、次の高度で的確な医療、という点でも、当然個々の医者のレベルには格差があるだろうが、総体的に日本のレベルは決して悪くない。 アメリカなどは、年収1000万円ぐらいの人で、保険に加入していたとしても、盲腸炎や出産などでは、入院など出来ず(お金がかかりすぎる。盲腸炎の手術だけで100万円や下手をすると200万円を超える。入院費は別で。)日帰り診療である。 場合によっては、点滴をしながら退院、自宅療養とするしかない場合も多い。これなど日本では考えられないのではないだろうか。 そして、最後の費用の面。この面では国民皆保険(一部、無保険者がいるとは言え、世界的に見たらそんなものはないに等しいほど少ない)のおかげで、高くて医者にいけないとか、医療費が原因で自己破産するなどということ(アメリカでは年に何十万件もある。それも中産階級の人を含めて)は日本ではあまり考えられない。 そして、結局のところ、今現在いろいろな問題(産科医の不足、女医の定着難、医療過誤、保険金詐欺などなど)があり、日本では大問題になって、よくニュースでやっているが、それでも世界的に見たら、日本の医療は世界一、と言ってもいいかもしれない。 特に、高齢化による医療費の高騰は世界中のどの国にも見られる現象だが、日本はその点において、もっともうまくやっている国、と言えるのではないか、と思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.04.01 06:25:02
コメント(0) | コメントを書く
[アメリカ生活の日常] カテゴリの最新記事
|
|