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昨日新聞を見ていたら、 訃報の欄に最も見つけたくなかった写真を見つけた。 絵門ゆう子さん。 乳癌が全身に転移して、一時は命の危機もあったが、 それを乗り越え、講演活動やエッセイの執筆に活躍していた。 私は身近に癌闘病患者がいたため、 どうしても癌の闘病記などが気になってしまう。 ある時絵門さんのホームページに辿り着いた。 朝日新聞東京版に週一回連載されている、 「がんとゆっくり日記」 …読んでいて、うん、うん、と、頷ける部分がたくさんあった。 癌は涙を誘う道具として、ドラマなどで安易に使われる。 悲劇、壮絶、余命など恐ろしい言葉が用いられ、 ドラマでは癌患者は殆んど必ず死ぬものとされる。 マスコミによって作られた、癌=死のイメージが強すぎて、 癌患者やその周囲は、病気との戦いと同時に、 その死のイメージの恐怖と戦わなければならない。 それはとてもエネルギーのいることで、 中には癌というだけで希望を失う人がいるほどだ。 絵門さんはそうした「癌患者は死ぬもの」というイメージに、 終始、はっきりと反対を唱えてきた。 自分に対して投げつけられるそのような言葉にも、 そうではないんだよ、と患者の立場から、反論していた。 病による色んな苦痛に耐えながら、心は病まず前向きで、 元気に仕事をこなす在り方はとても魅力的だった。 ついつい気になって週一回更新されるエッセイを よく読みに行っていた。 今年のお正月は風邪で大変だった様子とか、 最近では肝臓の機能が低下して、やっと歩いている状態とか、 だんだん苦しそうになってくる様子が綴られていたのだが、 でも文章にはエネルギーが感じられて、 まだまだ、病気に負ける感じがしなかった。 3月30日付のエッセイは、 これまで効いていた抗がん剤が効かなくなって、 今後の治療をどうしたものだろうか、という文章だった。 病状の深刻さがこれまで以上に伝わってきたが、 今、命の危機が、ということではなく、一年後はどうなるか、 というところで終わっており、「次回に続きます」とある。 その直後に亡くなってしまうとは、予想できなかった。 また元気を取り戻して「ほら、再発・転移癌だって治るのよ」と、 明るい笑顔で言って欲しかった。 「彼女の死は医学的に必然」という人がいるだろうけれど、 その必然もひっくり返してもっと長生きして、 そう言った人達をびっくりさせて欲しかった。 まだまだ亡くなって欲しくない人だったのに…。 すごくすごく残念です…。 ◆◆ *私の知っている中でひとつだけ、 「ちゅらさん」というドラマの中で、 主人公えりぃがけっこう進行した胃癌を手術で克服した、 という明るい取り上げ方がありました。他にもあればいいなぁ。 *実際は癌を克服している人はたくさんいます。 そうした人のことも最近は癌保険のCMやNHKのキャンペーンで、 取り上げられたりしていますが、まだまだ、大勢の人たちの心の中で、 癌=死のイメージは根強くあるのが現実だと思います。 *これまで絵門さんの考えていることが、 本人の書いているもので伝わってきたのに、 訃報はあまりにも味気なく、最後に考えたことも、 きっとご本人は伝えたかったろうなぁ…、と思いました。 一番詳しく伝えられていたのはasahi.comの記事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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