梅木水晶の日常

年の瀬も近付き、年賀状を書き始めておられる方も
多くいらっしゃるのではないでしょうか。

男と暮らしていた頃、ポストに、
「年末年始郵便局臨時職員募集」
といった内容のチラシが入っていました。
私の記憶では、高校の頃、運動部の男子部員などが、
自転車で年賀状の配達などを毎年やっていた記憶があります。

私達が住んでいた所から郵便局は、
歩いて５分ほどの距離にあり、
臨時職員募集のチラシの内容によると、
郵便局内での作業で、時給は７００円～８００円くらいで、
時間は、９時から１６時まで、
みたいな感じだったと記憶しています。

私は、スーパーのお惣菜売場に勤めていました。
私は男に、
「年末年始は私もかなり忙しくなって、
　家にいる時間が殆どなくなると思うから、
　郵便局ならここから割と近いし、この求人チラシだと、
　勤務時間も割と短めだし、犬ちゃん、やってみたら？
　家で一人で退屈してるより、何かしてた方が気も紛れるんじゃない？
　郵便局内での仕事なら、外で配達する訳じゃないから、
　犬ちゃんの体にもそんなに負担はかからないだろうし…。」
と、軽い気持ちで勧めてみました。

すると男は、
「水タン、僕ね、これでも芸術家なんだよ。
　芸術家の仕事ってね、僕がやっている漫画家の仕事もそうなんだけど、
　自分の描いた作品が雑誌に掲載されたり、
　単行本になったりとかして、形に残るの。
　そんな、高校生のバイトがやるような、
　年末年始の郵便局の臨時職員の仕事なんて、
　何も形に残らないじゃないか。
　僕にとってそんな仕事は、全くやる意味のない仕事だね。」と言いました。

男は、何としても、短時間であろうと、短期間であろうと、
外に出て働く、という気は、全くなかったようです。


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