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東京フリー・メソジスト教団付協力牧師 甲斐慎一郎 説教要約

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2007.03.18
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「ゴルゴタへの道」
                    甲斐慎一郎
                    ルカの福音書、23章26~33節

 ピラトの最終裁判において死刑が確定したイエスは、ご自分がつ
けられる十字架を背負って、刑が執行される「ゴルゴタの場所」へ
連れて行かれました(マルコ15章22節)。この「ゴルゴタへの道」
が、いわゆる「悲しみの道(ヴィア・ドロローサ)」です。

 聖書は、裁判が終わってからゴルゴタへの途上においてイエスに
接した三種類の人たちの姿を記しています。

 一、イエスを侮辱したり、嘲弄したりした兵士たち(マルコ
15章16~20節)


 兵士たちは、イエスをユダヤ人の王としてからかいました。イエ
スに王の衣として紫の衣を着せ、王冠の代わりにいばらの冠を編ん
でかぶらせ、王の持つ笏の代わりに葦の棒を持たせて、「ユダヤ人
の王さま。ばんざい」と叫んであいさつをし始めました。「また、
葦の棒でイエスの頭をたたいたり、つばきをかけたり、ひざまずい
て拝んだりしてい」ました(17~19節)。

 何のためにイエスは、このような侮辱を受けられたのでしょうか。
それは誠に恐れ多いことですが、イエスが最悪の罪人の位置にまで
降りて、「罪人たちの中に数えられ」るためであり(22章37節)、
また、このような罪人として十字架の上で死なれることによって、
罪の贖いを成し遂げるためです。

 二、むりやりに十字架を背負わされたシモン(ルカ23章26
節、マルコ15章21節)


 イエスは、ゲッセマネにおいて苦しみもだえて祈られた後、捕え
られ、その夜は一睡もしないで6回の裁判を受けられました。その
ために、疲労困憊し、背中にむちを打たれたことも重なって、重い
十字架を背負い続けられなかったのでしょう。

 見るに見かねた兵士たちは、イエスの十字架を地方から出て来て
通りかかったシモンにむりやりに背負わせました。シモンにしてみ
れば、これほどはた迷惑で恥ずかしく、苦しくて辛い、やっかいな
ことはないでしょう。

 しかし、このことを通して、シモンと彼の妻、そして二人の子ア
レキサンデルとルポスがイエスの救いを受け、全家族そろって主に
仕える者となりました(ローマ16章13節)。神は「すべてのこと
を働かせて益としてくださる」のです(同8章28節)。

 三、イエスについて行った嘆き悲しむ女の人たち(ルカ23
章27~31節)


 ゴルゴタへの途上、「大ぜいの民衆やイエスのことを嘆き悲しむ
女の人たちの群れが、イエスのあとについて行」きました(27節)。
イエスは、女の人たちに「わたしのことで泣いてはいけない。むし
ろ自分自身と、自分の子どもたちのことのために泣きなさい」と言
われました(28節)。なぜイエスは、このようなことを言われたの
でしょうか。

 イエスは、その当時から数えて40年後の紀元70年に、エルサ
レムがローマ軍に包囲されて滅亡することを知っておられました。
このような時、最も悲惨な目に会うのは、女の人と子どもです。ユ
ダヤの国においては、多くの子どもに囲まれて、長生きすることが
最も幸福であると考えられていました。

 しかしエルサレムがローマ軍に包囲される時は、むしろ子どもに
恵まれず(29節)、短命である(30節)ほうが幸いだと人々が思う
ほどエルサレムの滅亡は悲惨なのです。

 そしてイエスは、「彼ら(ローマ人)が生木(罪のないイエス)
にこのようなこと(十字架の刑)をするのなら、枯れ木(審判の火
がつけば直ちに燃える罪人)(米田豊)には、いったい、何が起こ
るでしょう」と言われました(31節)。イエスは、女の人たちに同
情するとともに悔い改めを勧められたのです。

拙著「キリストの生涯の学び」200「ゴルゴタへの道」より転載





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Last updated  2007.03.19 00:38:23
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