|
カテゴリ:法科大学院と司法試験
今日で期末試験が全部終わりました。
民法は、判例そのままのモノが中心だったので、多分みんな似たり寄ったりのことを書いていると思います。そういうときは、ちょっとした失敗が命取りになりますから状況は決して良くはありませんが、書くだけは書いたという状態です。 刑事訴訟法は、、できたかできなかったのか相変わらずわかりません。でも、刑事訴訟法のおかげで、冬休みを使ってしまい、民法と民事訴訟法の勉強を結果的に犠牲にしているのですから、なんとかなっていてくれないと困ります。私、これがんばりました。できてなかったら、私の能力も悪いですけど、試験問題や先生の教え方にも多少なりとも問題があると思います(言わせてください、ここでくらい)。 昨日の医事法と今日の家族法は同じ様な出題の仕方で、どちらもA4用紙に3~4枚の判決が出されました。医事法では新しい最高裁判決が出されていて「この判決を読み、被告の立場に立って批評しなさい」というものでした。家族法は地裁判決が出されて「この判決の事実関係を特徴がわかるように簡潔にまとめなさい。」その上で、「この判決における事実認定上の問題点と法律上の問題点を挙げて説明しなさい。」最後に「この判決に対して控訴されたとします。あなたが裁判官だったらどのような判決をしますか。」という問題でした。 去年の家族法の試験も同じ様な出題形式でした。その時は、本当に困ったのです。 これが、全く同じ事実でも、事実関係だけが並べられている問題ならば、苦労は半減すると思います。でも、判決文がついていると、その判決の理屈の中に自分の思考が巻き込まれてしまうので、短時間で事実関係を客観視することがとても難しくなるのです。 判決の前提に自分の思考が乗ったとたんに、背後にある問題点が全く見えなくなってしまう。自分のアンテナのどこかで「これはなんとなくおかしい」と思う部分が一体どこなのか把握できない。これは恐ろしいことです。 去年は、試験時間内にそこから抜け出すことができませんでした。自分の答案の記載が問題とずれていることがわかっていながら、書き続けなければならない状況というのはとてもつらいものでした。去年は、家族法を正規履修した人が2人しかいなかったので、成績は悪くありませんでしたが、これが大勢の中の試験だったらと思うとぞっとします。 今年は去年より少しはマシな答案を書きたいと思い、家族法の聴講生受験をしたのです。でも、家族法の前に医事法も判例批評問題でした。 どんな事件でもそうですが、事実関係は丹念に読まないと何も書けません。医事法の試験は90分の試験で、その中で4枚の判決を読むのは精神的にあせって大変です。でも、判決は認定した事実に基づいて判断されますから、それがどんな事実だったのか同じ土俵に乗らなければ話にならないのです。時間ばかり過ぎるようで気が気ではありませんでした。 それから、事件を客観視するのに時間が少しかかりました。問題点とおぼしき部分を示して並べだした頃に、あと30分という状態で、そこそこの格好に持っていけるかどうか不安な状態でとにかく書きました。できれば、もっと法律の文章らしくまとめたかったのですが、単なる感想文と判例の批評とのぎりぎり境目くらいのところで終わらざるを得ませんでした。あせると漢字も忘れてしまうし、くじけそうになりましたが、あきらめずに最後まで取り組んでいました。 これを基に、パソコンで清書したらそれらしくなるんだけどなあ、と思いながら。 しっかり書けばあと1枚くらいは書かなきゃいけない問題だと思いながら時間切れで切り上げざるを得ませんでした。 先生、90分で問題4枚はきついっす。 でも、試験後にみんなの話を聞いたら、みんなは問題点が発見できずに時間を持てあましていた人が多いようです。多分、去年の私のように、判決の理屈にはまって客観視できなかったのだと思います。 去年痛い目を見た分、私はいくらか鍛えられたのかもしれません。 家族法も同じ様な現象が見られました。家族法は120分の試験ですが、判決の理屈の中から抜け出すのは1年生にはかなり難しかったようです。試験の後、すぐに先生が解説をしてくださいました。私も1点見落としがありましたが、去年の状態に比べたらはるかにマシです。 しかし、やはり1年生は相当ショックを受けているようでした。 こういう問題を解くと、自分が考える以上、自分の先入観とは冷静に対応していかなければならないのがわかります。法律の知識以上に、もっと根っこの部分で押さえなければならないことの必要性が大きいのです。 高裁の裁判官は、これが仕事なわけです。裁判官と言うプロフェッショナルが書いた、一見スキがないように書かれている判決のどこがおかしいのか。それが事実の問題なのか法律の問題なのか。さっと見てわからなければ仕事にならない。弁護士も同じです。すでに出ている判決を高裁でひっくり返すにはどうしたら良いのか。「大枠で捉えろ」「思考を柔軟にしろ」という先生方の言葉の意味がようやくわかってきたように思います。 とにかく、去年に比べて進歩は見えました。良かった。来年はもっときちんとした法律の答案になるように、がんばろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年01月27日 18時32分50秒
[法科大学院と司法試験] カテゴリの最新記事
|