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「聖霊降臨の説教(1)」
甲斐慎一郎 使徒の働き、2章14~21節 五旬節の日に聖霊がしるしを伴って弟子たちの上に臨まれたので、 「大ぜいの人々が集まって来」ました(6節)。彼らの中には弟子 たちの語ることに真剣に耳を傾ける人たちがいましたが、反対に、 「彼らは甘いぶどう酒に酔っているのだ」と言ってあざける者たち もいました(13節)。どちらにしても彼らに福音を語る絶好の機会 が与えられたのです。 一、酒に酔っているのではなくヨエルの預言の成就であると 弁明したペテロ(14~16節) このような時、弟子たちを代表して説教したのは、やはりペテロ でした。彼は、「十一人とともに立って、声を張り上げ、人々には っきりと」言いました(14節)。 ペテロは、説教を始めるにあたって、まずあざける者たちに対し て機知に富んだ反論をしています(15節)。「知恵のある者は人の 心をとらえる」(箴言11章30節)とあるように、御霊に満たされ たペテロは、知恵にも満たされて、批判する者たちの心をとらえ、 その後、このことが教えている驚くべき事実について臆する色もな く堂々たる態度で語りました。 ペテロは、自分たちの身に起こった不思議な出来事を説明して、 「これは、預言者ヨエルによって語られた事です」とはっきりと言 いました(16節)。また説教の後半(22~36節)においても詩篇を 引用してイエスはメシヤであると大胆に宣言しています。 ペテロは、どうしてこのようなことを言うことができたのでしょ うか。イエスは、「訣別の説教」(ヨハネ14~16章)の中で、 御霊の五つの働きについて教えられました。 (1)「その方はあなたがたとともに住み、あなたがたのうちにお られる」(14章17節)。 (2)「聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、また、わたし があなたがたに話したすべてのことを思い起こさせてくださいま す」(14章26節)。 (3)「真理の御霊が来るとき、その御霊がわたしについてあかし します」(15章26節)。 (4)「その方が来ると、罪について、義について、さばきについ て、世にその誤りを認めさせます」(16章8節)。 (5)「真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導き入 れます」(16章13節)。 ペテロは、このような御霊の働きによって聖書の真理を大胆に語 ることができたのです。 二、預言者ヨエルの預言のことばを引用して聖霊降臨の説教 をしたペテロ(17~21節) このヨエルの預言は、前半(17、18節)と後半(19~21節)の二 つに分けることができます。 前半の預言は、聖霊が息子、娘、青年、老人、しもべ、はしため ――老若男女、親子、主従の区別なく――すべての人に注がれて、 預言する(神のことばを語る)ということであり、ペテロは、それ がこの五旬節の日に成就したと述べています。「たしかに、百二十 名のユダヤ人に御霊がそそがれたこと自体が、『すべての人に』霊 がそそがれるという預言の成就ではありえなかったが、その成就の はじまりであった」(F・F・ブルース『使徒行伝』77頁)。 後半の預言は、「主の大いなる輝かしい日が来る前に」(20節) 天変地異が起こるということであり、ペテロは、それがこの五旬節 の日に成就したと述べています。これを聞いた人々は、イエスが十 字架につけられた日の不思議な暗黒を思い出したことでしょう(マ タイ27章45節)。 しかしヨエル書をはじめ聖書全体を調べるなら、19、20節に記さ れている天変地異は、イエスが世の終わりに再び来られる「再臨」 の時のしるしである(マタイ24章29節、マルコ13章24、25節、 ルカ21章25、26節)ということができます。この預言は五旬節の 日に部分的に成就したにすぎず、世の終わりに完全に成就するので す。ある聖書注解者たちは、主の大いなる輝かしい日が来る前に、 さらに全世界におよぶ聖霊の注ぎがあると語っています。 この天 変地異と聖霊の注ぎについてさまざまな解釈の違いがあったとして も、「主の名を呼ぶ者(すなわち主を心から信じて口で告白する者) は、みな救われる」のです(21節)。 拙著「使徒ペテロの生涯」19「聖霊降臨の説教(1)」より転載 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.14 01:41:07
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