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テーマ:サッカーあれこれ(19851)
カテゴリ:Liga Espanola
予想通りの低調なパフォーマンスだった守備陣と、予想以上のスリリングな展開を見せた試合内容と、予想外の結末を見せた今回のクラシコ。
やはり主役は今年の6月で20歳になるメッシーだった。 試合は5分、テュラムのクリアボールをニステルが拾い、ゴール右に確実に決めレアルが先制。11分にスルーパスからメッシーが決めバルセロナが同点に追いつくも13分、PKのチャンスをニステルが決めレアルが勝ち越す。だが28分、ロナウジーニョの放ったシュートのこぼれ球をまたもメッシーが決めまたも同点に。前半終了間際にオレゲールが2枚目のイエローで退場になったあとはレアルペースで試合が進み、73分、FKからセルヒオ・ラモスのヘディングシュートでレアルが三度勝ち越す。その後も何度か決定機を作るもバルデスの好セーブに阻まれ追加点を奪えない。逆にバルセロナはロスタイム、ロナウジーニョのパスからメッシーが持ち込み三度同点に追いつくゴールを決め、試合終了となった。 バルセロナはこの試合でも3-4-3のフォーメーションで臨んでいたが、明らかにチームとして機能はしていない。ディフェンスラインに3人しかいないことでサイドからの攻撃の厚みが生まれず、中盤は厚くなったものの真ん中に集まりたがる選手がほとんどなので攻撃が中一辺倒になってしまう。さらにはサイドががら空きのためにカウンターを喰らった際のレスポンスが遅く失点の危険性が非常に高い。このフォーメーションを最初に使ったのはオサスナかサラゴサ戦だったが、相手のレベルが幾分落ちるということで一応は成功したフォーメーションだが、その後の強豪相手(バレンシア、セビージャ、リバプール、レアル)には弱点を否応無く突かれ、以前に比べディフェンスの数は減っているのだから失点は増えている。また仮にボールを奪い返したとしても攻撃の開始位置が低いためスピードは落ちている。また新フォーメーションの完成度の低さなのか、それとも別の問題か、以前のような組織としての連動性はなく、ボールを保持している支配率の高さではなく、持たされている支配率の高さに繋がっている。ここ数試合の強豪との連戦に備えてのオプションであったろう新フォーメーションだが、ある程度のレベルならともかく、強豪には通用しないことが分かったのだから、すぐに戻すべきである。 それでも3点を奪うことが出来たのは、やはり個々の技術の高さによるところが大きい。今回の試合において、見た目ですぐ分かるエトーの良さはあまりなかったが、それでもスペースを作ったりボールキープなどでタメを作れるのは前線ではエトーだけだ。それは後半からエトーが下がったあとのバルセロナの攻撃を見ても明らかだ。またロナウジーニョには89分仕事をしなくても最後の1分で試合を決めることの出来るパス能力やドリブルがあり、メッシーもまたスピードとドリブルで相手に脅威を与えることができる。正確な長短のパスを自在に操れるデコやシャビ、2列目からの飛び出しも得意なイニエスタなど、個々の能力は高いだけに、やはりそれらを埋没させることなく組織として機能させるためには3-4-3ではなく4-3-3だろう。 一方、レアルの方は怪我人や出場停止が多くベストメンバーとはいえない。またガゴやイグアインなどの新加入選手も多く、これが本当のレアルの実力ではないように思う。だがベストメンバーになったところで格段に良くなるかといえば、そうとも思えない。メンバーは変わってもカペッロの戦術は浸透しているはずだし、代わって入っている選手のレベルが極端に低いわけでもないからだ。これまで試合に出ていなかったのは、単にカペッロに気に入られているかどうかだけの話であって、他のクラブに行けば間違いなくレギュラーであろうレベルの選手達である。要するに、怪我人や出場停止の多さは不振の言い訳や批判の対象にはならず、これがチームとしての現時点での実力といっていいだろう。 レアルの問題点としてはグティの代替選手の不在と、FWの層の薄さがある。 中盤なら守備的にも攻撃的にも使えるグティだが、カペッロは主に攻撃的に起用している。例えば先日のバイエルン戦はベンチからのスタートだったが、ロベカルのミスなどもあって前半30分あたりでグティがピッチに登場するまでのレアルの攻撃には、正確さもなければスピードもなく落ち着きのなさが一目が分かるほどだった。だが登場後は支柱が1本入ったように、グティを中心に流れるようなパス回しとスピードで相手を圧倒していた。今回のクラシコでも前半は中盤左に位置することが多く、そこを起点として、またバルセロナのフォーメーションもあって、何度もチャンスメイクをし得点にも結びつけた。だが後半から底にポジションを移すと、途端に攻撃のスピードは失われパスもそれほど回らなくなった。グティのポジションやいるいないによって極端にレアルは別のチームになる。ならばグティがいなくてもチームとしてのポテンシャルを落とさないような選手の獲得が必要になってくるのではないか。 カペッロとの確執によってロナウドを放出したレアルのFW陣はニステル、イグアイン、カッサーノのみ。レジェスやロビーニョも使えないことはないが、どちらかといえば中盤のサイドアタッカータイプなので、レアルには3人のFWしかいないことになる。このうちイグアインはまだ若く加入まだ2ヶ月なので結果を求めるのは性急すぎる。またカッサーノや、あえてFWに入れるとロビーニョはカペッロの信頼をそれほど得ておらず、コンスタントな成績を望めない。つまり信頼できるFWはニステル1人ということになり、ビッグクラブでなくても絶対的に数は不足している。ロナウドを放出した際に、カッサーノとオリベイラのトレードをミランに試みていた(結果破談)レアルだが、代わりのFWを獲得できなかったのはクラブのミスであり、今シーズンはこのメンバーで戦う以外にない。 以上、クラシコを見た後の感想や今後のクラブの方向性をまとめたが、今回のクラシコは、なんといってもメッシーのためのクラシコだった。1987年6月24日生まれの19歳が魅せたプレーはネガティブなイメージしか沸かなかった両クラブの将来に唯一見せた、明るい光だった。といってもレアルには関係ないけど。 ほな、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.12 03:34:03
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