211574 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

あじ島冒険楽校   「昔の子供たち」から「未来の大人たち」へ 「島の夏休み」体験 宮城県 石巻 牡鹿

あじ島冒険楽校 「昔の子供たち」から「未来の大人たち」へ 「島の夏休み」体験 宮城県 石巻 牡鹿

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2020.03.11
XML

網地島ふるさと楽好

悲しみを背負った子供達から 限界集落の島のお年寄りへ 恩返しのエール

 

虐待等で苦しんできた子や東日本大震災で両親を亡くした子が,幼少の頃から高校生になるまで何度も仙台から車と船で3時間の網地島に来て,島のお年寄りの温かな愛に包まれることで,頑なな心や荒んだ心がしなやかになって,自分自身を大切に思えるようになり,思いやりの気持ちが育まれていきます。14年間の温かな交流により,島のお年寄りが子供達を助けるだけの関係ではなく,成長した子供達から島のお年寄りが勇気づけられるようにもなりました。

 

楽好のきっかけは,当時の行政区長桶谷敦さんの言葉。「限界集落で子供がいない寂しさを自分達はこんなにも感じているのに,島の外に目を向けると,虐待などで命を落とす子供がいる。虐待された子に大切にされ,愛される記憶を一つでもプレゼントしてあげたい」。桶谷さんが,仙台市内の児童養護施設に足を運び,直接働きかけ,2006年,子供達を無料で受け入れる「網地島ふるさと楽好」が始まりました。子供達に何の見返りも求めない恩送りの楽好です。この名称には,「網地島を心の拠り所にして幸せになってほしい」,「網地島で好きなことを思い切り楽しんでほしい」との願いが込められています。

 

仙台市内の4つの児童養護施設の子が招待され,2泊3日の特別な時間を過ごします。初めは警戒している子供も自然と笑顔になっていきます。

島にあるものすべてが遊びになります。オニヤンマとにらめっこする子,島の外ネコと遊ぶ子,杉の葉を使った火起こしに真っ黒になって取り組む子。ちゃっかり味見を楽しむ子,島の魚釣り「あなご抜き」に挑戦する子も。先生は漁師歴60年のおじいさん。厳しい教えも素直に聞き入れ,岩の下に潜む魚と真剣勝負。釣った魚は浜焼きで子供達に御馳走します。自分の魚は愛おしく,骨まで舐めるように食べてしまいます。

 島の食事は,島のおじいさんが海から捕ってきたばかりのうにや貝などを教わりながら,慣れない手つきで下ごしらえから調理。できた料理は,家族のように楽しく会話しながら食べます。「海でひらめを踏んづけちゃった!」「おかずのうにが逃げていくよ!」と,子供達の喜々とした声で島はとても賑やかになります。

 

これまで565名の子供達を招待。費用のすべてを工面し,足りないところは島の方々からいただいた物で賄い,子供達の幸せだけを願い,14年間続けてきました。子供達が喜ぶ姿を思い浮かべながら,うにやあわびやひらめをとり,海藻や山菜をとり,野菜を育て,味噌や梅干しをつくり,一年がかりで準備します。苦労を厭わない理由を「子供の笑顔を見るだけで元気になる」「文集が楽しみだ」と島のお年寄りはさりげなく話してくれます。さらに,気遣いのできる頼もしい高校生に成長する姿を見ることも楽しみになってきています。

 

別れの日,普段は,素直に気持ちを言えない子も,自分から手を挙げて,「ありがと,楽しかった」「ごはんおいしかった」と短いながらも心のこもった言葉を伝えます。島のお年寄りは涙が止まらなくなります。出航では,お互いに見えなくなるまで手を振り続けます。子供達は涙が止まらなくなり,いつまでも泣き続けます。虐待や貧困や震災等で苦しんできたからこそ,島のお年寄りの温かな心を大切に思います。素直に流せる涙が子供達の心を育んでいます。 

 網地島から戻ると,子供達は楽しかった思い出を言葉と絵で表して文集をつくり,島のお年寄りに贈ります。「文集の絵には,島の美しい風景や遊んでいる様子などが描かれていますが,絵の中の人達は,みんな笑顔なんです。私達は,子供達が笑顔の人物を描くことを非常にうれしく感じています」(児童養護施設小百合園園長) 

 

2011年に東日本大震災。10mを超える大津波は,漁船を沈め,電気や水道を遮断。島はおびただしい瓦礫に埋もれました。地盤は1.5mも沈下し,港も海の中に沈んでしまいました。島は完全に孤立し,誰もがもう島には住めないと諦めました。 

 そんな絶望の中,島に子供達から百通を超える手紙が届きました。島を案じた子供達と施設の職員とが相談し,手紙でエールを送ろうと決めたのです。島のお年寄りから心を学んだ子供達の手紙が,震災で苦しむ島の希望となりました。桶谷さん達は,「来年の夏,島に子供達を迎えたい」と奮起。海から打ち上げられる大量の瓦礫を諦めずに根気強く何度も片付け,翌年にはすべて撤去。開校前日には夕方まで,桶谷さん達が,子供達がケガをしないように,小さな破片を丹念に拾い,裸足で入れる海を取り戻しました。観光客は一人もいない子供達だけの海です。

 

2015年に桶谷楽好長が急逝された時,子供達がこれまでのお礼を言いたいと,遠く仙台から通夜に駆けつけました。子供達は桶谷さんのために自分達ができることを話し合い,「今度,島に行ったら,思いっきり楽しむ」と誓いました。桶谷さんは島で思いやりの心を育んだたくさんの子供達に見送られました。島のお年寄りは子供達の温かないたわりの言葉に,悲しみを自分のこととして分かち合える子供達の成長を感じるとともにその立派な態度にとても励まされました。子供達から島のお年寄りへの恩返しのエールです。10年かけて,桶谷さんの思い描いた子供達への願いが叶い,誰にでも誇れる心優しい子供達がたくさん育っています。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.06.16 06:36:02


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

バックナンバー

2024.04
2024.03
2024.02
2024.01
2023.12
2023.11
2023.10
2023.09
2023.08
2023.07

カテゴリ

お気に入りブログ

ながぐづ和吉先生の… ながぐづ和吉さん
あるがままに生きる 島ペンさん
脱サラあるじの太腕… hamamaru7さん
田代島民宿「マリン… ドンガバチョ9111さん
NPOひょっこりひょう… akkechanさん

プロフィール

あじ島冒険楽校

あじ島冒険楽校

ニューストピックス


© Rakuten Group, Inc.