カテゴリ:Day
高速道路を下りて地図で確認した道を進む。
家族連れのさざめきを乗せた車が連なる道を、僕は一人で走る。 週末になると美術館に出かけた時期があった。 大抵はドライブも兼ねて郊外へ。 常設展示だけの美術館は日曜日でも人は少なく、 静かで贅沢な場所で、 名前だけはお馴染みの画家の残したものに出会ってきた。 ミレー、ピカソ、ダリ、ルノワール、シャガール、モネ……。 今向かっている美術館も、これで何度目だろうか。 だが、一人で行くのは今日が初めて。 そのせいだろうか、何度となく来た道も、今日は初めての道に見える。 車はどんどん寂しくなる道を進む。 美術館への道を示した看板はなく、だんだん不安になる。 果たしてこれであってるのだろうか。 途中で道を間違えたのではないだろうか。 一人のせいか道は時間の流れは遅く、 遠く離れてしまったような気がしてくる。 たまらずコンビニの大きな駐車場に入り、 助手席に置いた地図を手に取った。 なんのことはない。 まだ半分くらいしか来てなかった。 道標がなくとも、自分の進む道が正しいのか不安になっても、 その道を信じて進めばいいのだ。 コンビニを出て15分。 「この交差点を左折」のアドバイスが見え、 僕は更に細い道に入った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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