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2009年01月08日
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カテゴリ:何とも言えない話
あけおめ。ことよろです。

露 です。

私も黒 並以上に忙しくてなにもできないまま新年が、なんと!
・・・8日になってしまっていました。

私の年明けからの生活は最低で、緊急の外科事が続きに続いた。
私達獣医師にとって、緊急の外科事ほど時間の拘束が多く疲れるものは無い。

中でも昨日は最低最悪の日だった。

朝4時に家をでて、検診をやったとこまでは良かった。
その日はその検診が朝の8時に終わればほとんど急ぐ仕事は無い様に仕事を配置していた。
と、思ったら。
いきなり、午前中に分娩関係の緊急手術が入る。
それが、終わるとまた入った。
その後に、緊急性は乏しいけど、重篤な疾患のまた手術。

そうこうしたら、すっかり夕方遅くになっていた。
もう、食事をする間も無い状態だった。
昼ご飯を午後7時に取り、寝ようかなと思ったらまた来た。

緊急を要すると思われる疾患でまた家を出て、帰ってきて9時。
幸い、この日最も大したことが無かった。
本当に疲れ果てて寝ようと思ったらまた来た。
午後11時の事だった。

分娩関係のトラブル。
指示を出して何とかなると思われたそれが、徹夜への道だった!

「その状態なら、牽引して出していいよ。」
と、状態を聞いて軽く私が言ってしまったこと、これが最大の失敗となった。
私はその農家をかなり把握しているので、この時点で分娩する牛はそれでいいと
本当に思ってしまっていたのだ。

・・・しかし、その子牛は信じられないほどの超過大児だったのだ!!
ここで、農家が超過大児だと言っていれば話は変わったかもしれない。
通常の手段を指示はしなかっただろう。
けれど、疲れていたのもあったのか、通常ならもっとくわしく私は聞くのに何故だかそれをしなかった。
でも、妙な胸騒ぎがして、寝ないで起きていた。

ウチにある手術道具のセットは3組。
今日はもう、使い果たしていて、洗ってあったが滅菌していなかった。
慌ててオートクレーブという滅菌器に道具を詰め込む。
120℃30分というのが滅菌器の必要とする時間。

そして、やはり農家から電話が来た。ちょうど手術器具は滅菌が終わったばっかりの時で、
あまりに熱いから取り出せない時間帯だった。
状況的に引き出せるなら経膣的に分娩させた方が良いと言う判断からとりあえず、本当なら手術道具は必ず持っていくけど持って行ける状態に道具が無いから、相方と農家に向かう。

・・・そこには非常に悲惨な状態の牛がいた。

私はその時、異常な超過大児である事と、母牛の衰弱、そして、もはや、子牛をバラバラにして出す切胎術も不可能な状態を見て、愕然とした。
子牛はすでに、前肢を骨折して、頭が出たところで死んでいた。

フリーストールの牛舎では、絶対に私はストールのあるところで分娩させて欲しくない。
何故なら、通路は糞尿で汚染されていて、分娩する時にストールに入っているとは限らないからだ。その牛は、通路で糞尿まみれだった。出ている子牛の一部も例外でない。

けれど、これは、農家が悪い訳では無い。
・・・あの時安易に引けと言わなかったら、状況をもっと細かく聞いていたらこんな事にはならなかったのだ。

ここから先は、どうやってもどんな手段を取っても母牛を救う道は少ない。
本来なら、こうなってしまったら母牛を安楽死させる事が妥当な手段だと私は思う。
もしくは、死んだ子牛事屠畜場に送ってしまう事。
何故なら、元々汚染が大きい子牛になってしまったら、帝王切開と言う手段は問題外になるのだからだ。腹を開けそこから子牛を取り出す帝王切開は子牛が清潔な状況であって初めて成功する手術だと言える。子牛の体の汚染を母牛の体内に戻す、これは、本来なら決してあってはならないからだ。

しかし、方法は帝王切開、これしか取れない。
「一か八か切るか、母牛の生命ごと諦めるか。」
そう言う選択を農家に言えば、必ず、農家は「切る」と言う。
万が一のラッキーとも言えるものを選択する。

私は、アホみたいにこの商売を長くやってきたので、状況だけ見れば、自分がダメだと思ったときに絶対ラッキーが無い事を知っている。

けれど、顧客の要望には応えるのがこの商売の粋だとも言える。

そうして、午前1時に全てがスタートした。
非常にやりたくない帝王切開。

相方が、糞尿に汚染された死んだ子牛の頭と手を切り落とす間に、私は道具を取りに一端事務所に戻る。

手術道具を用意して農家についたのは午前1時。
寒い日だった。

相方が汚染の多い死んだ子牛の頭と手を切り落として待っていた。
やるなら母牛はせめて救いたいからだ。

手術を開始する。
血のついた手術道具が凍ってくる。
母牛があまりに通路で濡れてしまっている事は最大の気がかりだった。
体温があまりに奪われる。こんな寒い日であればそれが致命傷になりかねない。

腹を開けてすら、また、頭や手が無くても超過大な子牛は腹から取り出す事も困難であったが
何とか取りだし、子宮を縫合して、腹膜を縫合して、筋肉の最後に近い部分を縫合していた時。

母牛の筋肉が、妙な痙攣を起こし始めた。
ぎょっとして、顔をみると、ちゃんと正常な状態でいる。

ホッとしてそのまま縫い進めて行ったその時だった。

突然、呼吸がおかしくなる。
ショックだ!私達の顔から血の気が引いた。

即座に用意していたショックを止める薬を投与するも間に合わず。

そして、そのまま母牛は天に召されてしまった・・・

・・・もう、声も出ない。
こんな事を幾度と繰り返しただろう。
伊達に自分がこの道で長くやっていた訳で無い事を痛感し、すごい徒労感に襲われる。

本来なら絶対にそのまま経膣的に分娩させてはいけない牛を経膣的な分娩に導いてしまった。
そもそもそれが私の元悪だ。
状況説明を、慌てている農家から上手く引き出せなかった事が最悪な結果を生んだ。
死ぬほど反省する。

そもそも相方は寝酒を飲んで寝てしまったところだったので、たたき起こして私の車で一緒に行っていた。
どうして、母牛を死なせてしまったか?
と、帰りの車で二人で反省点を検証する。
これは、私達が必ず行う結果が良くない事をしたとき「次はもっと結果が良いようにするにはどうするか?何が悪かったのか?」という事を検討する、儀式めいた事ではあるが、
一緒に行き来することは少ないので帰りの車の中で珍しくこれをやっていた。
そうして、反省の元に自宅に帰り着いて朝の3時だった。

私は、23時間働いたけど、最後の結果が悪いと本当に人生に徒労感を酷く感じる。

八百万の神様!
農家に「ラッキー」をあげて下さい!





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最終更新日  2009年01月08日 21時30分11秒
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