ふうりん
今は聞えないよね 去年買った風鈴の音 重く厚い雲と どこにも流れることのないよどんだ空気が ここにあるだけ 買ったばかりの薄紫の浴衣鼻緒のきつい木目の下駄 君といれば どんな風景も新鮮で手をつなげば どこへでも行けるような気がしたよ 花火の人ごみで 君を見失うのが一番怖かったんだだって 僕は君が大好きだったから誰だってそうだろう?こんな日が来るなんて思わないんだ もうすぐだろ? きっと聞える風鈴の音 通り雨が降る前の 重く湿った熱風が君の風鈴の先にぶら下がった 紙切れをゆらゆらと揺らすんだ 風呂上りのような君の香り汗で首筋にはりついた後れ毛 君と一緒なら 突然の雷も怖くない手を繋いで 通り雨の中二人で走り抜けていこう 通り雨の中 君の手を放してしまうのが怖かったんだだって ずぶ濡れの君は 儚げで消えそうだったから誰だってそうだろう?あんなこと言われるなんて思わなかったよ サヨウナラ 今年も君の風鈴は少しだけ去年の想い出を残したまま僕の心にその音を響かせる