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アラビア書道とその周辺

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2007.05.16
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カテゴリ:イスラム
アラビア書道のお手本として最も使われるのがクルアーンです。お手本の意味を良く生徒さんに聞かれるため、日本語訳になった本もよく使用します。クルアーン(コーラン)の日本語訳は数冊出版されています。現在私が手許にあるのは以下の4冊です。

(1) 日亜対訳 注解 聖クルアーン 1982年 責任編集者 五百旗頭陽二郎 /訳者 三田 了一 宗教法人日本ムスリム協会発行
(2) 日訳注解 聖クラーン 1973年 訳並注解者 三田了一 宗教法人日本ムスリム協会日訳クラーン刊行会
(3) 世界の名著 コーラン 1970年 責任編集 藤本勝次 中央公論社
(4) 岩波文庫 コーラン(上中下) 1957年 井筒俊彦訳 岩波書店

(1)は(2)の改訂版で同一訳者が携わっていますが、(3)及び(4)は訳者も底本もことなっているため、内容も微妙に異なっています。

(3)と(4)は大学のアラビア語教授が翻訳をしています。(3)の責任編集をされた藤本勝次氏は関西大学の教授でした。私が大学当時大阪外国語大学にも教えに来られていましたが体重は100キロ以上あろうかと思う巨漢でした。このクルアーンには当時の大阪外国語大学教授の伴康哉氏と池田修氏も翻訳に参加しています。(4)の井筒俊彦氏は慶應大学教授です。

本来クルアーンは外国語に翻訳されるべきものではなく、原文のアラビア語を誦えるもので、アラビア語のqara’a(読む)という動詞から派生した名詞です。通常は定冠詞のalをつけて、アル・クルアーンとするのが正しい呼称になります。

ただ、アラビア語のままでは、外国人に意味が分からないので各国語に翻訳されています。現在一番権威があると言うか、日本語の翻訳として認められているのが(1)の聖クルアーンと言われています。アラビア語表記も世界イスラーム連盟に持参して原典テキストの最終チェックをしてもらってものとあります。現在ハンディなものが出ていると思いますが、私の手許にあるのはハードカバーの大判です。アラビア語の原文と対訳形式になっているのは(1)のみです。

クルアーンの日本語訳の一番古いのは1920年(大正9年)に坂本健一訳「世界聖典全集」の「コーラン経」上下です。その後、1938年高橋五郎・有賀阿馬土共訳「聖香蘭経(イスラム教典)」、1950年大川周明訳「古蘭」が出版され、上記(4)につながります。いずれも恐らく骨董本になっていると思います。これらは全てアラビア語の原典からの翻訳ではなく、英語ほかの外国語を訳したものと言われています。初めての原典からの翻訳が出されたのが上記(4)の井筒俊彦訳のものです。(出典:世界の名著 コーランから)。

もともと朗誦するためのクルアーンですので、日本語に翻訳してしまうとかなり分かりにくい箇所がでてきます。同じ意味の単語を別の単語に置き換えて何度も出て来たり、韻を踏むために語尾が同じ単語を繰り返したりしているところが何カ所もあります。

逆にこれがあるためいくつかの章句を書道として書いた場合、美しく見えるように仕上がるのです(うまく書ければですが)。





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最終更新日  2007.05.17 11:51:06
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