京都市の同和補助金調査委員会の最終報告に関連して、おそらくもっとも市民の不信を呼んでいるのが、関係職員の処分でしょう。市長を含め５７人もの職員を処分したというのは、過去最大規模だそうですが、別に厳しい処分がおこなわれたわけではありません。いちばん厳しいのが、市長みずからの８月分の給与を半月分減給するというものですから、話になりません。

補助金詐取当時、解放同盟の支部長、京都市協事務局長をつとめていた３人の市職員がどのような処分を受けるのか、注目していたのですが、

　●錦林支部長／市協事務局長（市での役職は係長）が減給１０分の１（ひと月）
　●西三条支部長（市での役職は係長）も減給１０分の１（ひと月）
　●改進支部長（市での役職は課長補佐）が厳重文書訓戒

ということでした。昨年１０月に市が定めた「京都市懲戒指針」では、公金を詐取した職員は、免職とすると明記されているのですから、ぜんぜん納得のいかない処分です。

こういった姿勢では、この先、今回の不祥事を生んだ構造を、京都市みずからの手で是正できるとは思えませんね。

さて、おそらく「最終報告」のなかで読み過ごされがちな重要な事実について、注記しておきましょう。

「最終報告」によると、調査の対象としたのは関連する公文書が保管されている１９９７～２００１年度の５年間だけでしたが、９７年度以前についても関係した職員、団体から事情を聴取したそうです。それによると当然のことながら９７年度以前においても、「不適切な実態があったことが推測されたが、事実関係を証明する資料が存在しないため、返還請求額の算定にはいたらなかった」と述べています。これには全解連京都市協・支部への補助金も含まれています。

わたしは『マリード』でくり返し指摘していますが、全解連は不正が暴露されて６年以上経つというのに、今もだんまりを決め込み、このことの対応を追及し続けるわたしにたいする誹謗中傷をくり返しています。

しかし、不正を京都市によっても認定されたわけですから、いくら京都市が書類が残っていないので損害金額を算定できないからまけといてやる、と言ってきても、何らかの対応をしなければならないでしょう。

全解連京都市協自身、今年２月８日に出した声明のなかで、

　一部には、９６年以前は全解連も同じだったのではないかという声もありますが、もし、こうした事実が判明したなら、部落問題解決と社会正義の確立をめざす団体として、自浄能力を発揮し、徹底した解明と責任ある処理をするものです。

と言っています。果たしてどんな「自浄能力」を発揮してくれるのか。こちらも注目していきましょう。

参考までに、マリード１１５号（２００３年６月９日）で、わたしが全解連に求めた「提言」を再掲いたします。

　わたしは全解連に、改めて次のことを、心から求めたい。

　第一、１９９５年度まで京都市から受けていた同和補助金を、いったいだれが何に使っていたのか、一刻も早く真相を明らかにし、市民に謝罪せよ。

　時間が経てば経つほど、友好団体を「窮地」の深みに追いやり、あるいは同和補助金問題を社会問題化することを断念せざるを得なくなる。詐欺や横領の時効は５年である。もはやこの犯罪で、警察に踏み込まれたり、司法の裁きを受けたりする心配は不要だ。その点は「安心」できるので、包み隠さず実体を公表してもらいたい。

　第二、補助金は市協財政にも計上されていないことが事実なら、横領した幹部を組織として厳正に処分せよ。

　第三、詐取した補助金の弁償を行なえ。

　法律的には時効とはいえ、あるいは、中枢幹部の個人的な横領だったとしても、全解連京都市協の社会的責任というものを不問にはできない。解放同盟の返還額をめやすに、事務所（みかげ会館）など財産を売り飛ばしてでも、市民に与えた損害を少しでも回復する義務があろう。

　第四、もし以上のことができないのなら、せめて友好団体を「窮地」の泥沼に道連れにしないですむよう、組織的決断を行なえ。

第四の記述を補足しますと、ここでいう「組織的決断を行なえ」というのは、全解連京都市協を解体するか、全解連京都府連は民主市政の会から脱退するかどちらかにせよ、という意味です。

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京都市の同和補助金調査委員会最終報告の新聞報道２：下記で続報が読めます。

　京都新聞
　毎日新聞（京都版）

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マリード［同和行政オブザーバー］
寺園敦史
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