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現在大阪にいますが、先ほどまでやかましかったセミの声が急に止んだかと思うと、雨が降ってきました。セミの反応は早いですね。下手な天気予報より天気の変わり目がよく分かります。
小学校の頃は、夏はセミ取り少年でした。いつも特製の網を持って、家の裏にある神社の森にでかけていました。当時市販されていたセミ取り用の網は柄の部分が短く、高いところにとまっているセミを捕まえられないので、添え木をして長くしました。また、網の部分は市販のものは白くて5つの目を持つセミに見つかりやすいので、葉っぱに似た深緑色の蚊帳の端布で作った口径の小さい網を作り、先ほどの長い竿にくくります。 セミを捕るのもコツがあり、まず当時はまだ1.8もあった視力でセミを見つけると、特製網を斜め下からそっとセミに近づけます。そしてさっとセミの上にかぶせます。驚いたセミはそのまま網の中に落ちます。素人は上から網を近づけるので目の良いセミはすぐに気がついて逃げてしまいます。 1962年ごろ、セミは、関西では7月の梅雨明けとともに鳴きだしました。一番初めに鳴くセミの種類はニイニイゼミです。小型のセミで羽が透明ではなく、茶色、黒、少し緑がかった色が混じっており、木に止まると非常に分かりにくいセミです。ジーと単調な声ですが、かの有名な松尾芭蕉が奥の細道で詠んだとされる 「閑かさや岩に染み入る蝉の声」のセミがこのニイニイゼミと言われています。 この後にでてくるのがアブラゼミです。名前の通り、翅の色が茶色です。ニイニイゼミよりかなり大きなセミで、ニイニイゼミよりはるかに大きな声でジャーと鳴いてきます。これが鳴き始めると夏本番になり暑さが増します。このセミは翅が意外に目立つので、割りに簡単に捕ることができました。 そして、時々クマゼミがシャワシャワと加わります。大阪ではこのクマゼミは当時ほとんどいませんでした。ひと夏で一匹捕まえれば上々でした。アブラゼミより大きく、翅は透明で、比較的木の高いところに止まっていました。透明な翅で黒い体なので見つけるのが難しく、逃げ足も速かったので、このセミを捕まえれば、かなりヒーローになりました。このセミが網に入りバサバサと音を立てたときは、マグロを釣り上げたような充実感がありました(少しオーバーか)。このセミは関西より暑い四国や九州によくいたと、図鑑で知りました。 そして夏も終わりになると、ツクツクボウシが出てきます。名前のとおり、ツクツクボーシと鳴きます。このセミは小柄でスマート、翅は透明で見つけにくく、ちょっと捕まえるのが大変でしたが、鳴き声を頼りによく捕れたセミです。鳴いているうちに、ツクツクボーシ、ツクシーヨ、ツクシーヨと声音が変わってくるので、そろそろ移動の準備が始まります。すると少し動きはじめるので、視力1.8の目(しつこい)で居所を突き止めることができたためです。 秋が近づくと、カナカナカナと鳴くヒグラシは、家の近くには全くいませんでした。郊外の山ではよく鳴いていましたが、残念ながら捕まえたことはありませんでした。また、ミンミンゼミも家の近くでは鳴いていませんでした。当時、テレビではこのセミがミーン、ミーーンと暑苦しく鳴いているのをよくコマーシャルで見ましたが、こんな声のセミを聞いたことがなく、なんとなく違和感を覚えたことがありました。 セミには春先に鳴く、ハルゼミや北海道だけにいるエゾゼミがいることを、当時の愛読書であった昆虫図鑑で知りました。両方とも実物は見たことがありませんでした。 そして、何十年か時は流れ、セミよりも別のものに興味が移ってしまったある時、ふと気がつくと、あの頃は貴重品であったクマゼミがやかましく辺りで鳴いていました。木の低いところにも鈴なりになって止まっています。地球温暖化のせいでしょうか、もとは南で鳴いていたセミがどんどん北上してきたのがよく分かりました。 アブラゼミ と ミンミンゼミ (いずれも住んでいる横浜のマンションで採取) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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