会津キリシタン研究所

【会津の「子安観音」街道】

　前回の下の写真に写っている「子安観音」石仏があるところから、同じ道を走っていくと、この「子安観音」石仏がある村に出ます。但し、村へ行くには旧道を走らないと分かり難いです。そして、旧道を上がっていくと「子安観音」石仏が祀られている祠のところに出ます。そして、その祠の横に石塔が並んでいるのですが、その中の１基が下の写真に写っている「巳待供養」と彫られている石塔です。

　「『巳待』『己待』『已待』は『己侍』である」という伝承が会津にの凝っています。そして、会津のとあるお寺には「己侍」と彫られている石塔が残っています。最初にそれを見付けた時には誤字だと思っていましたが、その伝承をお伺いして誤字ではなかったのだと思わされました。

　あの屋根の上に千木がある神社が建てられている村にも、「巳待」と彫られた石塔が残っています。この村は、『寛文風土記』（１６６６）には出ていますが、『文禄三年蒲生家高目録』（１５９４）には村の名前が出てきていません。当然、石高も記されていません。蒲生家の家臣が帰農した村である可能性は否定できませんが、しかし、この道沿いに残っているモノを考えると、保科正之公が会津藩主になられてから成立した村である可能性が高いと考えられます。

　「会津のキリシタンを伊那高遠から考える」と題した書き込みをしましたが、この一帯の村々は保科正之公が会津藩主になられてから成立したと考える方が蓋然性が高いであろうと思われます。そして、この道を上り続けていくと、峠を越えなければなりませんが、その峠の向こう側にも伊那高遠の香りが残っています。