「・・・好き・・。」
酔っているクレハはめずらしく饒舌で、
鮮やかにピンクに染まる裸のまま、
投げ出された俺の膝に甘えていた。
「ほんと?クレハ・・。」
うれしくなってしまう。
四人でいるのに、クレハは俺の目をみながらそういったから。
カズと諌山の視線をうけながらも、
そのまま抱きついてきたクレハにキスをされている。
「・・・・俺は?クレハ。」
カズが不安そうな目をして彼女にたずねた。
「カズくんは・・・必要なの。」
俺にもたれかかるようにしてカズのほうを向いたクレハは、
若干ろれつのまわっていないしゃべりかたでそう言って、
うふふーっと笑う。
そして、無言でその様子をみていた諌山には、
「諌山さんはあたしの大切な人・・。」
とろけそうな笑顔。
「じゃあ一番好きなのは?」
むきになって聞いてみる。
酔ったいきおいで本音が聞けるかもしれない。
二人もそう思ったのか、彼女の発言に注目が集まる。
「・・・一番・・・?」
うつろな瞳が俺を見つめる。
考えこんでしまった彼女に、
「今、心の中誰のこと一番多く考えてる?」
俺が言うとカズも
「一番強く、でもいいよクレハ。」
と言った。
表面上は穏やかでいながらも、
にわかに緊迫する場面。
彼女は少しボーっとしながら諌山の顔をみつめ、
「・・・一番考えてるのは・・・
・・・これくらいの大きさの・・・。」
両手を肩幅くらいに広げた。
その先を言いよどむクレハに、諌山の低い声が
「ん?」
と聞く。
「・・・・茶色いワンちゃん飼ってもいい?」
彼女は小さな声でそう言った。