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東京フリー・メソジスト教団付協力牧師 甲斐慎一郎 説教要約

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2006.12.16
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カテゴリ:カテゴリ未分類
「ザカリヤへの告知」
                 甲斐慎一郎
                 ルカの福音書、1章5~25節

 バプテスマのヨハネは、「あらゆる人が、神の救いを見るように
なる」ために、キリストの先駆者として「主の御前に先立って行き、
その道を備え」た人です(3章6節、1章76節)。ルカは、キリス
トの誕生を記す前に、このヨハネの両親に選ばれたザカリヤとエリ
サベツについて述べています。

 一、祭司ザカリヤとその務め(5~10節)

 ザカリヤは祭司であり、彼の妻エリサベツはアロンの子孫でした。
「ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度
なく踏み行ってい」ました(6節)。彼らは家柄がよく、品行方正
で、その務めにも忠実な非の打ちどころのない人たちでした。

 ところが、「彼らには子がなく、ふたりとももう年をとってい」
ました(7節)。このようなザカリヤに、主の使いを通して、彼の
願いが聞かれ、男の子が与えられるという神の言葉が臨みました
(13節)。

 祭司の務めが毎日行う定期的なものであるのに対して、預言者の
務めは必要のある時だけの不定期なものです。

 私たちの信仰生涯には、規則的に恵みの手段を守る――聖書を読
み、祈りをささげ、集会に出席し、奉仕に励む――という祭司的な
生活と、必要に応じた時――たとえば苦難に会った時、特別な出来
事がある時、導きを求めた時――に神の言葉が臨むという預言者的
な体験があります。この預言者的な体験は、ザカリヤのように祭司
的な生活をきちんとしている人に与えられるのです。

 二、主の使いの顕現と告知(11~20節)

 主の使いは、ザカリヤに男の子が与えられ、その子は、神の御前
に聖別されたナジル人として、「エリヤの霊と力で」、「整えられ
た民を主のために用意する」者となることを告げました(15~17節)。

 ところがザカリヤは、子どもが与えられるように祈っていながら、
その祈りが聞かれた最も喜ばしい時に(13節)、それを信じなかっ
たので(18節)、不信仰の刑罰を受け、ものが言えなくなってしま
いました(20節)。

 ザカリヤは、毎日、祭司としての務めを忠実に果たしていながら、
どうして神の言葉が臨んだ大切な時に信じなかったのでしょうか。
ここに彼の信仰の問題点がありました。

 祭司的な生活をする平穏無事な時と、預言者的な体験が必要な危
機や転機の時が、交互に連続して繰り返すのが人生というものでは
ないでしょうか。規則的に恵みの手段を守るという祭司的な生活は、
危機や転機の時に神の言葉が臨んで、それを信仰によって乗り越え
るためにあるのです。

 三、口のきけないザカリヤ(21~25節)

 ザカリヤが話せなくなったことは、不信仰に対する神の刑罰です。
しかし、彼にとって、ものが言えなくなった期間は、「黙って、た
だ神を待ち望」み(詩篇62篇1節)、神の言葉を聞いて信じると
いう恵みの時になったにちがいありません。なぜなら、「彼の口が
開け、舌は解け、ものが言えるようになっ」た時、ザカリヤは「神
をほめたたえた」からです(64節)。

 もし私たちの口から、賛美も祈りも、また神の言葉もあかしの言
葉も出てこないならば、不信仰のために、ものが言えなくなってい
るのではないでしょうか。

 私たちは、不信仰な言葉をはじめ「みだらなことや、愚かな話や、
下品な冗談」、「悪いことばを、いっさい口から出」さず(エペソ
5章4節、4章29節)、黙って神を待ち望むなら、神の言葉を聞い
て信仰が成長し、今度は、その口から賛美と祈り、また神の言葉と
あかしの言葉が出てくるようになるのです。

拙著「キリストの生涯の学び」6「ザカリヤへの告知」より転載





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Last updated  2006.12.16 08:34:53
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