カテゴリ:Night
1時間目の授業中、ちょっと窓の外に目を向けると、体育館の屋根の向こうに滲むような赤が残っている。誰も気付かないうちに、冬は過ぎ去ろうとしている。
2月に入り、4年生と3卒を決めた3年生は学校から姿を消した。 これが全日制なら3年生が消えたといっても1・2年生の教室とは別の階から人気が無くなるわけだから、3年生の教室がある辺りに近づかない限り、それほど寂しさは感じない。だけど定時制の場合は1年から4年まで同じ階を使っているから、授業に行く時にはどうしても廊下にいる生徒の数が少なくなっていたり、廊下に溢れる生徒たちの声がいつもより小さく感じたりして、いやでも4年生たちが姿を消したことを意識しないわけにはいかない。そういえば、給食の時、食堂がいつもより広く思えたっけ。 教室がある棟と職員室や食堂がある棟を結ぶ渡り廊下を渡って、右に曲がると定時制で使っている教室が並んでいる。一番手前が1年、廊下の突き当たり、一番奥が4年の教室。 授業で教室に向かうと、どうしても廊下の一番奥が夜に包まれているのが目に入る。 アイツらはどうしてるんだろう。 ふと、そんなことを思った。 ここぞとばかりに遊び回っていたり、新しいバイトを入れて頑張っているのもいるだろうし、突然できた暇な時間に戸惑っているのだっているかもしれない。 夜の向こうに消えた生徒たちの姿は、どんなに目を凝らしても気配すら感じることはできなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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