カテゴリ:教師論
公務員に準ずる給与を得て、土日の出勤にもブツブツ言いながら応じ、僅かな手当でサービス残業をする。
世間では「サラリーマン教師」という言葉で、「教育」に対する情熱を欠いた、どうしようもない先生、という見方が普通だが、上記の教師の仕事の実態から言って、教師はすべて「サラリーマン」、いや、「公務員」に近い仕事をしている。 ただ、サラリーマンと決定的に違うのは、自分の仕事が目に見える形で「評価」されないことだ。セールスなら、売り上げトップ10などが毎月発表され、売り上げ下位の人は肩身の狭い思いをするが、教師の場合は授業評価トップ10などというものはないし、それどころか「教室王国」という言葉が示すとおり、HRや授業は「密室」であり、そこでの教師の言動は、まったくチェックされない。 もし、そこをチェックされるとしたら、日教組を先頭にして、猛烈な反対運動が起こるに違いない。一部のオーナーが理事長などをしている私立校では、教室にカメラを設置して、校長がチェックできる仕組みがあるが、それが話題になるのは、ごくごく希なことだからだ。 現在は、保護者の意識も変化して、子どもも保護者も、自分を「教育サービス」の消費者と規定しているから、スーパーやデパートの店員の対応が悪いと、正当なものからほとんどは難癖に近いものまで含めてクレームが入るのと同様に、教員にもクレームが入る。 しかし、そういうことに慣れていない教師は、顧慮する必要のないクレームまで、管理職に問題視され、メンタルがやられてしまうことになる。クレームを未然に防ごうと、自分はこんなに一生懸命やっていることを示すために学級新聞を作ったりするが、もちろん管理職はそれに事前に目を通すから、どう見ても読む価値のない文章や情報、それを誤魔化すためのイラストが載っているだけの代物になる。 かくして、教師業の本質はサービス業となり、毎日終電がなくなるまで残業などという公立校も出てきた。 しかし、それでいてもらう給料は何も変わらない。それなら、できる限り手抜きをして、仕事をした方がいいという教員も出てくるのは理の当然だ。 今、「サラリーマン教師」というのは、そういう教師のことだと思ってほしい。 Y先生は、自分の高校の10年先輩で、たまたま卒業担任が同じだった。この担任はいい人だったが、国語の教師としての力はそこそこだった。その恩師が言うには「Y君はね、優秀だったね」と。自分は高校ではせいぜい10番くらいの席次だったが、Y先生は1番だったこともあるらしい。大学は一流私大といえるところを二つ出ている。どうやら、二校目では弁護士を目指したのだが、司法試験に受からず、教員にでもと思ったようだ。「デモシカ」の「デモ」の類いで、その意味では自分と同じだ。 長くなるので、この項、続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.12.01 07:19:33
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