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本日付の朝日新聞文化面に、〈「不正」告発本と反論本 「同和利権」めぐり応酬〉との見出しが付いた記事(記者の署名入り)が載っています。
記事は、わたしも執筆者の一人として参加している宝島社刊〈同和利権の真相シリーズ〉と、昨年末解放出版社から出たその反論本『「同和利権の真相」の深層』双方の編集担当者にそれぞれの編集意図を聞き、最後は、藤田敬一氏(元岐阜大学教授)のコメントで締めくくるという内容です。 わたしには、この記事を載せた朝日の編集意図がよくわかりませんでしたね。 〈同和利権の真相シリーズ〉では、当の朝日新聞も批判の対象となっているんですから、いってみれば当事者でもあるわけです。しかし、記事からは(署名記事であるにもかかわらず)当事者意識はなく、並列的にそれぞれの談話が紹介されているだけだったことが一番の疑問点です。刊行からこれだけ時間が経っているのだから、もうちょっと書き手の批評精神が発揮された原稿を書いて欲しかったものです。 ただし、それぞれの本の表紙をカラー写真で載せ、まあ、大いに本の宣伝になりましたし、読者に「同和利権」に関する情報を伝えたという点では、意味があったと言えましょう。 的外れな批判を受けるともちろん腹が立ちますが、すぐそばまで近寄ってきているのに、何も言われず去られてしまわれても、これまた腹立たしい気持ちになるものですね。 苦言をもう二つほど。記事リード文では、「双方とも『部落解放運動のあり方をめぐる開かれた論議を』という点では一致する」と書いてありますが、本当に一致しているのか、同盟側が本気でそんな姿勢をもっているのか、わたしには信じられません。 また、見出しの〈「不正」告発本と反論本〉という表記。何で不正をカギカッコでくくるのでしょう。こんなとこにも、朝日新聞の解放同盟に対する「遠慮」「配慮」を感じます。 記事をごらんになっていない方のために、談話部分だけでも抜き出してみましょう。 ●解放出版社担当者「個人にのみ責任を帰する解放同盟の見解(2003年4月に出された〈同和利権の真相シリーズ〉に対する同盟中央本部の見解のこと──寺園注。以下同じ)にも疑問があった。私たちにも反省しなければならない点はたくさんある」「『真相』は事実の誤りが多いし、同和対策事業が必要だった歴史的経過を見ていない」「なぜ利権が生まれたのか、解放運動のあり方を考え直すとともに、『真相』が受け入れられる現代日本のメンタリティーを分析したかった」 ●宝島社担当者「(反論本を読んで)がっかりした。こちらが示した事実に反論していないし、なぜ外部の作家や評論家が書いているのか。自分たちの言葉で堂々と語って欲しかった」「(歴史的経過を見ていないとの批判に対しては)これまで知られなかった不正の事実を知らせる、という材料提供が本書の役割。事実をきちんと知らせないと、議論が先に進まない」 ●藤田敬一氏「同和対策事業は利権だけを狙ったもの、といわんばかりの『真相』の書き方にはそりゃないで、と言いたくなるが、『真相の深層』も、問題が生まれた経緯の分析や自己切開が不十分」「遠くから撃ち合う艦砲射撃の感があるが、これをきっかけに開かれた議論が広がればいい」 以上引用終わり。 最後にひと言だけ。解放出版社担当者の談話の中に、「私たちにも反省しなければならない点はたくさんある」とありますが、いったい何についての反省なんでしょう。わたしたちが〈同和利権の真相シリーズ〉で指摘したもろもろの事件で同盟がはたした役割についても、反省してくれるのでしょうか。解放同盟は遅くとも1980年代以降、年中「反省」を口にしてきていますが、今回の「反省」とはこれまで言ってきたそれと、質的に違うものなのでしょうか。 マリード[同和行政オブザーバー] 寺園敦史 almarid@muhajirin.com http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/8499/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年02月04日 19時08分57秒
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