会津キリシタン研究所

【会津の無文字墓石群】

　これらの無文字墓石群も前述の無文字墓石群と同じ村の墓地にありました。そして、この村だけでなく、この一帯の墓地には、こうした無文字墓石が残っているところがあります。ただ、上の写真の一番手前にある墓石は、戒名が彫られていた部分が破壊されていることがはっきり判ります。

　こうした戒名が彫られていた部分が破壊されたのは、最近になってからのことであることは、『会津キリシタン研究　補遺』で明らかにしています。墓石に彫られた逝去年月日からそれが判ります。生前に墓石を建てておく習慣は、会津ではごく最近になって行われるようになったコトであることは、小生よりも皆さんの方がよくご存じであろうと思います。

　そうした墓石の中には、戒名ではなく本名が彫られていて、まだお亡くなりになられていない方のお名前は赤く色が入れられていますが、生前戒名をお受けになられた方の戒名も赤く塗られているケースがありました。

　この村にはまだ何かが残っているはずだと考えています。それを見付けることが出来たら、会津のキリシタン史がもっと明らかになるだろうと思っています。蒲生氏郷以前に、会津にキリシタンが入っていた可能性です。残されている史料間にある矛盾は、それ故ではないかと思われますが、もう少し丹念にこの村とその周辺の村々を訪ねてみる必要がありそうです。