あすなろ日記

2009/05/23(土)21:16

黒執事「滔滔」(後編)

「黒執事」小説(83)

   BLの苦手な方は読まないでください。  R18指定です。お子様は読んではいけません。  あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。  何卒お許しくださいませ。                    セバスチャンがシエルの中に入ってきた。大きな異物感に  シエルは顔をしかめた。  「痛いですか?」  「あたりまえだ。」  「でも、ここは嬉しそうですよ。」  セバスチャンはシエルを握りしめた。  「あっ」  シエルの身体がビクッと震えた。後ろを貫かれながら前を弄られて  シエルは今まで感じたこともない快感に襲われた。  「気持ち良いですか?坊ちゃん。もっと良くしてさしあげますよ。」  「あああ~」  シエルは嬌声をあげながら、無意識のうちに身体が宙に浮くような  錯覚にみまわれた。シエルが必死でセバスチャンにしがみつくと  「そろそろ行きますか?」  と聞かれた。シエルは魂を持って行かれるのだと思った。不思議と  不安はなかった。死を恐れないと言えば嘘になるが、セバスチャン  と一つになることで己の身が浄化されていく気がした。ただ食さ  れるのではなく、浄化されるのだ。全身全霊を尽くして愛する人に  食されるのは魂の浄化に他ならない。シエルは薄れ逝く意識の  中で天使よりも美しい悪魔に接吻した。セバスチャンはシエルを  抱きしめ、深い口づけの中でエナジーを吸い取った。  そして、セバスチャンは瞳を閉じて安らかな眠りについたシエル  の髪を撫で、優しく瞼にキスをした。  「んっ?」  シエルが再び瞳を開けると、そこは天国でも地獄でもなかった。  セバスチャンに連れて来られた最後の場所、廃墟だった。  「坊ちゃん、お目覚めですか?ぐっすり眠っておられましたね。」  セバスチャンがいつものように微笑んでいる。  「魂はまだ喰ってなかったのか?」  シエルがいぶかしげに聞くと、セバスチャンはこう答えた。  「いいえ、美味しくいただきました。私は坊ちゃんのエナジーを  食べさせていただきましたので。人間がイク時に発するエナジー  は大変おいしゅうございます。魂は一度に食べてしまわなくとも  睦みあう度に何度でもエナジーを食することができるので  ございます。」  「妖怪みたいだな。」  「失敬な。私は悪魔で執事ですから。」  悪魔に魂を売り渡すということは甘美な世界を知るという事だった。  シエルは契約の意味を誤解していた。悪魔との契約がある限り、  二人が死を別つまで主従関係は続く。シエルはこれから先も食を  与える義務があった。シエルは満腹そうにしているセバスチャンを  見ていると、毎晩、与えるのも悪くないと心の中で密かに思った。                               (完)                                

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