第７官界彷徨

[コミック・漫画] カテゴリの記事

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• 『ガロ』内紛の真実

  東京新聞夕刊「大波小波」さんが、「ガロ内紛の真実」ということについて書いていたので、いただいてご紹介しようと思います。　昨今の「ガロ」経営陣が、生活の為？へ〇ト本を出しているという情報を以前に知り、なんてことを・・・と驚愕したのですが。以下に、大波小波さん本文を。＝『キッチュ』という「新生総合マンガ誌」を見つけた。　第7号なのに「ワイズ出版創刊」とあるのは、別の版元で出ていたためか。　　巻頭は都築響一が奇妙なアーティストをルポした「夜をかける少女」」。　平口広美や石川次郎、ひさうちみちおらの漫画家が並ぶ。いわば「ガロ」的な雑誌だが、実際、目玉の一つは「”ガロ”のまんが道」というインタビュー連載で、この号で登場しているのは元副編集長白取千夏雄だ。　今は亡き漫画家やまだ紫の夫で、自身も十二年前に慢性リンパ性白血病を患い、その後、世界でもほとんど症例がないメルケル細胞癌を発症、いわば死を覚悟した迫力あるインタビューになっている。　『ガロ』の創業者長井勝一が亡くなったのは1996年。その数年前に発行元の青林堂はツァイトというコンピューターソフト会社に買い取られる。『ガロ』の編集長だった「Ｔさん」こと手塚能理子はツァイトのやり方に非協力的で、別に青林工藝社が生まれる。　その内紛は当時一部で話題になり、今ではウイキペディアで読むことができる。　しかし白取は、そういうネット情報を否定するためにここで真実を口にしている。ツァイトの社長の長井勝一愛や『ガロ』愛は本物だったと。＝☆という、大波小波さんの「カッチャン」さんでした！　キッチュ、を読んでないので、なんとも言えないけど、前にも見たけどウイキさん、また見てきました。　でも、経営のために右つばさ系やへ〇ト系出版物を出すって、どうよ、と思う。心ならずも、というわけでできることではない事だと思うし、青林堂を始め、つなげてきた人たちの思いにも、大いに反する行いだと思う。　　なつかしいなあ、つりたくにこちゃんがマンガに行き詰まった主人公に「赤森堂」のこと言わせてたマンガがあったっけ！

  2017.01.07

• 曽根富美子さん

  　今日も東京新聞夕刊さんの記事からいただきます♪　漫画家の曽根富美子さんのことが紹介されていました。『「親なるもの　断崖」電子書籍でヒット』『「人間派」目線で描く』という見出し。　曽根富美子さんのお名前を知らなかったのですが、雑誌連載が１９８８～８９年の作品「親なるもの　断崖」は、１９９２年に日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。　物語の主人公は、貧農の親から北海道、室蘭の女郎屋に売られた少女たちの地獄の日々を描く。丹念な取材を重ね、史実に基づいて物語をすすめ、軍需景気で活気づいた鉄鋼の町ですさんでいく人々、戦火に覆われた町、登場人物はつぶやく。「政府が経済政策上で行き詰まって、国民の不満が爆発する寸前に国民の関心を外敵へ向けさせる　その企てーそれが戦争だ」。　過酷な現実を描きながらも、主人公には師範学校の恋人が「無学でいること　自分が女郎でいることに疑問を持て！おまえが今の時代そのものだ」「これからの時代の本流は女性だ！」　と、希望を語ってくれるらしい。　再び注目されたのは、四半世紀たった昨年、ネットで電子書籍になり、突然ヒット。現在は配信中止中ですが、ダウンロード数は二百万を超えたそうです。（小学館から近く配信予定）　社会の底辺にいる人間に寄り添う作品を書く富美子さんは、社会派漫画家、といわれるがご本人は「人間派」というつもりだそうです。　誠実にコツコツと作品を描きつづけているみたい。ご奮闘を期待してしまうし、そういう彼女の作品を支持する読者の存在に、希望を見るのです！♪

  2016.10.15

• 能年ちゃん

  　こうの史代先生の「この世界の片隅に」が、アニメ映画化されるそうです。北條すずさんに能年玲奈ちゃん改め「のん」ちゃん♪ユーチューブで予告編見たけど、良い感じでした。　では、公式サイトより引用・・・＝本作では昭和19〜20年の広島・呉を舞台に、戦時中、毎日眺めていたものがいつしか変わり果て、 身近なものが失われてもなお生きていく、主人公・すずさんのくらしを描きます。原作は、こうの史代さんの同名漫画（第13回文化庁メディア芸術祭 優秀賞受賞）。心に染みるこの原作を、映画『マイマイ新子と千年の魔法』（第14回文化庁メディア芸術祭 優秀賞受賞）の 片渕須直監督がアニメ映画化します。　片渕監督はアニメ化にあたって徹底的な考証を行い、主人公たちが実在したかのように、 映画を観る人がまるで本当にそこで暮らしていると感じられるように、人々や街の様子を描き出しています。　大変な毎日でも工夫を凝らして生きていく、すずさんの姿はすべての世代に、静かで確かな勇気を与えることになるでしょう。ものがたり　すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19（1944）年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していく中で、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。 だが、戦争は進み、日本海軍の根拠地だった呉は、何度もの空襲に襲われる。庭先から毎日眺めていた軍艦たちが炎を上げ、市街が灰燼に帰してゆく。すずが大事に思っていた身近なものが奪われてゆく。それでもなお、毎日を築くすずの営みは終わらない。そして、昭和20（1945）年の夏がやってきた――。 ＝　５年くらい前に日テレのドラマを見ました。すずさんに北川景子さんで、しっかりしたきれいなすずさんでした。　だんなさんのお姉さんが「りょう」さんで、漫画の怖いキツネ顔の義姉さんにピッタリ。でもやさしい良いお姉さんでした。　　今回のアニメ映画は、片淵須直監督。「マイマイ新子」の映画、見ましたよ。千年前に国司の父とともに防府の湊に着いた女の子、なぎこちゃんは、のちに清少納言になるのです。　千年前になぎこの見た町と、３０年前に新子の見た防府市の描写など、すごく丁寧できれいに描かれていました。　今回の「この世界の片隅に」も、期待してしまいます♪「のん」ちゃんも、これからこういう方面で活躍できるといいですね。　　　ネット情報で主なキャストが載っていたので、コピペします。＝映画『この世界の片隅に』（11/12全国公開）の主要キャストが遂に公開となりました！主人公・すず役は、女優・のんさん！やさしく柔らかく、どこか懐かしい親しみを感じさせる声で、すずさんに生命を吹き込みます。夫・周作役には細谷佳正さん。温かくすずさんを包みこみます。姪の晴美役は稲葉菜月さん。かわいらしい笑い声に胸をつかまれます。加えて、義姉・径子役は尾身美詞さん、小学校の同級生・哲役は小野大輔さん、すずさんの妹・すみ役に潘めぐみさん、周作の父・円太郎役に牛山茂さん、周作の母・サン役に新谷真弓さん。ドラマ、アニメ、舞台、外国映画吹替えなど、ジャンルを問わず実力派がキャスティングされています！松竹新喜劇の座長・澁谷天外さんも特別出演！そして、本編の音楽を奏でるのは、シンガー・ソング・ライターのコトリンゴさん。片渕監督の前作『マイマイ新子と千年の魔法』の主題歌でタッグを組んだアーティストが、本作では本編楽曲も担当します！劇場予告篇も遂に完成！豪華なキャストと音楽に彩られた最新映像を、ぜひお楽しみください！＝☆とのことです。

  2016.08.31

• 週刊スピリッツ

   日本国憲法全文の付録付き、週刊スピリッツを買いました。 まずは、「１８歳の主張」　前文は＝１９４６年１１月３日に公布されて、今年で７０年を迎える日本国憲法。７月１０日（日）には、１８歳が選挙権を持つ初の参議院選挙が実施されます。　今回は、全国各地の１８歳アイドルとそれぞれの地元の良さを、６人のカメラマンが思いを込めて引き出しております。　アイドルたちも、真剣に憲法や選挙について率直な思いを語ってくれました。ぜひ御覧ください。＝　そしてご当地アイドルたちの写真と憲法への思いがつづられます。　まずは、表紙の波瑠さんよりー写真・篠山紀信＝「あさが来た」の舞台となった時代は、男尊女卑が激しく女性が働きづらい時代でした。でも今は、女性も当たり前のように働けて活躍できる。その時代の変化は大きいですよね。　大阪府「ＮＭＢ４８」の加藤夕夏さんー写真・桑島智輝＝日本国憲法はすごく難しかったですが、今回、読んで好きになったのは第十三条の幸福追求の権利についての条文。＊生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法、その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。　私でもすんなり頭に入ってきました。やっぱり自由ってすばらしいし、今はステージで踊ることが本当に幸せ！ 愛媛県伊予市の「ひめキュンフルーツ缶」の菊原結里亜さんー写真・薮田修身＝私が印象に残った憲法の条文は第十四条です。 法の下の平等。当たり前だと思っていることが憲法に書かれていることで守られているだと驚きました。　いじめや女性差別など、今も問題になっていることがたくさんあって、平等ってなんなのか改めて考えさせられました。普段から意識していないといけないことだなって思いました。 埼玉県の 「夢見るアドレセンス」の小林れいさんー写真・橋本雅司＝日本国憲法。学生のころに勉強して以来、正直、全く意識する機会がありませんでした。今回、改めて読んでみると、考えさせられることが本当にたくさんありました。　憲法改正がこの夏の参議院選挙のテーマになっています。第９条に記されている戦争の放棄や、題１３条での個人の尊重など変わってほしくない条項もあれば、変わったほうがいいのかなと思うような条項もありました。（選挙は）わたしもさっそく参加したいです。 宮城県の「東京女子流」新井ひとみさんー写真・アンディ・チャオ＝日本国憲法を初めて読んでみて、いいこと書いてあるなぁと思いました。「第三章　国民の権利及び義務　第二十一条　集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」が特に気に入りました。表現することは自由で、憲法に守られているんだって。私も表現者のひとりなので、心強く感じました。　後はやっぱり、第九条　戦争の放棄ですね。私は絶対戦争は嫌なんです。日本国憲法を守っていってもらいたい。だって、いいこと書いてあるんですから！ 福岡県の「ＬｉｎＱ」新木こころさんー写真・樂満直城＝日本国憲法は・・・難しいです！第一章は天皇陛下について、第二章が戦争放棄について書かれているんですよね！それは知ってるんです（えっへん）。　「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」　　私もこの条文を心に、これから大人になりたいと思います。 東京都の「カントリー・ガールズ」山木梨沙さんー写真・渡辺達生＝第三章　国民の権利及び義務　第二十三条学問の自由は、これを保障する」というのがあるんですけど、私は今年大学生になって、普通に当たり前のように学校に通えるのも、戦争があった時代からは考えられないじゃないですか。そういうことも憲法があるからなんだなって、日本国憲法を見直して気づきました。　あと、小学生の頃に塾で、日本国憲法の前文を全文覚えたことがあって、今はもうほとんど言えないんですけど（笑）正直一番印象に残っているのはこの前文です。今回のことで改めて日本国憲法を考えた時に、懐かしさと親近感があって、あの時に覚えてよかったな、って。 ☆という１８歳の人たちの思いが述べられ、次にとじ込み付録の日本国憲法が・・・１ページごとに連載漫画家さんたちの描き下ろしイラストつきです。　そして次に「ツブと学ぼう」憲法をどう読んでいいのかわからないあなたへ・・・として、日本国憲法の「すぐれた」特徴を説明してくれています。　ちなみに「ツブ」は吉田戦車さんの「おかゆネコ」のツブです。ツブという名前は「米粒」の「ツブ」なんですよ。　皆さんも週刊スピリッツ買ってみませんか？３６０円です♪  

  2016.07.05

• 憲法全文

  　水無月モドキです！手前にあるのは和菓子屋さんの七夕のお菓子＝織姫、です。　（主に）男性用漫画週刊誌、ビッグコミックスピリッツが、憲法全文を載せ、若者の投票意識を後押しする、と、今朝の東京新聞が伝えていましたので、皆様の購買意識を後押しするために記事をご紹介します。　何せ週刊誌なのですぐに次の週になってしまいます。アセアセ！以下に記事を・・・・＝小学館発行の青年漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」の７月４日発売号が、特別付録に日本国憲法全文を収録することが分かった。　選挙権年齢が「１８歳以上」に引き下げられた１０日投開票の参院選を控え、坪内崇編集長は「読者に改めて日本を感じてもらいたい」と若者への訴求力アップに期待している。　特別付録はとじ込み冊子で、Ａ５版全４４ページ。憲法全文のほか、同誌に連載する作家陣１３人が「日本の風景やイメージ」をテーマに漫画を執筆した。　吉田戦車さんは「東日本大震災で被害にあった海辺の町」を、浅野いにおさんは「ある日の放課後」を描いた。　４日発売号本体のグラビアページでは、１８歳のご当地アイドルが憲法や選挙権について語る「１８歳の主張」を展開、憲法の解説記事も収録する。　同誌は１９８０年創刊で、２０代をメインターゲットにした雑誌。坪内編集長は「読み物として楽しい雑誌を目指す中で、憲法を付ける企画が浮かんだ。」と話している。＝　☆とのことです。普段買わないおばはんが買ってもいいかしら？その分は多めに発行してくれるのかしら？７月４日発売です！  

  2016.07.01

• 萩尾望都さん

  　バラのオレンジバーニーちゃんがいっぱい咲いています！赤いバラといえば「ポーの一族」ね！ポーの村では、普段は人の血のかわりに赤いバラのスープを飲むのよ♪　萩尾望都先生が４０年ぶりにポーの一族を発表したそうです。時は第２次世界大戦の頃らしい。エドガーとアランは、どこに出現するのでしょうか？産経のネット記事で、重版出来したらしいことが書かれていました。＝人気少女漫画家の萩尾望都（もと）さん（６７）の代表作「ポーの一族」の４０年ぶりの続編が掲載された少女漫画雑誌「月刊フラワーズ」（小学館）７月号が、発売直後に完売し、少女雑誌としては異例の重版が決まった。今月１１日から全国の書店に並ぶ予定。　同誌７月号は先月２８日に発行され、続編は「春の夢」。ポーの一族は昭和５１年まで漫画誌に連載され、熱狂的な人気を集めた。今回は、発売前から大きな話題になっていた。　 同誌の平均発行部数は約３万３０００部。小学館では人気を見越して７月号は通常の約１・５倍にあたる５万部を発行したが、発売当日に完売する書店が相次い だこともあり、重版を決定。約１万５０００部を発行するほか、今月９日からはインターネットを通じて電子書籍も配信する。＝　とのことです。探しに行ったけど近所の本屋さんには、もちろん無かったです。　赤いバラといえば選挙。参院選では、野党共闘の一人区でもたくさんのバラが咲くといいな。野党共闘を多くの人に広めたいです！　では、今週の平和新聞「平和の詩」より「友だち」　　　　　　　　柳瀬和美背中に風呂敷をなびかせ正義の味方だった今はお爺さんになった友だち怪しい風が吹いているとまぼろしの背中のマントが告げるという「孫　みんな可愛いからね」あいつら　戦争に行かせられない遠い国へ武器を持って出かけるなら自衛隊員になるものはいなくなる徴兵制なんて言い出す者もいるのさ「戦争好きな政治家はいらねえ」持っているのは一矢たった一票の選挙権「みんなでバチッと決めないとな」　　　　　詩人会議小詩集「戦争を拒む」より     

  2016.06.07

• 吉田戦車さん

   吉田戦車さんの「おかゆネコ」を読みました。  ビール販売会社の営業をしている「サエない」八郎くんは、両親の長期旅行中、実家のネコ、「ツブ」を預かることになります。　この「ツブ」が、実は「しゃべり病」にかかっていて、それは動物が突然しゃべりだし、知能も利口な人間並みになるという奇病。その病気を隠してはいないんだけど、奇癖人間が多いので、特に奇異には見られていません。　ツブの名前は「米粒」からきているので、ツブはおかゆを作るのが上手。いろいろな食材を使って奇想天外なおかゆを八郎に作ってくれます。　近所の子どもの食べ残しの海苔巻をもらってきて作った「海苔のおかゆ」は海苔が黒く溶けて見た目が汚いけど、残り物の「塩抜きぶぶあられ」をかければ、お茶漬け風味のおかゆに・・・　羊羹のおかゆ・・・　どろがゆ・・・　酢昆布ダシのおかゆ・・・　カツ丼のおかゆ・・・　どんな味か想像できますか？奇想天外なおかゆを間に八郎君と、彼を取り巻く人たち、そして「ツブ」との信頼と愛情が深まっていくのです。 「私のウチにもいてほしい」と重版出来！の大ヒット作！

  2016.05.25

• 山岸凉子先生

  　山岸凉子先生の「別冊太陽」を買いました。写真は口絵の懐かしや、ウマヤドとエミシね！　これは、別冊太陽の「おとなの旅の道案内・太陽の地図帖」というものの、『日出処の天子』古代飛鳥への旅、というものです。　特別インタビュー「今振り返る『日出処の天子』の頃」。はボーイズラブが編集部の拒否にあったことなど。　　人物相関図は、登場人物の姻戚関係が全て載っていて貴重！　旅のガイドとして訪ねる場所は　法隆寺・四天王寺・大聖勝軍寺・橘寺・飛鳥寺・調子丸古墳・小山田遺跡・石舞台古墳・石上神宮などなど・・・。　知らなかったのは、法隆寺のそばにあるという「調子丸古墳」と「駒塚古墳」のこと。　法隆寺には調子丸と馬の像もあるということだけど、全然気が付かなかったです。日出処の天子の調子麻呂は、百済からの渡来人。聖徳太子に仕え、その後も長生きして天智天皇の世まで生きたという。　日出処の天子のもう一人の渡来人淡水については、こんな記述がありました。＝厩戸王子を弥勒仙花の生まれ変わりとして崇める新羅からの渡来人・淡水は非常なテロリストである。厩戸を貶めたとして、日羅を暗殺。　淡水の行動の背景には、新羅の「花郎」の影が色濃く漂う。＝　なるほど～！♪　韓国歴史ドラマに、なぜか心惹かれるのは、調子麻呂と淡水の記憶があったからかも。善徳女王の時代！情報満載の「太陽の地図帖」なのでした。　ちなみに登場人物の中で好きなのは「毛人」です。

  2016.03.07

• おそ松さん

  　おそまつさん、といっても、「悪いやつとも付き合わなければ小選挙区では勝てない」といった甘利大臣のことではありません。　昨日の東京新聞に昔懐かしいおそ松くんの成長後を描いたアニメのことが取り上げられていました。「おそ松さん」というのですって！♪　記事のリード文はこのとおり。＝故赤塚不二夫さんの漫画「おそ松くん」を原作に、主人公の六つ子の成人後を描いたアニメ「おそ松さん」（テレビ東京、月曜の深夜１時３５分）が、若い女性を中心に大人気となっている。グッズは爆発的に売れ，表紙に採用したアニメ誌は重版、イベントには行列ができる。カラ松ガール、チョロ松ガールなど、六人の中で特に好きな一人を「推し松」とする”松ガール”も多い。女性たちの心をがっしりとつかむ怪現象の秘密に迫った。＝ 　・池袋のアニメ専門店「アニメイト」の店頭に置かれたキッチンカーには、六つ子が描かれ、彼らそれぞれをイメージしたドリンクに行列ができ、昨年秋に開かれた「おそ松さんミュージアム」には初日に２千人が訪れたそうです。　「おそ松くん」は１９６２年に連載スタート。松野家の六つ子が引き起こすドタバタギャグ漫画。６６~６７年、８８～８９年とテレビアニメも放送された。　主要人物のイヤミの「シェー｣は流行語になり、チビ太ら他のキャラクターも人気になった。　作者の赤塚不二夫の生誕８０年を記念して、テレビ東京では昨年十月から、大人になった六つ子の「おそ松さん」を放送開始。　六つ子が、全員が無職のニートで「しょうもない大人」になっているそうです。　かわいくセンス良い六つ子の造形や、イケメンボイスの人気声優陣、欠陥があるダメ男の六つ子に女性たちの「放っておけない」気持ちに火がついたらしい。　六つ子が表紙のアニメージュ誌２月号は重版になったそうです。重版は、ガンダムのマチルダさんが表紙になった１９８０年以来３６年ぶりだそうです。　制作のテレビ東京では「赤塚マインドを継承してチャレンジしたい」と言っているそうです。公式ツイッターのフォロワーはあっというまに３８万人になったそうです。　すごい！願わくば、深夜は見られないので、別の時間に再放送をお願いしたいです！あんまりテレビで見てないのですが、チビ太の後姿が寂しく遠ざかり演歌調の歌が流れていた場面が記憶にあります。なんだったんだろう。

  2016.02.01

• 施川ユウキさんその２

  　施川ユウキさんの「バーナード嬢曰く。２」を読みました。　この前の赤い本のバックは青で、今回の青い本のバックは赤。これ、半分づつ赤と青の水玉に染められた大判スカーフを敷いてみたんですけど、町田さわ子ちゃんは、気に入ってくれたかしら？　何といっても、読書家というより、その周辺に重きをおくド嬢（さわ子ちゃんの自称）なのですから。　今回は月刊Ｃｏｍｉｃ　ＲＥＸで連載中のものなので、文学界の又吉直樹作品も出ている新しさ。さわ子ちゃんが本を読み出したので、以前より深くますます面白いですよ♪　町田さわ子「う～ん。そろそろ決着つけないと・・・と思ってるんだけど。」　遠藤くん「それ村上春樹？」　町田さわ子「村上春樹作品との距離感・・・どういうスタンスが正解だと思う？　　　　『いけ好かね～』的態度でスルーするか　　売れ方や海外での評価など含めて『興味深いよね』的態度を取るか　　がっつりハマるべきか」　遠藤くん「つーか、そもそも村上春樹好きなの？嫌いなの？」　町田さわ子キッとして「まだ１冊も読んでないよ。」　☆という、私もほとんど同じ、村上春樹への感想。　今回はＳＦおたくの神林しおりちゃんの影響で、町田さわ子がけっこうＳＦいろいろ読み始めて、薀蓄を語りはじめます。　ＳＦではないらしいけど、神林しおりちゃんが水嶋ヒロの「ＫＡＧＥＲＯＵ」について語っています。これは１冊目にも出ていたので、施川さん、好みみたい。しおり「読まずに戴した事ないって決めつけたくなかったから、いつか読もうと思っていたんだ。」さわ子「へ～・・・でどうだった。」しおり「本当に、大したことなかったよ。さわ子「な～んだやっぱり。」しおり「でももう５回くらい繰り返し読んでる。なんか文体が気になって・・・　　日本語としては間違ってないなずなんだけど　　比喩や言い回しや一文の長さや、いろいろな部分が　不自然というか　適切でないようで　読みながらずっとモヤモヤするの。　」　「タレントが書いた本って　等身大の言葉で書かれた半自伝的な読みものが多くて　そーいうのは自然というか　ムリをしてない文体になってるんだけど『ＫＡＧＥＲＯＵ』は違うの　一生懸命たくさんの比喩や　ぎごちない言い回しを使って　　あきらかにムリをしてる・・・」　「私にはわかる！著者は、水嶋ヒロは！　書き上げた時の万能感と　読み返した時の無力感の　間で大きく揺れながら　不安で不安でたまらなかったはずだって！！」　「だって『ＫＡＧＥＲＯＵ』は必死に背伸びする高校生のように、　どこまでも不器用で　ひたむきな小説なのだから！！！」「胸をかきむしりたくなるような共感を覚えた小説は久しぶりだったよ。」☆ というしおりちゃんの感想は、そのまま作者の感想のようです。 施川さんは「『ｋＡＧＥＲＯＵ』について熱っぽく語れば語るほど「辛辣だ」「ディスってる」「内容について触れろよ」など好意的でないリアクションが返っ てくる」が、自分が受けたインパクトはただならないものだった・・・と書いています。　別の章でもしおりちゃんがさわ子にしおり「こないだ『ＫＡＧＥＲＯＵ』の話したけど、アレはエンタメ小説を書こうとしてたんだ。出来不出来はともかく　そーいう意味では水嶋ヒロのほうがピース又吉よりチャレンジングだったかもしれない。さわ子「神林はほんとに水嶋ヒロ好きだね！水嶋ヒロも純文学書けばいいのにね。」し おり「確かに！　『ｋＡＧＥＲＯＵ』は『４０歳の自殺志願者』とか『命の物語』とか著者と関係のない主人公やテーマを選ぶから書くハードルが上がっちゃっ たワケで、　ちゃんと自分の話を書けばいいんだ。　『ＫＡＧＥＲＯＵ』騒動って、後から振り返ると　関係者　騒いだ人たち　誰も彼もバカみたいだし　水嶋 ヒロは「自分がいかに道化であったか」というテーマと向き合うことで　人間の小ささ　愚かさ滑稽さを暴き出すような魂の物語が　書けるんじゃないか！？　 ほかの誰にも書けない唯一の文学的主題を手に入れたというのに・・・・なぜ、２作目を書かない！？水嶋ヒロ！」さわ子「こんなに水嶋ヒロの小説に関心がある人、ほかにいないんじゃないかな・・・」☆と熱いしおりちゃんと冷静なさわ子ちゃんでした。この分析って、またまた水嶋ヒロファンからブーイング来そうです。たぶん「道化｣役自認はお嫌いなんだと思います、水嶋ヒロって。      

  2015.09.17

• 施川ユウキさん

  　遅ればせながら、施川ユウキさんの第１８回手塚治虫賞受賞作「バーナード嬢曰く。」を読みました。　いつも図書室で本を読んでいる町田さわ子＝バーナード嬢（本人の希望したアダ名）は、いつも「使ってみたい世界の名言集」という本を読んでいる、自分を読書家キャラに見せたい女の子。　 遠藤くんは町田さわ子が気になって、いつも図書室でさわ子の動向を見ている。その遠藤くんが好きな図書委員の長谷川スミカちゃん。そこにガチの読書家ＳＦオタクの神林しおりちゃんが仲間に入ってのギャグマンガなのです。　１冊目の問題。『恋愛とは「 　　　」のようなモノだ。はじめるのは簡単だが、やめるのは困難である。』遠藤くんの答え『恋愛とは「無職」のようなものだ。はじめるのは簡単だが、やめるのは困難である。』正解は『恋愛とは「戦争」のようなものだ。はじめるのは簡単だが、やめるのは困難である。ｂｙメンケン』  　 これは別として、読書や読書家についての薀蓄や「あるある」「いるいる」のエピソードが、この３人によっていっぱい出てきます。とにかく町田さわ子は、自 分をいかにして読書家に見せたいか、だけで生きてるような女の子。しかし、そこに意外と真実を語っているのがおかしい。　太宰治の「教養とはまずハニカミを知ることなり」って言葉の項。施川さんの感覚、分かる！！さわ子「こ ないだテレビ見てたら、読書好き芸能人が太宰治について語ってたんだ・・・。『自分と同じ考えの人がいたんだって、衝撃受けました。』で、思ったんだ、太 宰治を　こんなに照れもなく語っちゃうなんて、最近読書に目覚めた中学生みたいで、ほほえましいな～。まあ、太宰治読んでないけどね。」「太宰作品への共感を熱っぽく語ってるのを見て「ひゃー」とか思っちゃうのって、やっぱ「ハニカミ」が欠けて見えるからだと思うんだよね。」遠藤くん「ロクに読みもせず　　よくもまあ・・・」　あと、ＳＦ好きな神林しおりに「ＳＦで生涯ベスト１は何？と聞いたけど、いっぱいありすぎて答えられないでいると、さわ子が「私だったら『竹取物語』だな～」と言うのもなるほど！　図書委員をやるくらいの本好きの長谷川スミカちゃんに、遠藤くんが「長谷川さんに一番影響を与えた本って何？」と聞くのですが、長谷川さんは　「氷の海のガレオン」と答えるのです。それはポプラ社ピュア文庫にある木地雅映子の本らしい。長谷川さんはアガってしまってよく説明できなかったけど、本好きな１１歳の女の子の話らしい。　 作者の施川ユウキさんは、さわ子に「ジョージ・オーウェル『一九八四年」を読了したおかげで、未読の『１Ｑ８４』に対して、「その表題はオーウェルへのオ マージュだよね？」と、もっともらしいことを言えるぞ！」と語らせている、いっぱい本を知っている人です！さすが手塚治虫賞受賞作！！

  2015.09.12

• ビッグコミックオリジナル

  　トラノオです！今年は、やたらと元気！　東京新聞夕刊の「大波小波」さんが、ビッグコミックオリジナルを取り上げていたのでご紹介します。本文をそのままいただきます。「いやな感じとマンガ」　戦後七十年ということで新聞・雑誌・出版などさまざまな特集が見られるが、マンガ界では『ビッグコミックオリジナル　戦後７０周年増刊号』（小学館）が大いに気を吐いた。　編集長の堀靖樹は、収録したマンガがすべて戦争の「グロテスクで愚かでヒロイック」な様相を表現していることに触れ、　「漫画家はやはり自由の民です。本能的にお上の胡散臭さを嗅ぎ分けてます」 　「漫画は別にお国のためにはなりません。・・・だからこそ、この時代の『嫌な感じ』に声を上げましょう」　という。その言やよし！　 この言葉に呼応する力のこもった編集ぶりで、なんと巻頭カラーは見開き二ページの藤田嗣治「アッツ島玉砕」。当時、二十二歳の山田風太郎が上野の「決戦美 術展」で見て「薄暗い凄愴感」に打たれた絵だ。戦争賛美のために描かれたが、藤田に日米の兵士たちの殺意が乗り移ったごとく、そこに漲っているのは戦争の 狂気以外の何物でもない。　この絵に続けて、藤田と同じく兵士たちの肉塊状態を描いた水木しげる「人間玉」を載せた編集の技が鋭い。両者のタッチは違うが、共通するのは深いニヒリズムだ。　ほかにも新旧とり交ぜた力作が並び、読み応えはじつに重い。＝☆ という、大波小波さんの「光る風」さんでした。ビッグコミックの取り組み、もっと広がって多くの人が読んでくれるといいな♪　戦争漫画で思い出すのはすごく前に見た白土三平ので、戦争から帰ってきた男が、生ものを食べられない。ある とき仕事帰りに仲間と飲んでいるときに、うっかり、お寿司だったかお刺身だったかを口に入れてしまい、誰かに指摘されて気がついて、吐き出してしまう。彼 は南方の戦地で飢餓状態となり、死んだ仲間の肉を食べて生きてきたのだった・・・というもの。ショックでした。  

  2015.08.05

• 反戦の行動

   　ビッグコミックオリジナルを買いました。「戦後７０周年　増刊号」「あの戦争の未来を生きる、すべての私達へ。」「戦争を生き抜いた漫画家が見たもの。現代を生きる漫画家が見つめるもの。」　表紙のメッセージだけでも迫力満点！　グラビアは、藤田嗣治の「アッツ島玉砕」です。・まずは水木しげるさんの「人間玉」　戦争中、輸送船に乗っていたときの体験。「とにかく輸送船というのは、まァこれだけ人間がつめるかと思うほど、ボロ船に兵隊をつめこむ。従って「敵魚雷！！」ということになると、一発で全員死ぬ。」から始まる、人は個人ではなく、戦闘という集合的意識に突き動かされ、魂を奪われた肉の塊のように見える・・・。・次に、懐かしや寺島町を描いていた滝田ゆうさんの「夢いちりん」　戦争で生き残った二人が、飢えながらも生き抜く物語。・次に松本零士の「晴天３６５日」　空の上ではいつも晴天！松本零士先生のコメント「敵であれ、味方であれ、（戦争で）死ぬために生まれたものなどいない」・いとうせいこうさんの「戦後七十年談話」。（前略）少なくとも七十年を経て世界の中で積み上げてきた「私たち」の財産、平和をうち捨てる放漫な今の私たちを、過去の私たち、未来の私たちは許しておかないでしょう。これが私の七十年談話です。夥しい数の死者の皆さん、今後現れる生者の皆さん、動植物諸君へ。  ・次に、さそうあきらさんの「菜々子戦記」　高校生の菜々子は曽祖父が、Ｂ級戦犯で処刑されたことを知る。その話をした友達が在日だったことを知り、当時の歴史を学び始める。現代の高校生のまっすぐ歴史を見つめる目。・次に、浅野いにおさんの「きのこ　たけのこ」　戦争中の国を描いたファンタジー漫画。　と・・・・全部ご紹介するわけにもいかないので、この辺で。　あと、がきデカの山上たつひこ先生の、「光る風」は、呉智英先生が解説を書いておいでですが、この作品は１９７０年に少年マガジンで連載されたものだそうです。　今回掲載されたのは長い話の１章らしいけど、「日本の国防軍はアメリカの戦争に参加させられていて、カンボジアでアメリカの新兵器を運ぶ途中の事故で両手足がなくなった男。彼とともに作業をしていた６人の日本人は死亡した。アメリカが日本兵を使って運ばせる危険な新兵器・・・」　なんか、集団的自衛権のこれからみたいで、恐ろし～！　「国際平和と安全の為に」、「祖国の為に」・・・そんな美名が、人を、大衆を狂わせていく。この回の収録ではお伝えできない全容を、ぜひ単行本でお読みください。」って書いてありました。完全版が「フリースタイル社」から発売されているそうです。　漫画家の先生たち、編集の皆さん、頑張ってますね～！これがほんとの平和のための活動です。

  2015.08.04

• 綿の栽培

   地味で丈夫なピンクのランちゃんです！きちんと土の管理をすれば花が１０本立ちくらいになってしまいます。余りに丈夫なのでほうっておいたらこの冬は景気がいまいちなので、花が終わったら植え替えする予定。　さて、今日の東京新聞本音のコラムで、法政大学の竹田茂夫先生が「綿の帝国」という本の内容を書かれていました。日本語には未訳とのことです。以下に引用させていただきます。＝「暴力と資本主義」　ハーバード大学で長年、「米国資本主義の歴史」を教えるＳ・ベッカート氏の近著「綿の帝国」は刮目すべき大作だ。膨大な資料を基に綿（綿花・木綿）を通して五大陸に亘る資本主義の歴史を展開する。　焦点を二つに絞ろう。　まず、資本主義の暴力性だ。現代経済学では市場参入で当事者全員の利益が向上すると教えるが、実態はまるで違う。　産業革命の技術で綿の一大生産拠点になった米国南部では、土地を土着部族から奪い輸入奴隷を労働力に充当して、プランテーションの市場収益性が確保されたのだ。さらに南北アメリカ植民地化の際のジェノサイド（民族大量虐殺）、大航海時代の私掠船、武装した東インド会社等によるアジアの植民地化など、歴史は暴力に溢れている。　著者は奴隷制や強制労働等の暴力は資本主義の歴史的逸脱ではなく、その中核だとさえいう。　第二点。資本主義の本質は土地・労働力・技術等の絶えざる新結合だが、現代の大手アパレル製造販売は、国境を越えて生産関係を再編しコスト削減を図る。　先進国から中国へ、中国から最貧国へ工場は移る。その結果が一昨年のバングラデシュの縫製工場ビルの倒壊だ。　中央アジアの児童労働などもあるが、現代資本主義の暴力は市場原理と企業組織を通して、意図せざる結果として生じる。＝☆という、竹田茂夫先生でした。もっと利益を、もっともっと利益を、と追求していく先には希望は見えないように思えます。　綿の栽培で思い出すのは白戸三平の「カムイ伝」。カムイの姉婿の正助は、仕事がなくて食べていけない人たちのために綿の栽培を始めます。なぜ綿かといえば、綿の栽培はひどく手間がかかるものなので、それにはたくさんの人手が必要だからです。　タネを蒔き苗を育て、綿花を摘み、それを糸にして織り上げる・・・。その目的に向かって人々は力を合わせ、意欲的に働きやがて黄色い綿の花が畑いちめんに咲くのです。オクラのようなタチアオイのような大きな美しい花です。その光景の美しいこと。　正助はここでワークシェアの理想を実現したのですね。　もっと、もっと、という搾取さえなければ、この世はとっても素敵な世界を実現できるのに。

  2015.02.26

• 件＝くだん

   寒くなってきたので、犬の散歩も遠出するようになりました。昔からある集落の境にある神様。祠の中は石ころしかはいっていないけど、前を通るときはいつも手を合わせて拝んでいる私。（特に頼み事はないけど）。　秋の傾いた日の中、初めてお供え物があがっていました。　さて、藝術の秋。今日の東京新聞夕刊の「大波小波」さんに、文化庁メディア芸術祭のマンガ部門大賞に、近藤ようこさんの「五色の舟」が受賞したことが書かれていました。　津原泰水さんの短編集「１１　ｅｌｅｖｅｎ」の短編の漫画化だそうです。それは「単なる『小説の漫画化』を超えた傑作なんだそうです。　舞台は太平洋戦争末期の広島。主人公は見世物小屋を営む五人で、いづれも身体に障害があるのだそうです。両足のない「おとうさん」と呼ばれる雪之助。小人のひとや両腕のない少年など。本文によれば『彼らは本物以上に本物らしい擬似家族を作り、過酷な状況を生き抜いている。　その描写は原作・漫画ともに枯淡の境地にあるかのような筆致で、幻想的かつ儚く美しい。あるとき、雪之助は牛の身体に人間の顔をもち、未来を言い当てるという怪物・くだんの噂を聞き、一座に加えようと買いに行くが、くだんは間もなく落とされる原爆について言及し・・・。　漫画では原作以上にたゆたう水や舟のイメージが繰り返し描かれ、身体と心、時空と人間の結びつきが鮮やかに交差していく。　近藤が難しい題材をここまで描ききったことを、心から喜びたい。』　☆という、大波小波の「船頭」さんでした。へ～え、どういう結末になるんでしょうね！興味深いです！この擬似家族のメンバーが、無事に原爆の惨禍から逃れられるといいんだけど。　「くだん」の件は、昔、話の特集で寺山修司が書いてました。うろ覚えだけど、くだんが現れると「よくないこと＝戦争」が起きると、夫婦が恐れていると、隣の部屋に着飾った娘（江戸時代の小町娘）が泣いている・・・・ようなさし絵つき。確かその娘は身体が人間で顔が牛だった・・・と思う。 　 くだんは世の中が悪くなるときに現れるのです。そういう言い伝えがあるんでしょうかね。不気味！　と思っていたら、わわわ！楽天ブログにあべしの顔のじみんとうの宣伝が！あわわ、今度犬の散歩のときに、あの神様に「これ以上安倍政権が継続しませんように！」とお祈りしよう！ 

  2014.12.05

• 赤瀬川原平

  　千葉市美術館に行きました。「赤瀬川原平の芸術原論展」を開催中。　赤瀬川原平は、尾辻克彦の筆名で「父が消えた」で、芥川賞を受賞した人。１９３７年に生まれて今年の秋に亡くなりました。　多彩な才能を持った人だなあ、というのが印象。そして「赤瀬川原平とその仲間たち」という題でもよさそうなほど、彼の人生には多種多様な仲間たちがいっぱい♪　２０歳の頃から、彼の周辺には芸術家の仲間たちがいっぱいいて、試験的な作品を作り始めています。傾向は１９６０年７月のポスター「新宿吉村アトリエ＝革命芸術家のホワイトハウス」でのネオ・ダダイズムのオルガナイザー展のような感じかな？沖縄返還のポスターも。　そして有名な千円札事件。（以下にウイキさんより引用）＝千円札を詳細に観察し、肉筆で200倍に拡大模写した作品を発表。赤瀬川はさらに「千円札の表だけを一色で印刷」したものに手を加えたものを作品とし発表する。1965年、これが通貨及証券模造取締法違反に問われ、起訴される。弁護人には瀧口修造といった美術界の重鎮たちが名を連ね、話題となった。1967年6月の東京地裁の一審で「懲役3年、執行猶予1年、原銅版没収」の判決。上告ののち1970年に有罪確定。＝　作った千円をいろいろな人＝例、岡本太郎なんか、に現金書留で送り、その内容は「千円」と書いた郵便局の受け取りなども展示されていました。また、朝日新聞の記事「画家が千円札を作らす」も展示。それに対する彼の朝日新聞社向け内容証明郵便なども展示。全部こみこみで芸術なのね。　１９７０年にはつげ義春の話題作「ねじ式」のパロディ「おざ式」も、ガロに発表。きどうたいが家のお座敷から帰らないで主婦が困る話ね。　永山則夫の「無知の涙」の装丁も手がけ、それ以来彼の出版物全部の装丁に携わる。　若い芸術家を育てる「美学校」に関わります。以下にウイキさんより引用。＝「千円札裁判」の事務局長を務めた川仁宏（現代思潮社）が創設した「美学校」では、1970年から1986年まで（1971年は中断）、「絵・文字工房」の講師をつとめた（初期は松田哲夫が助手。のち、元生徒の南伸坊にかわる）。講義内容は赤瀬川がその時点で熱中していたもの－「マッチのラベル絵」「宮武外骨」「考現学」「新聞の尋ね人案内」「トマソン」「1円で何が買えるか」など－であった。その教室からは、平口広美、南伸坊、渡辺和博、泉晴紀、久住昌之、森伸之、上原ゼンジなどのクリエイターが輩出している。なお、南の「伸坊」というペンネーム及び渡辺和博のあだな「ナベゾ」は、宮武外骨の『滑稽新聞』の絵師に由来するものである。 1989年には、勅使河原宏と共同脚本を担当した映画『利休』で、日本アカデミー賞脚本賞を受賞。＝☆美学校ではいろいろなテーマで作品を作らせていますが、興味深かったのは「新聞記事や広告のリアリズム描写」これって、高野文子さまの「黄色い本」でびっくりのこと、そのものです。　また南伸坊くんの作品「文花団地ー２３号館の状況」は、前のアパートの住人の状況を細かく描いて♪　唐十郎の公演ポスター、鈴木志郎康の「闇包む闇の煮こごり」などの装丁も。　そして１９８１年には「父が消えた」で芥川賞を受賞します。　若い頃から字も絵も上手でびっくりです。すごい才能ですね。　私としては、つげ義春の妻のマキさんが唐十郎の劇団にいて、マキさんが幼い正助を連れて鈴木志郎康さんの家に遊びに行ってグリコのおまけをもらったことなどを関連づけて、当時の人たちの青春を思い、ちょっとほんわかしたのでした。  

  2014.11.20

• 高野文子

  　高野文子の「おともだち」です！おやおや、もうこんなに時が経ってしまったんだわ。昭和５８年の冬に新宿の紀伊国屋まで買いにいったんだっけ。　ソースが少なくて恥ずかしいんですが、（フル利用しているといえるかもね）今日も東京新聞の受け売りです。本音のコラムで、山口二郎先生が書いてました。『奇怪な解散総選挙』「この総選挙で自民党が勝ったら、国民の信任を得られたとして、さらに好き勝手を進めるに違いない。　安倍自民党に白紙委任を与えるのかどうかが、この総選挙の最大の争点である。　この二年間の安倍政治を冷静に評価し、日本の未来を見据えた意思表示をしたい。」☆消費税増税をやめる・・・を争点にするって、すごい欺瞞！もう８％に値上げして、不景気もここに極まれり！って状態なのに。閣僚の不正や不誠実や怪しい行いや、経済、外交、いろんな失敗を、選挙で勝てばすべてご破算にして「みそぎを済ませた」っていうつもりらしい。　さて、趣を変えて、今日の東京新聞夕刊の「大波小波」さんに、高野文子のことが取り上げられていましたのでご紹介。こんなに深く読んでませんでした（恥）。『人間中心主義をこえる科学』「高野文子は現代日本で最も先鋭的な才能をもった女性マンガ家の一人だが、これまで三十年以上かけて六冊の単行本しか刊行していなかった。　その彼女がこの秋、十二年ぶりで七冊目の作品『ドミトリーともきんす』（中央公論社）を発表した。それがマンガ史にちょっと類例を見ない、科学と読書をテーマとする短編集なのだ。　ドミトリーともきんすは、寮母のとも子と娘のきん子が暮らす下宿屋の名で、二階には、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹という四人の学生が住んでいる。　毎回、この四人のいずれかがとも子ときん子に、科学に関する話をして、最後にとも子が、その話にまつわる彼らの書物の一節を引用するという形式になっている。科学書を紹介するマンガによる書評集といってもよい。　ここで高野が試みたのは「気持ちを込めずに描く」ことだという。　近代日本文学は作者の気持ち（内面、自我）を探求してきたが、高野が行っているのは、そうした近代人の視点から遠く離れて世界を見ることであり、そこから科学の冷徹な目による真の抒情が生まれている。　これは、原発に象徴される人間中心主義に対する、密やかにして決然たる意義申し立てでもある。」　☆という、大波小波さんの「天からの手紙」さんでした。　う～ん。高野文子が好きだけど、深く考えないでいましたが、こういう難しい命題を背負った作品なのか～。私は、ちょっと知ってるこの人たちのエピソードがでているだけで面白かったんだけど。　たとえば中谷宇吉郎の「立春の卵」とか「雪は空からの手紙である」とかね♪　あと、この作品で「科学は真理を追究するんだ～」って感じがしたってことかな。

  2014.11.17

• 峠の犬

   　ヨウシュヤマゴボウです！牧野富太郎植物図鑑によれば、明治初期に北米より伝来。日本のヤマゴボウと比べて「洋種のヤマゴボウ」という名前がついたそうです。　さて、栃木県の河原や山で５歳から１０歳くらいの純粋種の小型犬の死骸が７０匹以上発見されたというニュースには、生き残った衰弱した犬の映像も流されて、かわいそう。吠えてうるさくないように声帯を切られた犬もいました。　動物愛護法の改正で繁殖業者の公共の処理施設へのペット持ち込みを断れるようになったため、処理に困った業者が毒物を与えて殺したらしい。ひどい話です。　大体、犬や猫を売り買いするという業界が大流行というのが気に入りません。しかも子犬を生まなくなった犬は処分するのが当たり前の業界ってひどい。しかも、そのニュースを見て全国から生き残って保護された犬の引き取り希望者が殺到している、というのもなんか妙な話。　でも、考えてみれば、卵を産まないばば鶏は絞めてミンチにして食べてしまう人間・・・・ってまたひどい存在。　それはさておき、犬ってただただそこにいて無駄飯を食う存在であってほしい、と思います。何もしなくてもできなくても、犬はただ犬で良い、と思うのです。たまに気の利く犬がいて小判を掘り当てたりするのはいいけど、無理やり何かを教え込んで、人間の役に立たせる必要もない気がする。（近所に盲導犬になれなかったワンちゃんがいるけど、おどおどしてかわいくない）（学校に行かなかった我が家の犬は、誰にも好かれる人気者♪）　つげ義春がまだ若かった頃の作品に「峠の犬」というのがあります。何ヶ月か家をあけて行商する男の隣家には１匹の犬（確かハチという名）が飼われていて、時々長期行方不明になりまた帰ってきます。男が行商の途中、何気なくいつもとは別の道を行くと、峠の茶屋の飼い犬が、その隣の家のハチで、別の名前で呼ばれてそこにいる。茶店のばあさんによれば、どこかに行ってまたそのうちに帰ってくるとのこと。　犬は何の違和感もなく、峠の茶屋の犬として普通に暮らしている・・・そこで男は、別の家で別の名前で呼ばれる、何にも縛られない犬の生き様に淡い感動を覚えるのです。　ってな感じだったかな？ つげさんの放浪癖がまだ願望だった頃の作品かな？  

  2014.11.12

• 高野文子新作

   高野文子の「ドミトリーともきんす」を読みました。アマゾンで注文、９月２５日初版発行。１０月２５日第４刷発行の出来立てほやほや♪　確か「黄色い本｣以来数年ぶりの新刊です。いろいろ調べていたら、こんなに時間がかかってしまった、と、ご本人のコメントがどこかに載っていましたが。　とも子ママと娘のきん子ちゃんの下宿屋さんに、若き日の朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹が下宿して、彼らの研究を説明するという筋立てです。　高野文子さんは、理系女子みたいだけど、社会科学系かも。深くて理解も難しい彼らの理論を解き明かしてくれます。　「ともきんす」という名前は、ビッグバン宇宙を考えた、ジョージ・ガモフの著書「トムキンスの冒険」からとったらしい。銀行のしがない事務員のトムキンス氏が、夢の中で遭遇する出来事から、宇宙やブラックホールの謎、クオークなど、現代物理学について読者とともに学んでいく・・・・らしい。　ジョージ・ガモフはロシアに生まれ、アメリカに亡命した人らしい。　１９３９年、湯川秀樹はブリュッセルの会議に赴いたが、第二次世界大戦が勃発、アメリカ経由で帰国の折、ワシントン大学で教鞭をとっていたガモフと会い、交流を持ったらしい。　高野文子さん！牧野富太郎の絵の模写も上手！　湯川秀樹が子どもたちのために書いた「詩と科学」も紹介されている。詩と科学は遠いようで近い近いようで遠い科学はきびしい先生のようだ詩はやさしいおかあさんだ しかしなんだか近いようにも思われる　　どうしてだろうか出発点が同じだからだ　どちらも自然を見ること聞くことからはじまるバラの花の香をかぎ、その美しさをたたえる気持ちと、花の形状をしらべようとする気持ちのあいだには、大きなへだたりはないしかしバラの詩をつくるのと顕微鏡をもちだすのとでは、もう方向がちがっている科学はどんどん進歩して、たくさんの専門にわかれてしまったもうそこには詩の形も影も見えない　科学者とはつまり詩を忘れた人である　詩を失った人であるそんなら一度失った詩は　もはや科学の世界にはもどってこないのだろうか（そんなことはない） しかしすべての科学者が　かくされた自然の詩に気がつくとはかぎらない科学の奥底にふたたび自然の美を見いだすことは　むしろ少数のすぐれた学者にだけゆるされた特権であるかもしれないただし　ひとりの人によって見つけられた詩は　いくらでも多くの人にわけることができるのである。 ☆高野文子は書いています。『ドミトリーともきんすに暮らしていた４人ートモナガ君、マキノ君、ナカヤ君、そしてユカワ君ーは、まさにみな、実験室の片隅で自然のなかに隠された”詩”を見つけた人々であった。そして、彼らが見つけた詩は、いまもこうして多くの人たちのもとへ届けられている。高野さん、素敵な本をありがとう♪  

  2014.10.28

• キャンディ・キャンディ

  　今年はユリノキの葉っぱが落ちるのも早いです。　スコットランドの独立はどうなるのでしょうね。征服された歴史を考えると独立するのが成り行きのような気がする。しかし経済を考えると大ブリテン王国についていた方が得策なのかもしれない。１３世紀のスコットランド独立戦争を扱ったアメリカ映画「ブレイブハート」の終わりの部分で、勇者は「たとえイングランドに征服されても自分たちの心はスコットランドのものだ」と言っているらしい。この映画を見たら、独立賛成が増えるかも。　以前習っていた英会話（全く身につかなかったけど）の若い女の先生は、「アイム　スコティッシュ。イギリス人じゃない」と最初の自己紹介の時に言ってましたっけ。 　スコットランドで思い出すのは、漫画史に残る傑作「キャンディ・キャンディ」の最初の頃のシーン。（よその方のブログより引用させていただきます）＝丘の上で泣いていたその時、突然現れたのは、スコットランドの民族衣装を着てバグパイプを持った金髪の少年だった。 キャンディ：あなただれ？妖精？それとも宇宙人？ 少　年：おもしろいこというおチビさんだね。ぼくはちゃんとした人間だよ。 キャンディ：でも、スカートはいて、へんなかっこうして . . . へんなものもってる。 少　年：スカートじゃないよ。これはキルトといってね、スコットランドの民族衣装。この胃袋みたいなのはバグパイプ . . . いいかい、きいててごらん。 キャンディ：かたつむりがたくさんはってるみたいな音ね。 少　年：あははは。かたつむりか、そいつはいい。おチビちゃん笑った顔の方がかわいいよ。＝　孤児のキャンディが明るく元気に育ち、自立していく物語。不幸なことに、この名作は、作者水木杏子さんと絵を描いた、いがらしゆみこさんの破局により、もう書店に並ぶことはないのです。当事者にしたら破局と簡単に言い切れるものではないんでしょうけど、ほんとにほんとに惜しいです。いがらしゆみこさんの絵が本当に素晴らしくて、作者の水木さんの名前よりも、いがらしゆみこさんの名前の方が有名になってしまったんですよね。著作権でもめたらしい。　ヤフオクでは状態悪くても９巻で１万円くらいが相場みたい。  スコットランドといえば、次のＮＨＫ朝ドラは、ニッカウイスキーの創始者の話らしい。スコッチウイスキーが縁で結婚したヒロインはスコットランド人だそうです。    

  2014.09.18

• 夏の寓話

  　蜂の巣をつついたような騒ぎ、にはならない上品な日本。 ２週間くらい前、玄関前のウメモドキが茂り過ぎたのでカットしたら陰に蜂の巣が隠れていました。かわいいみかんちゃんが鼻さきなど刺されたらどうしよう、とびびって、犬ともＢに相談したら、「その蜂はおとなしいので、そのままほっておくと秋の終わりにどこかにいってしまうよ」というので、そのままにすることにしました。　その蜂は、スズメバチでもアシナガバチでもなくて、ミツバチを少し大きくして細くしたみたいな体型。 　ちょっとびくつきながら朝顔などに水遣りをしていたのですが、彼らはせっせと働いて、小部屋には幼虫らしきものを育てているらしい。写真のように柱のようなものを立てて、そこにまた段を重ねています。子育てがんばれよ、と応援したい気分になってきた頃、一匹のスズメバチがやってきて、バリバリバリバリ音を立てて巣を破壊し蜂の子を食べ始めたのです。　きっとスズメバチにみつからないように、ウメモドキに隠して巣を作っていたんでしょうね。知らないでおかした私の罪。　蜂たちは自分の巣や子が食べられていても見ないふりをして別のほうで巣の工事をしていました。一日くらいたって、スズメバチは巣の中身を食い尽くしたかと思うとなにやら黒い毒を撒いたらしい。巣は黒っぽくなって、蜂たちはよたよたしはじめ、２，３日巣にしがみついたりしていましたが、全員死んでしまったみたい。　私は、巣の退治などをしなくて自然消滅したので、まあまあ良かったのですが。　ああ、蜂の話は特に寓話ではないんですけどね。　山岸涼子先生の「夏の寓話」は、大学生のスミオが、留守番に行った夏休みの広島で「燃えた女の子」に出会う話。

  2014.08.25

• 翻訳

   「夕凪の街 桜の国」 の最終ページです。これはフランス語版。「夕凪の街」では、原爆症や差別や貧困に苦しむ昭和の人たちが描かれ、「桜の国」では、それを間接的に引きずりながら、核を乗り越え生きていく人たちが描かれています。やはり、２つのお話の両方ともが必要だったんですね。　ところで、先日「ＹＯＵは何しにニッポンに」というのを見ていたら、スペインだかポルトガルだかから来たという若いプロレスラーの人がいました。その人は「みちのくプロレス」の興行に出るために来たのです。そこで技も精神も学びたいという、宮沢賢治の好きな人。ゴングの前に「カムパネルラー」と言うらしい。　その彼が練習中にＰＣに向かっています。何をしているのかと思ったら、プロレスだけでは食べていけないので、日本のアニメをスペイン語に訳す仕事もしているとか。漫画の外国語訳って、こういう人もやってるんだ～！とびっくりです。　ところで、東京新聞夕刊の「大波小波」さんと同じページに、池澤夏樹さんが河出書房新社から刊行予定の「日本文学全集」の記事が。　この全集に採られる予定の作者や作品について、先日、大波小波さんがこてんぱんに異論を唱えていたんだけど、今日の批判は『近現代作品のセレクトには、一癖も二癖もある』という程度。　須賀敦子、吉田健一も入っています。古典の現代語訳のメンバーは興味深い。　古事記　　　池澤夏樹　竹取物語　　森見登美彦　伊勢物語　　川上弘美　堤中納言物語　　　中島京子　土佐日記　　堀江敏幸　更級日記　　江国香織　源氏物語　　角田光代　枕草子　　　　酒井順子　方丈記　　　　高橋源一郎　徒然草　　　　内田樹　宇治拾遺物語　　町田康　平家物語　　　古川日出男　好色一代男　　島田雅彦　おくのほそ道　　松浦寿輝　たけくらべ　　　川上未映子 　という具合。楽しみなのは、やはり酒井順子ちゃんの「枕草子」です！♪   

  2014.08.16

• 梅仕事

  　3日３晩の梅干し完成！今年もジップロックのビニール袋で塩分１０％の減塩梅干です。２０１１年には和歌山産の南高梅にこだわって、外には干さずに室内干しにしました。今年はすっかり忘れて３日間大気に晒してしまいました。放射能の半減期から考えればまだまだ直後の時間なのに！　「河童」を探して芥川の全集を引っ張り出していたら、なぜか奥のほうに山岸凉子先生の「夏の寓話」が出てきました。「夏の寓話」は夏休みに祖父の家の留守番をすることになった大学生の男の子が、公園の物陰から子どもたちの遊ぶのを見ている女の子と触れ合う話です。その子は、原爆で燃えてしまい一人さまよっている死んだ女の子なのでした。　最後にナジム・ヒクメットさんの「死んだ女の子」の詩が書かれています。『扉をたたくのは　あたし　あなたの胸にひびくでしょう』　　　　　の、あの詩。　この本に収められている中に「パエトーン」があります。太陽神アポロとエチオピア王妃になっている母との間の子パエトーンは、神の子である証がほしくて、父のアポロンに会いに行き、空を翔る日輪の車を無理やり引き出して天をめぐろうとします。　しかし、日の車を御すのはアポロン以外にはできないのでした。　地球の各地を燃やし続けたパエトーンは、万物が焼き尽くされることを恐れた全能の神「ユピテル」に稲妻を投げつけられ、焼け死んでしまいます。　遠い昔の神に成り代われると思い上がった、愚かな若者の物語、しかし、現代にも同じような愚かな悲劇が再現されようとしている・・・・　　として、電気を作るためだけに存在する原子力発電所について、詳しい説明がなされていきます。　２０１０年の刊行で、フクイチ事故後の２０１１年には第２刷が。　作者の分身が語ります。『広島・長崎と世界で唯一の原爆投下を経験している我々日本人は、核兵器といえば１も２もなく反対！これはもはや当然。』『ところが同じ核を扱っているのに、原子力発電所に対しては少々の不安はあるものの、電力供給という形の核の平和利用としてならば、その存在はいたしかたないのでは・・・・・というのが大方の意見だと思うのです。』　そしてチェルノブイリの事故のひどさをを知れば知るほど、たかが電気のために危険な核を使うことに疑問を抱き、広瀬隆さんの本などでその危険性や処理できず増え続ける核のゴミ問題などを知ります。『政府は一応安全だと言っています。科学の最先端をいく何重ものコンピューターシステムで管理されているから滅多なことは起きない・・・・って。』『めったな事だって。コンピューターを操作するのはあくまで人間よ。ミスというのは人間がするんじゃないのかなあ。番町更屋敷のお菊だって、家宝の皿とわかっていて割ってしまったのよ。』 最後に『わたし達は、原子力発電の安全性も解決できぬうちに、つっ走ってしまったのです。その放漫さを恥じながらも、今　わたし達にできる事は、原子力発電の即時停止を実現する事だと思うのです。』★この本が出版された翌年の３月、フクイチの爆発が起きたのでした。終わりの始まりがはじまったのです！  

  2014.07.26

• ９条がノーベル賞候補に

   巴里夫(ともえさとお）さんの「石の戦場」です！ 　憲法９条をノーベル平和賞に、と昨年１月から署名活動を始め、４２人の学者の賛同と２万５千人の署名を集めて応募した実行委員会に、「候補として正式受理」の知らせが届いたそうです♪ヤフーニュースによれば　『戦争の放棄を定めた憲法９条をノーベル平和賞に推した「憲法９条にノーベル平和賞を」実行委員会（事務局・神奈川県相模原市）に、ノルウェー・オスロのノーベル委員会から推薦を受理したとの連絡があり、正式に候補になったことがわかった。 　連絡はメールで９日夜、実行委に届いた。「ノーベル委員会は２０１４年ノーベル平和賞の申し込みを受け付けました。今年は２７８の候補が登録されました。受賞者は１０月１０日に発表される予定です」との内容だ。 　事務局の岡田えり子さん（５３）は「受理されてうれしい。受賞者は個人か団体となっているが、受賞者を日本国民としたことを委員会は受け入れてくれた。これで日本国民一人一人が受賞候補者になった」と話した。』　とのことです♪憲法９条を世界に輸出する・・・このノミネートは平和のために大きな一歩だと思います。　先日、東京新聞の読者のお便り欄に図書館では「はだしのゲン」の隣に「巴里夫」さんの作品を置いてほしい。という投書が載りました。「りぼん」や「ぶ～け」で活躍、少女漫画ふうのかわいらしい絵ながらも、戦争の悲惨を描いた作品を残しているそうです。 小学館の「漫画が語る戦争」には、巴さんの「石の戦場」があります。  はじめに彼の言葉があります。『ぼくはいままでに３回、戦争の物語をかきました。　二度と戦争をおこさないために、戦争のおそろしさを記録しよう、そしてみなさんにも知ってもらおうと考えたからです。　今回は、自分の経験をかくことにしました。　ぼくは戦争中に生まれ、戦争は正しいと教えられて育ちました。いまおもうと悪夢のようです。わすれることのできないその当時をふりかえり、すなおにかこうとおもいます。　昭和２０年、１３歳の記録です。　　　　　巴里夫　　』　彼は昭和２０年春、試験に合格して５年制の中津中学校に入学。教練の時間に敬礼の仕方が悪いと怒られ、画家になりたいといって罰を受けます。そしてほどなく「宇佐海軍航空隊」に勤労動員の命令を受けます。　すでに兵舎も格納庫も爆撃にあい、いつ爆発するかわからない「時限爆弾あり立ち入り禁止」の張り紙もあります。 彼らの仕事は大型爆弾のあとの貯水池のような大きな穴を埋めるため、近くの「駅館川＝やつかんがわ」から河原の石を運んでくることでした。　爆撃があると怖いのは敵の機銃掃射よりも、味方の高射砲がばらばらに壊れてその破片で即死することでした。　下駄屋のとうちゃんは家の強制撤去を拒んで非国民といわれます。　ある日、不時着して操縦士が死んだ「一式陸攻」を友達と見ると、でかい機銃は竹筒を黒く塗っただけのものでした。　知り合った藤原少尉は、大学で歴史を勉強している人でした。　８月５日、とうとう家が壊されます。　藤原少尉は漫画をいっぱい描くようにとノートを託して出撃していきます。少尉は「テキカンハッケンワレトツニュウスサヨウナラ」の無電を残して戦死します。８月１５日の３日前でした。　 巴さんはさいごに『（あの頃の）友だちも色いろな分野で元気にやっているようです。ぼくもこうしてマンガをかいています。二度と戦争をおこすまい、おきないようにと願いながら・・・・』　と結んでありました。 憲法９条を日本の宝として、世界に広めるのがすごく大事だと思います。

  2014.04.12

• 長靴

  つげ義春の夫人、藤原マキさんの長靴姿です！「私の絵日記」３月３日より。＝正助と歩いて調布へ買い物に行った。このところ物があんまり高いので少しでも安い物を買うことに真剣だ。まず食料品。正助との約束の「しゃもじ」はちょっと可笑しかったが、買ってやったら大喜び。これから長靴もいるので母子おそろいで黒長にした。帰ってオトウサンに履いて見せると、魚屋のネーチャンみたいだとからかった。＝という文章つき。私もこれを読んで「黒い長靴」を買いに行ったのですが、男物でサイズが２５センチ以下がなくて、そこに田んぼ用のなが～い黒長があったので買いました♪おばあさんが田んぼに入るのに使うらしくて、小さな２２センチから２４センチまであったのです！ひざ上丈！喜んでいたけど（まだある）脱いだり履いたりが面倒で使っていません。その後、作業服屋さんでプロみたいにかっこいいと思って白長を買いました。多分４９８円。安かったけど、履いたその日にすでに劣化していて細かい裂け目があるのを発見。しばらく履いて次ぎに臙脂の９００円くらいのを買ったけど、それもすぐに漏ってしまいました。今回の大雪で、これを履いて雪かきしたけど大きな穴は見つからないのに、完全に漏れています。ちゃんとした値段のを買えばいいのに、高くて見た目もいいのに出会わないのです！ そうそう、雪祭りの前日（ツアー料金が翌日からの半額！）に札幌で雪国仕様の長靴を買ってきました。底に金具がついていて、雪道ではその金具を立てるのですが、ゴムと金属の相性が悪くて、２年くらいしかもちませんでした。 そうそう、渓流上りの沢足袋持っているけど、これは凍った雪道も平気の優れものね。でも町なかではちょっとかっこ悪い。 これから気候もおかしくて、長靴の出番多いかもね。良い長靴を捜してみよう。ながぐつを、兵隊さんは「ちょうか」って言ったらしい。そんな日が二度と来ませんように！マキさんの絵の正助は、ほんとに可愛いです！マキさんが生きていたら良かったのに。

  2014.02.15

• つげ義春

  つげ義春の特集だったので、芸術新潮の１月号を買いました。この本を手に入れるにあたっての経験は、本屋さんには入荷してなくて、発行元も在庫なし。ところがあまぞんには在庫があって申し込めば当日か翌日に手に入る・・・・という世の変遷・・・。内容は、大そう気に入りました。「海辺の叙景」「沼」「赤い花」「李さん一家」などが、原画で紹介されているので、吹き出しの部分に紙が張ってせりふが入っていたりするのがそのまま。つげさんファンのコメントあいろいろ。漫画家の東村アキコさんは「私がもし、年季の入った４０代以上のつげ義春ファンの男性だったら、私みたいな女のファンはいやですね～。「お前。分かってんのか！」って叱りたくなる。そんな妄想をしちゃうほど、つげ先生が大好きなんです。」なんて書いてます。作家の戌井昭人さんは「多摩川でつげさんとすれ違いたい。」総解説は、明治学院大の山下裕二先生です。つげ義春の作品履歴と人生がくまなく(多分）網羅されています。そして、つげ義春本人とのロングインタビュー！写真にびっくりです。すっかりおじいさんになっていてびっくり！戌井さん、すれ違っても分からないでしょう！でも、作品のこと、漫画家仲間のこと、暮らしぶりのことなど、ていねいに答えてくれてますね～！ふつうのおじいさんじゃない言葉もあちこちに。たとえば『くどいようですが、この現実世界は本来あるがままで意味はないのに、そこを主観でもってさまざまに解釈し、意味づけをしてひとつの世界像を「創作」したわけでしょう。別の解釈をすればまた別の世界になる。ということは、虚構の世界にすぎない。』 今回掲載されていて、初めて読んだ作品「外のふくらみ」は、外が家の中に進入してくる、というお話です。つげさんが一番好きな映画は「居酒屋」だそうです。マキさんの死後、町も人も遠ざかっていく感覚「離人症」にかかったけど、担当医の転勤で医者に行かなくなり、それまでのノイローゼの薬をやめたら、両方とも改善したらしい。そして今は、むすこの正助が引きこもりで、その世話と家事に追われているそうです。ありゃ～、マキさんの息子だから、地道な会社勤めなんかしているかと思いました。「私の絵日記」で、つげさんとマキさんが幼稚園のバッグや小物に名前つけて大変だったあの頃が懐かしいです！漫画を描くのをやめて静かに消えていきたい、というつげさんだけど、正助のために、漫画が売れるといいな♪  

  2014.01.26

• 名著

  犬を連れて近所の大宮神社に行きました。 なんとなくいけないような気がして、犬は鳥居の外につなぎました。この神社は「かねおや大宮神社といい、御成街道沿いにあります。祀っているのは、天神さま、猿田彦、天のうずめ、らしい。小さいけれどとてもきれいにされていて、集落の人たちに大事にされているみたいです。大きな杉の木があります。さて、東京新聞夕刊に呉智英さんが「名著の衝撃」というコラムを毎日連載されています。昨日の楳図かずおの「わたしは真悟」は、作品を読んでないけど、評だけで衝撃でした。楳図かずおは、漂流教室が代表作といわれているが、呉さんは彼の最高傑作は１９８２年の「わたしは真悟」だといいます。呉さんだけでなく、フランス文学者の中条省平さんも、２０世紀文化遺産に挙げているそうです。ビッグコミックスピリッツで連載され、開始から２年たってやっと「真悟」が何者か分かる、という難解なものらしい。何かあるはずと読み進められる人は、鬼才楳図の究極の人間観、世界観に出会えるらしい。＝各章ごとの扉絵の暗示と詩情に富んだ美しさも見どころで、楳図がどれだけ情熱を込めてこの作品を書いたか分かるだろう。この作品の前に全文学は恥じてもいいとさえ思う。＝って書いてあります。読んでないけど、どんな作品なんでしょうね。怖いけど読んでみたいです！さて、今日は業田良家さんの「自虐の詩」でした。 呉さんは、マンガの評論を長くやってきて、数少ない自慢が『自虐の詩』を世に認めさせたことだそうです。週刊宝石で連載５年、単行本も出たがさほど話題にもならなかった。それが、２００４年の「ＢＳマンガ夜話」で取り上げられて、大ブレイク！連載終了から１４年して大ベストセラーになったのだという。遊び人のイサオ。尽くす妻の幸江。どうしようもない貧乏な少女時代に、幸江にできた、たった一人の友だち、熊本さん。 私も泣いたけど、呉さんは＝この作品は、泣けるマンガの代表作とされる。確かにその通りだが正確ではない。魂をゆさぶられて涙が溢れるのだ。掲載紙といい、四コマ形式といい、マンガ史の常識を覆す傑作となっている。＝と、書いています。実写でも見たけど、熊本さんがピカピカの奥さんになっていて、嬉しかったよ～♪確かに傑作！

  2014.01.10

• 台風一過

  　野菊系の小菊です。　台風一過で爽やかですが、北風ぴゅうぴゅうで寒いです。　それでも太陽が出れば、台風の被害にあった人たちも忙しく復旧作業を始めていることでしょう。　伊豆大島の復興のために何かしたいけど、復旧したら「大島産の品物を買って応援」なんていうルートができるといいですね。　ところで、各地の人たちが気にしている福島。　今日の東京新聞、こちら特報部さんに、小学校の先生が原発事故後の学校を漫画にしている様子が紹介されていました。リード文はこんなふう。＝福島第一原発事故後の教育現場を漫画で描く。　福島県郡山市立開成小学校の教諭、大塚久さん（５０）だ。　とかく閉鎖的と言われる教育の世界で、「管理職になるつもりはない。煙たがられてもいい」と腹をくくり、プロを志した腕前で描き続ける。「世間が事故から目を背けたら福島の子どもはどうなる」。　将来を案じる思いは消えない。＝　この夏、大塚さんが描いた漫画、[NOT YET OVER]では　『事故から３ヶ月ほど過ぎた梅雨時、被ばく対策で窓を閉め切った教室で、女子児童が熱中症で倒れる。　別の児童の母親は放射能が怖くて転校を申し出る。』　自分や教諭仲間の体験から物語を。　原発事故の問題を描いた漫画は二作目で、「まだ終わっていない」「忘れちゃいけない」　という思いで描き続けているという。　一作目は、避難生活を強いられた高校生の心を「この青空は、ほんとの空ってことでいいですか？」　という作品に。　これは、県立あさか開成高校演劇部の舞台を基にしたそうです。　自分を含めての大人たちの意識が変わりつつあることに・・。「心が疲れ果て、事故を忘れたがっている。でも、放射能の脅威は残っている。　大人が何かをしなければならない。」　原発と学校を題材にしたアニメの制作も進めている。　来春には地元テレビ局で放映されるそう。　学校で教務主任を務めているが「描くべきことは描く。　子どもたちを守るために必要だから。」　と、３作目への意欲充分らしい。　そうそう、大塚さんは大学在学中に漫画家のアシスタントをつとめ、「うる星やつら」や「クリーミイマミ」などのアニメ制作の経験もあるそうです。　なんか頼もしい♪　いろいろな能力を持ったちゃんとした大人たちの活躍、いろんな分野で期待します！　　考えてみれば、高校時代、生徒に人気のあった先生は、誰も校長にならなかった・・・。　そういう大人の社会があったことに、今になって気がつきました。　　

  2013.10.27

• 暴れん坊少納言

  　清少納言のことをまとめようと思って、大御所の池田亀鑑先生の本を読んでいるのですが、なかなか進まないので、漫画を読むことにしました♪　かかし朝浩さんの「暴れん坊少納言」。　史実と違うので、参考にならないけど、最初に結婚した則光とはまだ結婚していないものの、ラブラブのよい関係です。　則光は文化的でない肉食系男子で、体を張ってなぎ子を守ってくれます。　定子さま亡き後、女房たちは彰子のところに再就職するも、なぎ子は勤めをやめて則光の任地に二人で旅立つのです。　定子さまは明るく元気なしっかりもの、彰子は鬼姫といわれて嫌われ者なのですが、最終的に定子の生んだ親王の母となってその身を守ります。　史実と違うけど紫式部も出てきて、暴れん坊のなぎ子に押され気味ながら、なかなか良いキャラクターです。　則光の同輩に、お調子もんでかっこつけの警護係の右衛門の佐宣孝（のぶたか）がいて、紫式部のことがちょっと気になっています。　枕草子に描かれた宣孝！第１１５段　「あはれなるもの」　手厚く親の喪に服している人の子。　身分の良い若い男が御嶽精進しているところ。　などと書き始めていますが、清少納言が見聞きしたエピソードが続きます。　金峰山の御嶽参りは、どんな身分の高い人でもこの上なく粗末な服装でお参りするのが習いなのに、右衛門の佐（うえもんのすけ）宣孝という人は、「それはつまらないことだ。物がなんであろうと清浄な着物を着て参詣すれば良いはずだ。まさか御嶽の蔵王権現は、粗末な身なりで参詣せよとおおせではあるまい」と言って、　３月の末に、紫のとても濃い指貫に，白い狩衣、山吹色の大袈裟に派手な内着などを着て、主殿寮の次官の息子には青い狩衣，紅の内着、それに乱れ模様を染めたはかまというものを着せて、そんな格好で連れ立っておまいりしたのを見て、参詣の人たちは見慣れぬ風体だと目を見張り、一体全体この金峰山詣でにこんな恰好の人があった試しはないと驚きあきれたことだった。　しかし，彼らは４月の朔日に京に帰って来て、それのみか、６月１０日の頃に時の筑前守が辞任したその代わりにその席が転がり込んできたのは、成る程、その言葉の通りだったことよと，当時評判になったことだった。　これは、この文の主題とする「あはれなること」ではないけれど、御嶽の話が出たついでに書き留める。☆先例を重んじ神仏の加護を受けることが重要な平安時代にあって、さばけたというか何と言うか、派手好みの太っ腹のような宣孝は、誰かと言えばそののち山城の守に出世して、紫式部の夫となった人です。　すでにこの時大きな息子がいて、紫式部は何人目かの妻だったんですね。　年齢差はあっても紫式部の結婚生活はけっこう楽しいものだったような気がします。（以前のブログより♪）

  2013.10.07

• ホワイトアウト

  台風一過の秋晴れに、四季咲きの巨大輪強香バラのアトーレちゃんが咲きました。 今日の表題の「ホワイトアウト」は、東京新聞の斎藤美奈子さんの本音のコラムより。　その前に、時局をとらえたこんなニュースが。＝事故後の福島第1原発で作業員として働いた経験をつづったルポマンガ「いちえふ　福島第一原子力発電所案内記」が週刊マンガ誌「モーニング」（講談社）主催の新人賞「第34回MANGA　OPEN」の大賞に輝いたことが3日、分かった。　作者は48歳の竜田一人（たつた・かずと）さん（ペンネーム）で、同作は3日発売の同誌44号に冒頭4ページをカラーに変更して掲載。竜田さんはこれが商業誌デビューとなった。同誌編集部によると、ルポマンガが大賞を受賞するのは初めてで、新人賞の受賞作をカラーで掲載するのは異例だという。＝　原発作業員を描いた漫画は、勝又進さんの「深海魚」を持っているけど。　まだ読んでないけど、多くの皆さんに関心を持ってほしいですね！　さて、斎藤美奈子さんです。本文をいただきます。「実話か予言か」＝若杉冽著「原発ホワイトアウト」（講談社）という小説が一部で話題になっている。　物語は七月二十一日の参院選投票日からはじまり、原発の再稼動をめぐる霞が関や永田町や電力会社の動きを追うのだが、あまりにリアルで背筋が凍る。　たとえば原子力規制庁の審議官が「あのクソまじめな委員長」を評していう。「一度は独立行政法人原子力サイクル研究所の長までなった男だよ。機を見るに敏・・・風は詠むよ。」　資源エネルギー庁の次長は金曜デモを見て考える。「大衆は常に愚かで、そして暇だ」。　彼らが手を焼いているのは新崎県の伊豆田知事である。「どうやってこの知事に毒を盛るか」。　やがて知事にも魔の手が伸び、事態は最悪の方向に転がって、ついにその年の大みそか・・・。　発売は九月十一日。　新潟県の泉田裕彦知事が柏崎刈羽原発の安全審査申請を承認した二十六日の背景が、あらためて気になることしきり。　と同時に本書で再認識したことがある。　新潟県や福井県など日本海側の冬のリスクについてである。　原発で何かあった場合、雪で避難が滞ることは十分あり得る。　作者は「霞が関の省庁に勤務」とだけ記された謎のキャリア官僚。　秘密保護法が成立したら、内部告発に似たこういう作品にも規制がかかる！？　「半沢直樹」で溜飲を下げてる場合じゃないかもよ。＝　☆という斎藤美奈子さんでした。　原発事故が起きて、雪でどうしようもなくなるのかな？　漫画と小説、それぞれの分野で力のある人たちの登場を期待します！　　

  2013.10.03

• 曼珠沙華

  最近いろいろな所で曼珠沙華を見かけます。 毒があるせいか、昔は「死人花」といって、お墓のあたりに多く、庭に植えるなんてとんでもない、という感じでしたが、最近はどこにでも植えられて、しかも丈夫らしくてすごく殖えてますね。　私は、まだ庭に植える勇気はありません。　花の形が同じでピンクの「ダイヤモンドリリイ」という名のは、知人の庭に植えてありますね。　あれくらいなら許せるかな。　さて、今よりも死が人々に近いところにあった戦時中に、惜しくも若くして散った一つの才能を描いた漫画を読みました。　小学館の「漫画が語る戦争」の中の、古谷三敏さんの「寄席芸人伝　噺家戦記　柳亭円治」です。「禁演落語　五十余種」を描いた中に、兵隊姿で敬礼している円治さんの姿。　禁じられた演目は明烏・粟餅・磯の鮑・居残り左平次・お茶くみ・おはらい・お見立て・首ったけ・廓大学・子別れ・五人廻し・三助の遊び・三人兄弟・三枚起請・品川心中・高尾・辰巳の辻占・付き馬・突き落とし・坊主の遊び・・・・などなど５０以上。　艶っぽい話が多いようですね。　お話は　昭和１６年１０月３０日。　浅草寿町３丁目、　本法寺境内。　この日、時局に合わない５０余種の落語が、禁演落語として「はなし塚」に葬られた。　円治の師匠、円枝と馬好が話しながら歩いている。「まったく、子別れも演れねえなんて」「悪い世の中になったもんだ」「しかし、おたくの円治、いいねえ。楽しみでしょう円枝さん」「うん。日増しにうまくなりやがる」「こんな世の中、そして老い先短けえあたしにとって、あいつだけが楽しみだ。」「来年の今頃は真打でしょう」「うん、そのつもりだ」　高座の円治は「芝浜」をやっている。　客席では「うめえ」「百年に一人、出るかどうかの逸材だ」　しかし、円治にも赤紙が来て、ニューギニアに送られます。師匠は「なんだって円治を取り上げるんだ。二度と出ねえ噺家なんだ」　と泣きますが、「噺家ばかりじゃねえ、腕のいい大工も、働きもんの農民も、みんな、みんなとられていっちまうんだ。　きっと円治は帰ってくるよ」　と慰められます。　米軍が上陸して明日は玉砕、総攻撃という前夜、真打披露の席を設けてくれた上官。　南の島で「五人廻し」を語ります。　売れっ子花魁が、一度に５人の客を取る話だそうです。　草の上に転がる円治の死体。　その手にしっかりと握られていたのは、扇子と手ぬぐいだった・・・。　時代に踏みつぶされた噺家、円治を知る人は少ない。　で、終わっていました。　いろいろな分野で惜しまれる死があったのでしょうね。　そして、ごく普通の人であっても、みんなかけがえのない誰かの家族。　この本の帯には、一水会の鈴木邦男さんの「ゲーム感覚で戦争をとらえがちな現代の日本人の　覚悟を問う警鐘の書。　漫画の底力を感じる」　とのコメントが。　　　　

  2013.09.28

• カノン

  小学舘の『漫画が語る戦争』を読みました。　２冊組みになっていて、「戦場の挽歌」は、戦場での話。　帯には鈴木邦男さんの「漫画の底力を感じる」とのコメントが。　まずは、水木しげるの「敗走記」　次に、楳図かずおの「死者の行進」　これは、昭和１８年に送られてきた、ラバウル最後の少年兵の、「死の行進」の記録です。　あどけない顔の少年が、大人に混じって苛酷な死への行進をさせられます。　比嘉すすむさんの「砂の剣」は、　沖縄の島の学校の先生が「兵がいて、基地があれば、ここは攻撃目標になり、戦場になります。」「小さな島です。住民は逃げることも隠れることもできない」「軍がいないほうが、ここでは生き残る可能性が強い」「島は私の教室です」　と、日本軍の小隊に島からの撤退を願い、住民を巻き込んだ戦闘から村の人々を守った話。　野間宏の「真空地帯」を滝田ゆう「寄席芸人伝」を古谷三敏「イカロスの飛ぶ日」を新谷かおる「銀翼」を立原あゆみ「兵器始末」を湊谷夢吉「テロルの系譜」をかわぐちかいじ「泣き原」を白戸三平「味いちもんめ」を倉田よしみもう１冊は銃後の人たちの「焦土の鎮魂歌」＝戦災死者８０万人と、生き延びた日本人の物語＝と、帯にあります。　手塚治虫の「カノン」は、　陸軍の弾薬庫近くの小学校で、米軍が火薬庫を爆破、機銃掃射で、カノンと呼ばれた少年一人を残して全員が死んでしまった話。　その学校も取り壊されることになり、カノンは呼び寄せられるようにその村を訪れ、小学生のままの同級生に会う・・・。ほかに「石の戦場」巴里夫「火の瞳」早乙女勝元作・政岡としや絵「少年たちのいた夏」北条司「黒い鳩の群れに」中沢啓治「ヒロシマのおばちゃん」曽根富美子「家路１９４５～２００３」ちばてつや「回転」山上たつひこ「垣根の魔女」村野守美　の皆さんの力作が載っています。　ぜひとも、お近くの図書館にリクエストしてみてください。　漫画家さんたちの思いがこもった本です。　

  2013.08.29

• はだしのゲン

  　今日は田舎にお盆の送り火に行きました。　雲ひとつないかんかん照りのお墓！　荒川強啓さんのラジオを聴きながら帰ってきました。　今日のコメンテイターは宮台真司さん。　宮台さんは、なんとなんと「風立ちぬ」９０％否定！　特に菜穂子の描き方はどうよ、って感じ。　解説には、二郎について、詳しく書かれているのに、菜穂子は「明るいなんとかの少女」という説明だけで、まさにそういう描き方だそうで・・・。　そして「力のあるものは美しい」（機能美のことかな？）の掘り下げ方が浅い、、、とも。　それから、ニュースの解説で「はだしのゲン」を貸し出し禁止にした松江市について。　　松江市の関係者はおろかな人たちだが、きっと裏に政治的意図が働いているに違いない、とおっしゃっていました！　このニュース知らなかったです！　で、ネットで毎日新聞！を以下に引用！『漫画家の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」について、松江市教委が市内の全小中学校に対し、児童生徒に貸し出さないよう要請していたことが分かった。「描写が過激」として昨年１２月、教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、全校が応じていた。出版している汐文社（ちょうぶんしゃ）（東京都）によると、学校現場におけるこうした措置は聞いたことがないという。　ゲンは１９７３年に連載が始まり、８７年に第１部が完結した。原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、約２０カ国語に翻訳されている。　松江市では昨年８月、市民から「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に提出された。同１２月の本会議で全会一致で不採択となったが、市教委が漫画の内容を改めて確認。「首を切ったり、女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めた。　現在、市内の小中学校４９校のうち３９校がゲンを全巻保有しているが、全て閉架措置を取っている。古川康徳・副教育長は「ゲンは平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり、授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」と説明する。　一方、汐文社の政門一芳社長は「原爆の悲惨さを子供に知ってもらいたいとの願いで描かれた作品。閉架によって風化しないか心配だ。こんなに悲しいことはない」と訴える。　「ゲン」を研究する京都精華大マンガ学部の吉村和真教授は「海外で注目される中、松江市教委の判断は逆行している。ゲンは図書館や学校で初めて手にした人が多い。機会が失われる影響を考えてほしい。代わりにどんな方法で戦争や原爆の記憶を継承していくのか」と話した。【宮川佐知子】』　宮台さんは、もし幼い子に過激と思うなら、親が説明を加えながら一緒に読むことを薦める。　松江市のおろかな行為は、世界から顰蹙をかうだろう・・・と。　

  2013.08.16

• 六の宮の姫君

  　ホトトギスです！　晩秋の雨ってこんなに勢いよく降ったっけ？と思えるほどの大雨です。　東京新聞が、激動の日々を連載しているのですが、今日は文化面の辛口「大波小波」。８０年前の１回目は、芥川龍之介の自殺に関する文を匿名の「権田朗」さんが手厳しく論じているそうです。＝個人の私生活をあばき巧みに社会問題化することがはやっている。　社会問題化というと美しいが、それは方便で売れさえすれば他人様の迷惑など構わぬという悪い意味の商業主義、、、ゴシップ的興味に過ぎぬ＝　この大波小波さんも、言論統制の末に昭和１７年、用紙不足のために休載になったそうです。　さて、北村薫の「六の宮の姫君」は、大学４年の「私」が、アルバイトで知り合った人から得た芥川の自作へのひとこと「玉突き、いやキャッチボールだよ」の意味を探していくお話です。　その場にいた人たちが、そのわけを訊ねたのですが、芥川は、ただ笑って答えなかったのだそうです。　姫君は、今昔物語では極楽往生できるのだけど、芥川の姫君は、往生できずに暗い闇の中をさまよう。「ただ暗い中に、風ばかり吹いて。。。」　　その意味を探していくうちに、芥川と菊池寛との友情や確執、作品上で「極楽往生」をめぐるキャッチボールの意味が見えてくるのですね。　芥川龍之介は、木曽義仲に憧れていたそうです。　中学５年の時の「義仲論」＝彼は誠に野生の心を有したりき。　彼は常に自ら顧みてやましき所あらざりき。　彼は自ら甘ぜむが為には、如何なる事をも忌避するものにはあらざりき。＝　臼井吉見は「わが人生もかくありたいという熱い思いがこめられている。しかし、芥川龍之介は、こんなふうに生きることはできなかった。　彼の生涯は、むしろ、この逆というべきものだった。　木曽義仲のように、おそらく一刻も生きることができなかったのが、ほかならぬ芥川龍之介だったのだ」　と、書いているそうです。　木曽義仲って、田舎出で野蛮だったので、都の貴族から嫌われた、、、みたいなのが高校の日本史だったけど。芭蕉さんも好きだったし、どんな人だったんだろう？　その頃から大切にしていたものを、菊池寛は作品で否定した（否定したといっても、芥川以外には分からないものかも）それに対して投げ返した球が、六の宮の姫君、、、、。　芥川は、息子の名前を菊池寛からとって「ひろし」とつけたそうです。　六の宮の姫君のお話を、私自身よく理解できてないので、読んだ方も意味不明かもね。　思い出すのは、ガロで連載していた、つりたくにこさんの「六の宮姫子の悲劇」。　遠い昔になりました。　

  2012.11.06

• ガラスの仮面かるた

  　ガラスの仮面かるたです！　美内すずえ先生の「ガラスの仮面」カルタを、息子が予約購入してくれました。　読み手は清水ミチコ、マヤちゃんの声は安達祐実、姫川亜弓さんは杏、月影先生は野際陽子、速水さんは京本政樹、げんぞうはケンドーコバヤシ、です。　努力型の亜弓さん、天性の才能のマヤ、で、ドラマにすると亜弓さん役の人は大変だろうと思うけど、杏さんなら、いけそう。　ガラスの仮面、最近csで再放送見たけど、漫画とは別物と思わなくちゃね。　あ、は１枚じゃなくてあ＝あたし女優になります！あ＝あめんぼあかいなアイウエオーあ＝ああ、わたしの手はまだ先生とつながったままです！一蓮先生！（月影先生のせりふ）あ＝あなたは千の仮面を持っている（月影先生）あ＝ああ！もうだめだ！完敗だ！（速水さん）　と、５枚もあるのです。　ちなみに亜弓さんの札はわ＝わたしは女優の仕事に一生をささげる決心です！げんぞうはお＝奥さま！乙部のりえひ＝ひきずられる、姫川亜弓の演技にひきずられる！桜小路優き＝きみはひとりじゃない。ふりむけばいつもでもぼくがいる。忘れないで・・・・。尾崎一蓮わ＝忘れないで千草・・・舞台の上でふたりはいつも一緒だ　ガラスの仮面、今はどうなってるんでしょうか？もう終わった？

  2012.10.25

• みをつくし

  　こうの史代の「この世界の片隅に」です。　若い娘に好評売れ筋という、高田郁（かおる）の「みをつくし料理帖」を読んでみました。みなしごの「澪」が、料理の腕をふるう女料理人。澪の思い人には、御前奉行の小野寺数馬。　そこで、女料理人の料理勝負と人情話がからまってくるのです。澪の創作料理も。　登場人物とあらすじは面白いんだけど、いまいち気持ちが入っていけないのは、人物の動きや説明が、なんかしっくり来ない。何故かなあ？やっぱり文章力かもね。プロに対して失礼だけど。　でも、今度このシリーズがテレビドラマになるらしい。澪を演じるのは北川景子なんだって。　去年？もう一昨年？北川景子の主演で「この世界の片隅に」がテレビドラマ化されました。　その前にこうの史代さんの原作を読んでいたので、広島から呉にお嫁に行った「すず」の、ちょっと暢気な性格から、北川景子ではきれいすぎる、きちんとし過ぎ！と思って見たのですが、すごく良かったです。　本の帯から＝戦中の広島、絵を描くことが好きな浦野すずは、軍都・呉へと嫁ぐ。　見知らぬ家、見知らぬ人々、見知らぬ街、、、＝呉の北條家に嫁いで半年。　戦争という暗雲が周囲を色濃く染めて行く中、すずは健気に日々を生きる、、、＝空襲から逃れたものの、時限装置のついた爆弾で、一緒にいた姪を亡くし、自分は右手を失ってしまう。　広島では家族たちが原爆で死んで行く。　あのとき死ねば良かったと思うすずの再生、、、。　はかなくて明るくて、割烹着姿で奮闘する、純粋なかわいい、北川景子さんのすずでした。　　なので、みをつくし料理帖も期待してます。

  2012.08.21

• 高野文子

  　今日は雲一つない晴天です！今日は、２４節気７２候の「桜始開＝さくらはじめてひらく」の日です。桜のつぼみはまだまだ固いです。梅もまだ咲いてないのもあるし、北国みたいに梅、桃、桜が一緒に咲く光景も見られるかも。　短歌の先生のうた＊ふるさとの信濃の春は遅けれど花あかりして桃さくら咲く　春が遅い国は憧れです！飯館村もこういう春だと聞いています。　昨日、よそさまのつぶやきを目にして、久しぶりに高野文子の「棒がいっぽん」を読みました。　その方は。その中の「奥村さんちのお茄子」が、高野文子の最高傑作だというのです。電気屋の奥村さんの所に、人の良さそうな若い女性の宇宙人が来て、「１９６８年の６月６日木曜日に何を食べましたか？」と聞く話。　話によれば、宇宙人が３０年後に効き目が現れる毒茄子を開発して、それを地球人に試すために派遣されたけど、その先輩が茄子を奥村さんに食べさせなかった件で追求されているので、無実を証明（奥村さんにちゃんと食べさせた）するために派遣されたとのこと。　奥村さんは、彼女とともに、２５年前のお昼の記憶を辿ります。　私には全然面白くなかった！　でも、その方は、「黄色い本」よりも素晴らしい、高野文子の最高傑作だとおっしゃるのです。奥村さんにとって過去の自分、そして未来の自分につながっていく、、、のだという。　ふ～ん。　読み直してもよく分からない。　多分、１９６８年６月６日の奥村さんの記憶として描かれたさまざまなエピソードが、合致するんだと思う。　私の記憶とは合致しないけど、この本の最初に載っている「美しき町」は、ある工場の町に住んだ２人の若い夫婦の爽やかな生き方を描いて、いい感じの作品。　日本の労働運動が希望に燃えていた頃のお話ね。　高野文子は、この主人公よりずっと若い世代なのに、着ているものや部屋の調度や、町のたたずまいが、上手！　私が高野文子の作品で一番好きなのは「黄色い本」。続いて「田辺のつる」。もう～身につまされるわ。そして、同感の人は少ないと思うけど、肥後？の姫様盛子さま？のお話。　気に入らないと「ヒ～っ」「キ～っ」とものを投げるのが、幼児期の恥ずかしい自分に似ているような記憶があるからです。

  2012.03.25

• 新たな被曝者

  　勝又進さんの漫画、深海魚を読みました。原発作業員の日々を描いています。　この作品は１９８４年に発表されたものだそうです。　勝又進は、ガロに４コマ漫画を描いていた人です。　「深海魚」は、地震のあとで止まった原子炉を点検する場面などを、新人の作業員の目を通して描いています。　危険立ち止まるな、と書かれた場所での作業（といっても、ぞうきんとバケツで拭き掃除）　そこではアラームメーターの音が一段と大きくなり、それを聞きながら「放射能が細胞（からだ）を撃つ音だ」と彼らは思う。「放射能に色がついていたら、あばたもいいとこだね」「俺なんかカラスみてえに真っ黒さ」　手袋の上からグラインダーで指を切ってしまった人がいて、放射能が身体に入るといけないので、タワシで傷口を洗い流す（内部被爆をさけるためらしい）　「デビルフィッシュ（蛸）」は、放水口のそばにいた巨大な蛸の話。　あまりの暑さにはしごを踏み外した人の線量計は２００ミリレムの線量計の針がふりきれていた。　病院へ運ぶ前に放射能汚染がひどくて外に出してもらえない。出血した頭の血に放射能がくっついたらしい。　「もう一度洗って来い」と言われ、ひん死のまま同僚に身体を洗ってもらう。　早く救急車の手配を、と言うが、親方が「救急車なんてとんでもない。事故が起きたのを知らせるようなもんだ。電力さんから次の仕事がもらえない」という。　結局、大物搬出口からタクシーに乗せて病院へ運ばれていった。（物扱い）　「タコは自分のからだを食うっていうけど、こちとらも似たようなもんさね」　☆というような作品でした。　当時は、放射能を外に出さない、という事に相当気を遣って作業をしていたようです。　今はどうでしょう？東日本に放射能をばらまいたふくいちの事故。　原発の作業員たちがシャツ、ももひき、黄色の靴下、、C服、フードつきのカバーオール、赤い靴下、靴、綿手袋の上にゴム手袋、そしてアラームメーター、　という防護服を着ていたのと、同じような放射線量に街が汚されているのでは、と心配です。　それに、ふくいちの収束をはじめ、これから廃炉にする原発の収束にも、多くの若い人たちの被曝を伴う作業が必要です。　全く、とんでもないものを作ってくれました。　明日は、大震災から１年。　原発さえなかったら、この国は、復興に向けてただただ邁進していけたでありましょうに。　　　　　

  2012.03.10

• 石巻の人

  　今日の東京新聞夕刊に、懐かしい名前がありました。　勝又進（１９４３年～２００７年）。　作品集「赤い雪」のほか、原発作業員の日常を描いた作品などを収めた「深海魚」が話題になっているそうです。　勝又さんの漫画は、主に４コマで、すごく面白かったです。この２冊、ぜひとも購入したいです。　「深海魚」には、表題作のほか、やはり原発作業員の日常を描いた「デビルフィッシュ（蛸）」というのもあって、作業員の日常をたんたんと描いてあり、漫画という媒体での意味のある記録になっているらしい。　知らなかったけど、（教育大卒業というのは知ってたけど）勝又さんは宮城県石巻市に生まれ、東京教育大学大学院で原子核物理学を専攻したのだそうです。　勝又さんの本を発行した青林工芸舎の浅川満寛さんは「もし今も生きていたら、東日本大震災と原発事故について、おそらく何らかの発言をしていただろうと思う。３１１後の私たちを見つめ直すという意味でも、勝又さんの仕事は見直されていくと思います」　と話しているそうです。　もっと生きていてほしかったです。　勝又進作品集を持ってるはずだけど、どこかな。探してまた読もう。

  2012.03.01

• 白土三平伝

  　毛利甚八氏の「白土三平伝＝カムイ伝の真実」を読みました。　心あたたまる「家裁の人」の原作を書いた人。　毛利氏は今は大分に住んでいて、地元の少年院で月に一度ウクレレを教えているそうです。家裁から送られて来た子ども達と今も向き合っているんですね。　「序」には「カムイ伝の第１部をじっくりと読んでみれば、そこには極東の日本という風土で数百年間続いてきた、人間の「食うための闘い」が執拗に描かれているのがわかる。　飢饉のさなかで食べるものもなく飢えて死んで行く人々が容赦なく描かれ、死にもの狂いで権力に抵抗してもあっけなく踏みつぶされ殺されていく運命の姿がこれでもかといわんばかりに提示される。　　戦後生まれで甘い博愛主義に浸ってきた筆者のような者からすれば「助けてくれ」と叫びたくなるほどである。　しかし、２０１１年３月に起こった東日本大震災の被害のありさまを心に刻んで戦後の日本社会を見てみれば、白土三平が「カムイ伝」を通じて語り続けた「人の生き方がこのように、自然の猛威や権力の無知に翻弄されて無惨にある」という認識が時代遅れではなかったことが身にしみて分かる。」　という文もあります。　「自然の猛威、権力の無知」。　今や７９歳、千葉の海辺の家に暮らして、漁師さん顔負けの日々に、にこやかなおだやかな白土三平の写真がたくさんあります。　そして、釣りの弟子みたいな毛利さんの姿も。　ファシズムと闘う画家の父、岡本唐貴の生き方と登（三平）の戦中戦後の暮らし。大阪、長野、東京。　長野では弟と二人、野山での狩猟採集生活も体験します。　　東京へ帰ってウサギを増やして売ったり、生命力たくましく生き抜く登は、紙芝居と出会います。　紙芝居ののち貸本漫画業界へ。　忍者武芸長、サスケ、影丸、長井勝一さんとの出会い。　自分が出資して「月刊ガロ」を創刊。　そこに集う、つげ義春ら多くの才能の開花。　そして今が、第７章＝カムイ伝の生まれる海辺　として、　現在の白土三平の姿があります。　それに寄り添う、野外生活科目の弟子として白土塾の末席に座った毛利氏。　「スガルの島」の漁師の暮らしは、この内房の磯での暮らしらしいです。　自分の思うままに進んで来た白土三平の人生が、素晴らしい！　ガロへの世論の賛同に触発されて、手塚治虫は「COM』を始めたのだと思うけど、時代の流れや経済の動向には無関心だった白土三平の生き方です。　とても読みやすくて、いろいろ調査して白土の足跡をまとめた毛利氏も、これを書いている時にきっと楽しかったと思います。　毛利氏は、これからカムイ伝を読む若い人たちに、読み方の方法のアドバイスも書いています。　カムイ伝は余りに長いので。

  2011.09.01

• 萩尾望都先生

  　萩尾望都先生の最新作が発表されました！辛口文化評論コラムの東京新聞夕刊の「大波小波」さんが、萩尾望都先生の新作を紹介していたので、「フラワ～ズ８月号」を購入してみました。　　大波小波さんによれば、３、１１から百日が過ぎていろいろなジャンルでの作品が生まれて来ている。しかし作品にするのには難しいようだ。「そんな中で震撼させられたのは、萩尾望都の短編マンガ「なのはな」フラワーズ８月号だ。」「あらゆる表現者が３、１１と格闘し続けている中、かくも純度の高い傑作を発表した萩尾に敬意を表したい。」　と結ばれていました。　非日常が日常となったフクシマの女の子の日常です。　外から帰ったらはたいて放射能を落とし、マスクは欠かせません。　先生が言います。「校庭の土替えが日曜になったので、野球大会は中止です」　大好きだったおばあちゃんは津波でさらわれてしまいました。でも、遺体がないので、女の子はおばあちゃんが帰って来た時を考えます。　　一時帰宅の２時間で何を持って来ようと家族で相談する。　ばーちゃんの種まき機を持って来よう。　　チェルノブイリの子どもたちを助けに行っていた　ばーちゃんの友だちが尋ねてくれて　「フクシマがこんなことになるなんて」と。　その日、お母さんは初めて泣く。　「おかあさんも悲しかったの。おかあさんもがまんしてたの」　チェルノブイリの女の子はあたし。あたしはフクシマにいるあなた。　一時帰宅でじいちゃんが持って帰ってきたのは、ばーちゃんの種まき器。今は蒔く畑もないけれど、　女の子は、決意します。「帰ったら、また牛を飼って、ヤギも飼って、チーズもつくる。　たくさん　なのはなを　植えよう」☆見えない放射能の恐怖とともに暮らして行かなければならない家族へ、萩尾望都先生の寄り添う心が作品として昇華した感じ。　こんな日本になってしまったけれど、あるのは「明日への希望」です！

  2011.07.05

• うぐいすかぐらの花が咲いたよ

  　公園の「うぐいすかぐら」のピンクの花が咲きました。本当は山のはずれにあると絵になるんですけどね。　この季節にはこんな歌。＊この花の名を教えたくて待ちており　　　　　　　　林のへりのウグイスカグラ　こんなのどかな日が、早くかえって来ますように。　昨日の夜は、地震予知犬みかんがうるさくて、睡眠不足です。　地表の磁場や地下の異変が分かるみたい。近くで大きくても騒がないのに、遠くから来る大きな地震に敏感です。そんな夜が明けて，今朝、福島方面から大きな揺れが来る前に、一騒ぎ。昨晩携帯の予報で広範囲で大きなのが来るといって震度３くらいだった時も鳴いて騒いだので、情報判断の基準は気象庁と似ているかも。　心がほっとするのは、各地での受け入れや応援の様子です。　被災地の皆さんに、千葉の鴨川大山という所でも市民グループが廃校の小学校を借りて受入れ準備を進めているとのことです。　東京ビッグサイトでも２４時間の避難受入れを始めたそうです。　今日も、千葉市の保健師さん、看護師さんたちが大槌町へ向かうとか。　　　　それぞれの立場で応援してほしいです。　ネットで水木しげるさんの行動を見つけました。　文章はこんなふう、プレスポップジャーナルさんです。『先週の水曜日の深夜にThe New York Times紙のアート・ダイレクターから連絡があり、水木しげる氏に『今回の日本を襲った地震と津波による大災害についての水木さんの個人的な考察』を絵で描いてもらえないでしょうか？と言うオファーがきました。　そして、２日後の金曜日夕方、絶対に水木さんしか描けないガチンコの作品がupしました。　そして、日本時間の今日、アメリカのニュース・スタンドで、水木さんが描いた力強い作品が掲載されたThe New York Times紙が発売になりました。』　津波にさらわれた漁村の遠景。海の中で助けを求めている、手、、、の絵です。　アメリカの皆さんの心に訴えることができる、力強い絵です。　水木しげるさん！ありがとう。

  2011.03.23

• 転身

  　今日の東京新聞の「東京どんぶらこ」は関川夏央さんが目蒲線の下丸子について書いていました。（前略）　（町は昭和２０年の大空襲で焼き尽くされた。）　下丸子がふるさとの内田樹さんは「誰もが１からの出発で過去を語るオトナはいなかったし、昭和３０年代まで、いわば貧困の共同体の希望が感じられた」と私に語ったことがある。　割に便宜的な街づくりで道がくねるのは、かつての農道をそのまま街路化したせいだ。　私が寺田ヒロオのマンガ「もうれつ先生」（昭和３３年を話題にしたからである。（中略）（もうれつ先生は、「清涼なさびしさ」の印象をとどめた作品）　寺田ヒロオは昭和２８年，２２歳のときマンガ家をめざして新潟から上京した。３歳上の手塚治が仕事場を持った椎名町のトキワ荘に住み、藤子不二雄のふたり、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らから兄貴分と慕われた。（中略）　（彼はのちマンガ家仲間とのつきあいを絶ち、平成４年６１歳で死んだ）　「もうれつ先生」の道場が下丸子あたりにありそうだと思ったのは、この町育ちの内田樹さん３月で神戸女学院大学を退職、神戸の御影に合気道の道場を開くと聞いたからだ。　最初は冗談だと思っていたが、本気だった。　「戦後」は去り、原っぱが消えても、基本とコミュニティ（町内）を大切にする態度は「もうれつ先生」とおなじだ。そう思い当たったからでもある。＝☆関川夏央さんの文でした。　内田樹さん、変わった転身をなさるんですね！びっくり！　しかしみんな体力があるうちにしたかったことにチャレンジするという、人生何度も生きる時代になったのかもしれません。

  2011.01.22

• ガロ曼荼羅

  　昨日は、老人向けストレッチ教室に行きました。　暑いので休みたかったけど、行けばすっきり快適です。　ストレッチ入りの太極拳の形を、前回までは６の仕草をしたのですが、８つ全部終えて完了。通しで踊れるようになりました。いつものように、ちょっと遅れ気味ですが、他の人のを見ていると大体同じように遅れています。　年齢を重ねると、美女も不美人もそこそこ老けてくるし、みんな偏差値５０前後をウロウロしているのが分かり、ホッとします。　終わって、恒例のカラオケ（聞く係）をしないで、急いで帰ってきました。コ・ヒョンジュンさまの「春の日」を見ないといけないので。　お友達のKさんに「韓国ドラマ見ないといけないから帰る」と言ったら「何？何？」と聞かれて、ちょっと題名は言えなかった。帰り道「隠すものでもなかったけど」と思いましたが。　前回も書きました、「ガロ曼荼羅」の、水木しげるさんの文をご紹介します。題は「君、富み給うことなかれ」です。＝何年前だったかわすれたが、貸本の世界もボツボツだめになり、南方の森の人のところにでも行って居候せなければならんと思っていた頃、突如として長井勝一社長（村上弘明さんの役）夫婦が現われたのである。「２人で『ガロ』という本を出すんだ。原稿料１ページ５００円出すよ」　という夢のような言葉、ぼくはその頃１ページ２００円位な仕事で、しかも仕事は途切れがちだったから、あまりの嬉しさに、買って来ていたソーセージを、夫婦の前でパクパク食べてやる必要はなかったのだが、嬉しさのあまりソーセージを全部食べてしまった。　（中略）　氏は貧乏ではあったけれどもやはり”天才”のうちに入れられるべきお人であろう。　もっとも『ガロ』のあの不可思議な新発明の編集方法も、じつに金がないやつの超発明であった。　逆に”金”があれば、平凡な雑誌と化していたであろう。　げに、”貧乏”は発明の母である。　不肖、水木しげるも「ふくふく饅頭」の一つも食えないといった長年の貧乏生活から、なんとか抜け出したいという一心から「鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」と書き続けたのでアル。　貧乏なくして、それはなかった、といえるだろう。げに”貧乏”は発明の母である。＝☆書きたい物を描く、という悠長なことは言っていられなくて、食う為に夢中でひねり出した作品なのかもしれません。　もう一人、池上遼一さん（ゲゲゲの女房では、窪田正孝くんの役らしい）の回想記。＝当時私は大阪で貸本漫画を描いていた。働きながら漫画を描いては日の丸文庫に持ち込みをしていた。　そんな頃、たまたま、初めて手に取った「ガロ」という雑誌で、つげ先生の「初茸がり」を読んでショックを受けた。それは今までに読んだことのない漫画だった。　さっそく私も、いわば「ガロ向け」の作品を描いて投稿した。これが初入選作「罪の意識」である。この作品が水木先生の目にとまり、ちょうどアシスタントを探していた先生から、長井さんを通じて「ちょっと東京へ出て来て手伝いをしないか」と誘われた。私は東京に憧れていたこともあり、すぐに上京した。　それから２年、水木先生のところにいた。偶然、つげ先生がそこにいて水木先生を手伝っておられた。　水木先生とつげ先生は性格的には違うが、とても気があっていたようだ。　水木先生も、つげ先生も、長井さんも、元来大阪人で商売っぽい人々に囲まれてきた私には、大らかで、ひょうひょうとしていて、全く見た事のない人種に見えた。　つげ先生は、仕事が忙しい最中に、一週間も十日もふらりといなくなってしまうことがあった。　水木先生がまた大げさにさわぐのが好きな方で、「どこかで自殺するんじゃあないか？」などといって大さわぎしたものだ。　そうしているうちに、つげ先生はまたふらりと帰って来るのである。つげ先生が徹夜で描き上げた原稿を、青林堂に運んだこともあった。　そんな中で、何本かの作品を単発で「ガロ」に発表していた。　あの頃の私は人間不信というか、若さゆえに何か鬱積したものがあり、偽善を嫌い、焦燥感なども手伝って、今から思えば暗いものを描いていた。　その一方で、『ガロ』の世界にのみ浸るを「恐い」と感じていた。私自身にはマイナーな感情のほうが多いのだが、かといってその世界にだけ自分を置きたくなかった。（中略）（やがて独立）　白土先生がやめた時点で、『ガロ』も難しい本になり、ついていけなくなってしまった。時代が変わって、私などの作品は『ガロ』の世界ではちょっと古くさいものになってしまった。　しかし、『ガロ』はそれで良いのだと思う。　最初から商業誌に登場するのは無理だ、という若い人たちが、前衛的なものを描く。いずれは時の流れと共に、古くなる。　次から次へと若い作者の感性を載せることで、『ガロ』はその時代のニーズに応え、作者にとっては登竜門となる。こうしていろんな才能を生んできたのだ。＝☆いかにも真面目な倉田くん（窪田正孝くん）みたいな分析ですね。　こうして、『ガロ』はず～っと貧乏ながら、きらめく才能を生み出して来たのです！　さあ、そろそろ「春の日」を見なくっちゃ！

  2010.08.26

• ぽっくり

  　暑いです！　ぽっくり 2010年08月25日　あまりの暑さに、外犬のみかんも、玄関の中から出られません。近づくと「いてはいけない場所？」と猜疑心いっぱいです。　今日の東京新聞の山崎哲さんの短期連載コラムに、寺山修司が靴をはかずに「ぽっくり」を履いていた、と書いてありました。　１６６センチくらいの彼は１０センチのぽっくりを履いていたのです。　履物といえば、「ガロ曼荼羅」に、北冬書房の高野慎三さんが書いていました。　熱狂的白土三平ファンであった高野さんは、練馬の大根畑の中にあった白土さんのアパートに数回遊びに行ったそうです。　以下引用＝同じ頃、調布の水木さんの家にもお邪魔した。　つげさんの「沼」が「ガロ」に発表された直後で、私が「沼」を絶賛すると、水木さんはわざと目を大きくむいて「おたくも頭がだいぶおかしいね」とあきれていた。　私が青林堂を訪ね「社員にしてくれないと放火します！」と長井さんに迫ったのはそれから半年後のことである。（中略）　あらためて「ガロ」編集員として水木家を訪れると、仕事部屋で黙々とペンを走らせている浅黒の青年がいた。水木さんが青年の背中を指さして「彼が頭のおかしなつげさんですよ」と、冗談まじりにヒヒヒッと声を低くして笑った。　そのあと、つげさんを正式に紹介されたが、つげさんは水木さんのとなりで顔を伏せたまま、ひと言も発しなかった。　そしてあい変わらず冗談をいい続ける水木さんと寡黙なつげさんのコンビは絶妙に感じられた。　やがて、つげさんは「ガロ」に「通夜」「李さん一家」「海辺の情景」と次々に作品を発表していった。私は水木家から１００メートルと離れていないつげさんのアパートに度々寄った。　２、３時間対座することもあったが、つげさんは二言三言話すだけだった。（中略）　白土さんは「カムイ外伝」の抜忍カムイの行動があまりにニヒリスティックだと周囲から批判された、と苦笑していたし、水木さんはニヒリズムの傾向を全面に押し出していた。　白土さんや水木さんが敗戦後の日本を凝視する過程で、懐疑の念を深くしただろうことは、各作品から充分に推察できる。　その白土、水木を両軸とする雑誌に、若い懐疑派が群がるのは必然であったろう。　　義春さんが２８歳、忠男さん２５歳、勝又、池上、佐々木、林マキ、つりたくにこさんらはみな１９か２０であった。水木さんでさえまだ４０を少し過ぎただけだった。　その若さが激動期とまともにぶつかった。　その頃、未来への展望は閉ざされ、絶望と破綻だけが実感として横たわっていた。　勝又さんも、マキさんも、忠男さんも、いつも素足にビニールサンダルをつっかけていた。　義春さんはグサグサの雪駄をはいていた。つりたさんはチビた下駄だった。　揺れ動いていた時代であった。＝☆という、高野慎三さんでした。黙っているつげさんと対座して、よく３時間も粘れますね。さすが編集者！　寺山修司が「町へ出よう」とぽっくりサンダルを履いていた時代に、若い漫画家の彼らも、サンダルや雪駄や下駄だったというのが、象徴的で面白いですね。　お金がないということもあったと思うけど「靴」を履かないことが、社会からのドロップアウト「アウトロー宣言！」だったのでしょうか？青春ですね～。　暑いので、私もこの夏は「下駄」派です。

  2010.08.25

• 薔薇の名前

  　名前の分からないバラです。　　２年くらい前に頂いた花束のバラを挿しておいたら、こんなに花が咲きました。春からずっと咲き続けています。名前を知りたくて、京成バラ園のカタログを見てみるのですがありません。修景バラだとは思うのですが。　茎を一本切ると、９本くらいの花がスプレー状に咲いています。花は、はじめピンクでだんだんに青白くなってきます。　今日は、知人が貸し出しギャラリーに出品しているので、川村美術館に行きました。今日の展示は、この美縦館のオーナー企業のOB会の皆さんです。　文化的な企業の人たちだけあって、上手！　庭園が大人気の川村美術館です。いつもたくさんの花が咲いているのですが、今日は紫のヤブランくらいかな？もうすぐ秋の草花が本格的に咲き出すことでしょう。　先日、表紙をお見せした「ガロ曼荼羅」は、ガロに関わった人たちの思い出話がいっぱい。　「ゲゲゲの女房」では、不景気そうな「ゼタ」ですが、当時の盛り上がりは、たいそうなものがあったようです。つげ義春の弟のつげ忠男さんの文章では。＝ガロの忘年会に３度だけ私は出席している。　一度目は初めて自分の漫画が掲載されたとき。　会場は新宿の何処か裏通りの、飲み屋だか小料理屋だかの２階で、わたしは案内状に記された地図を頼りになんとか辿り着く事ができた。　初参加の「ガロ」忘年会の宴はどのようなものであったか、実をいえば私はハナから上がりっぱなしだったので、あまりよく覚えていない。　当日は、毎号「ガロ」に凄い漫画を描いている凄い人たちを間近に見られるということで、家を出る時からすでに上がっていたほどだから、それは仕方がないのである。（中略）　わたしは終始うつむいていたので、誰がどこにいるのか分からなかった。　大袈裟ではなく、部屋の蛍光灯の光は、初めに一歩足を踏み入れたその時からとてつもなく眩しく感じていたし、第一、あまりキョロキョロするのはみっともないと考えたのだ。　何かドジをしでかして、兄に迷惑をかけてはならない。その事もあって、わたしは相当に緊張もしていたのである。　結局わたしが知り得たのは、真向かいにドッシリと腰を据えている、今は鬼籍に入ってしまったあの滝田ゆうさんだけであった。　恰幅が良く、和服をピタリと決めた滝田さんは陽気な人であった。　よく飲み、且つ飲んだ。（中略）　そして翌年、翌々年ともわたしは出かけて行き、そこで、後に芥川賞作家となった赤瀬川原平さんと隣り合わせに座ったり、勝又進さんの酒豪ぶりに驚嘆したり、うしろから忍び寄って来た林静一さんに「左にスキあり」とポンと潟を叩かれて嬉しい気持ちになったり、確か３度目の時だったか、欠席した兄とは旧知の永島慎二さんに相づちを求められてドギマギしてしまったりの忘れ難い情景を胸に刻みこんだのである。（後略）☆という、とても謙虚なつげ弟でした！　つげ忠男さんの漫画は、とにかく暗くて暗くて、貧乏で、、でも割と好きでした。元気かな～。

  2010.08.24

• ガロ編集長

  　先週の「ゲゲゲの女房」では、久しぶりに登場した「ゼタ」の村上弘明さんを、老夫婦が「息子がお世話になった大恩人」としてもてなす場面がありました。若夫婦では足りない恩人への礼を、老夫婦に語らせることで、ほんとに良い場面だったと思います。　そこで、村上弘明さんのモデルのガロ編集長、長井勝一さんの「ガロ編集長ー私の戦後マンガ出版史」を読んでみました。（物持ちの良い私）　主に白土三平さんとのことですが、水木氏の苦闘ぶりも語られていて、ドラマそのもの。　それ以外にも。＝１９６４年の「ガロ」の創刊から１、２年の間に描かれた水木さんの作品は、今見ても大変すぐれたものだった。とくに「ネコ忍」（１９６４年１２月号）だとか、「ああ無情」（１９６５年２月号）だとか、「剣豪とぼたもち」などは私が大好きな作品である。　だが、この頃の水木さんは、たんに水木しげるの名前で発表した作品だけで「ガロ」に登場していたわけではない。たとえば、１９６５年の４月号を見ていただくと、その活躍ぶりがよく分かる。　ここでは、まず水木しげる名で「剣豪とぼたもち」がある。ついで、水木さんの本名の布良茂の名で、「イソップ式漫画講座」として「どうなってんの」と「これはたまらん」の２つの掌編を描いている。また、同じ布良茂名で、「劇画小史」を、これは文章で書いている。　水木さんが、飄逸でユーモラスな調子の文章の書き手であることは、御存知の方もいられるだろう。　「劇画小史」にもそれが生きているが、ここではもう一つ、東新一郎という名前で「ロータリー」という欄に社会戯評を書いているのだ。まさしく、一人４役で大車輪の活躍をしているのだ。（一つには、編集者としての自分のいい加減さ、もう一つには、少しでも水木家の家計の足しになった）　さきにあげた１９６５年４月号の「イソップ式漫画講座」の「これはたまらん」は、おそらく、その頃の水木さんの心情をよく表したものといえるだろう。わずかに２ページの作品だが、大変印象深いものだった。　１匹のセミが、木の枝を降りてきて、そこに「青春」というものがあるのを見つけ、「誰だろう、こんなものを落として」という。　次に同じように「喜び」というのが落ちているのを見つけて、「おや、こんなものまで、、、」という。　そして、やがて、それらのものの落とし主らしい虫がうずくまっているのを発見して「お前は誰だ」と問う。　すると、「苦しみ」というものを抱え込んでいるその虫は「マンガ家だ」と答える。　そして最後、彼らをのせた木の枝がシルエットになって描かれたところに、２匹の、「それだけを大切にしておるのか」と、「これだけしか残らなかったんだヨ」　という問答が、吹き出しになって書かれているのである。　この、これでけしか残らなかったんだヨ」ということばには、このときの水木さんのなんともいい得ないような哀しみが漂っている。（中略）　そこには、彼の戦争体験や、まるで神様の悪意によってふりまわされていると感ぜられるような当時の生活の苦痛がこめられているのである。　毛沢東だったかが、いい仕事をする条件として、若くて、無名で、貧しいというのを挙げていたと思うが、わたしは、当時のマンガ家たちを振り返るたびに、たしかに彼らはみなそうだったと思うのである。　彼らのなかで、もはや決して若くはなかった水木さんにしても、やはりそうだったという気がするのである。＝　☆捨ててしまった「青春」なんて、青いですね～でも、水木さんの詩人の魂が伺えて、それを「好きだ」という編集者の長井さんとの日々は、貧しくても幸せな日々だったでしょう。　子どもを生んで育てる女房は、おお大変！ですけど。　来週は、こみち書房のみちこさんが出演してくれそうで、楽しみなゲゲゲの女房です！

  2010.08.22

• 冷たいデザート

  　昨日、Sさんが作ってくれたマンゴーのデザートをいただいてきました。初めて知る味でとても美味しいです。　作り方は、ドライマンゴーを熱い「マンゴー紅茶」（というものがあるんですね）に浸して冷やすだけ。あの固いドライマンゴーが、桃の缶詰みたいに柔らかくなって、汁はあま～くて気に入りました。　昨日の夕方、田舎の老人が熱中症になったみたいで寒気がして心臓がドキドキするというので、家に電話を寄越したみたいなのですが、私がいなかったので、彼女の妹の所に避難しました。　私が電話をした時はすでに安心して落ち着いていたのですが、テレビで熱中症のことばかり繰り返すので、必要以上に不安にかられる、一人暮らしの老人は多いのではないでしょうか？　今朝も天気予報でもどこでも言っていましたし。　今朝電話したら、すっかり元気になっていましたが、不安はまだまだ続きそう。不安を打ち消そうと「大丈夫」「気のせい」「みんなそうだよ」と、言うのですが、どうしたら良いのでしょうね。　無理をしないように注意すればそれでいいのだと思うのですが。熱中症で救急搬送○○人などと発表していますが、不安が救急車を呼ぶ場合もあるのかも。　ところで、ゲゲゲの女房の倉田くんは、池上遼一さんがモデルだそうです。　今は立派になって大学教授だそうです。　昔のガロで、池上遼一さんだったと思うのですが、　若い男がアパートで、暑い、暑い、（セミが鳴いたりして）という夢を見ているうちに、それがほんとの火事で焼け死んでしまった、、、という話と、　若い男がアパートで、することもなく地球儀を見ながら、無意識に鉛筆の先で数カ所を突きました。するとそばのラジオの臨時ニュースで「原因不明の飛行機の墜落事故が各地で起きています」　彼がはっとしてみると、それは自分のつついた場所だった、、、という話。　確か池上さんのだったと思うけど、違うかな～。　何しろ遠い遠い昔の記憶です。目的に迷っている若者たちが、ガロに拠り所を求めていた時代でした。

  2010.08.01

• 若い希望

  　先日の蓮の花が満開です。　ゲゲゲの女房が、視聴率も快調ですね。今週は女性漫画家の河合はるこさんがパニックです。　見ていて、ふとガロに作品を描いていた「つりたくにこ」さんのことを思い出しました。ガロに描く女の子の漫画家は少なかったので、私たちは彼女の作品を心待ちにしていました。　スランプに陥り、漫画が描けなくて，お金もなくて、たくあんのしっぽをかじりながら「昔はこうじゃなかった、描きたい事がいっぱいあって、夢もあって、、、」　と、ギャグ的な主人公がつぶやくのです。　それで「赤森堂」（青林堂）にお金をもらいに行くとそこもひどい貧乏だった、、、ような。　そのあと、またちょっと作風が変わって、「六の宮姫子の悲劇」を描きます。　私たちは、その中の登場人物を、自分たちにあてはめて遊びました。　私はもちろん「姫子」です。これが尾を引いて、今もメルアドはそれ関係です。名前は多分、芥川の「六の宮の姫君」をイメージしていたのでしょうが、内容は江古田あたりでたむろするヒッピー風女の子たちの生態みたいな感じでした。　そののち、ガロには有能な女性の描き手がたくさん現れました。　２０年くらい前に、つりたくにこさんはどうしていますか、と「青林堂」に手紙を書いてみました。するとすぐ返事が来て「つりたくにこさんは、結婚して京都に住んでいましたが、○年前に病気で亡くなりました。」　とのことでした。　ネットで見てみたら、ゲゲゲの女房の河合はるこさんは、特にモデルはないとしているものの、水木家で１ヶ月ほどアシスタントをしていた「つりたくにこ」さんかもしれない、という記述がありました。　ちょっとイメージが違うけど、若い希望と夢があって、でもそれが創作に生かせないで悩んでいたつりたくにこも、そんなふうでした。　さて、ゲゲゲの女房では、松坂慶子の家族は千葉に行って電気工事の仕事をすることになりました。松坂慶子の夫が、「もう電気の仕事はやらない！」と言っていた、抑留中の出来事は、収容所で電気の腕を買われてロシア人に重宝された彼が疑われ、仲間たちからリンチを受けたということでした。　電気の腕を見込まれて「悪魔の飽食」みたいなところで働かされていたのではないかと想像してしまっていましたが。　　さて、オグリキャップの死を受けて、今日の東京新聞「筆洗」さんにはこういう紹介が。「（前略）　屈指のアイドルホースの死を機に、伝説の競走馬と騎手を紹介したい。　十一勝無敗の記録を打ち立て、史上最強の牝馬と呼ばれたクリフジ。　そして、この馬に乗って４３年の東京優駿競争（現日本ダービー）を２０歳で制した前田長吉さんだ。彗星のごとく現われた天才ジョッキーは４４年秋に招集され、満州で物資を輸送する部隊に入隊した。　敗戦後、旧ソ連のシベリアに抑留され、４６年２月、チタ州の収容所で２３歳の生涯を終えた。死因は栄養失調らしい。　DNA鑑定で判明した前田さんの遺骨が、故郷の青森県八戸市の生家に戻ったのは４年前。遺族のもとにはダービー優勝時の賞状やブーツ、クリフジ騎乗の写真などが大切に保存されている。　戦争が、抑留がなければ、前田さんは日本の競馬史にどんな足跡を残しただろうか。日本ダービーの最年少記録は、まだ破られてはいない。」☆という、「筆洗」さんでした。　若い希望や夢を残酷な形で奪い取った歴史を、二度と繰り返してほしくないですね。　

  2010.07.06

• 薔薇の名前

  　挿し木の薔薇です。　花束でもらった薔薇を挿しておいたら、初めはオレンジでのちに黄色くなるスプレー咲き？の薔薇が咲きました。なんていう名前なのかな～！　ゲゲゲの女房が快調ですね。初めは１６％台だった視聴率も、１７％になり、１８％になっています。私は、そのあとの番組が騒々しいので、BSで見ています。　今日は、原稿を届けにいったふみえが、初めての出版社の社長に嫌みを言われて落ち込んでいる所でした。いたわってコーヒーをいれてくれるしげるの優しさにじんときますね。いい夫婦になりましたね～。　リタイア年代のおじじたちは、若い頃の妻のやりくりに気がつかなかったことを反省して見ているみたいで、男性たちも楽しみにしているみたい。　しげるは生活のために名前まで変えて少女漫画も描きます。　本当に描きたいものはほかにあるのに。　それで思い出しました。すでに少年漫画雑誌で売れっ子になっていた水木しげるが、原稿料もままならない「ガロ」に連載していた「鬼太郎夜話」。白土三平のカムイと同時連載でした。　テレビではすでに「ゲゲゲの鬼太郎」が大好評だった頃です。　少年漫画週刊誌の鬼太郎とはちょっと違った暗くて寂しい鬼太郎でした。ああいうのを描きたかったのね。　宮崎の口蹄疫が大変です。知事は、テレビに出てはしゃいでいる間に、なんとかならなかったんかい、という声も聞かれるなか、地元の人たちは泣く泣く処分を待っているそうです。子牛が死んだのを確認してから自分も死んだ母牛の話なんて報道されると、、、、うるうるです。　しかし、、、もともと生まれて少ししたら引き離されて、人間の食卓に上がる運命。　それを忘れて焼き肉食べている人間の身勝手なすり替え。　この前の牛の病気の時には、草食動物の牛に骨粉を食べさせていることに驚きでした。　感情に流されず、いのちの大量生産や多頭飼育の問題点や、輸入飼料のことなんか反省すべきじゃないでしょうか。これも安保です。　白土三平は「カムイ伝」で、カムイの生まれた村の人々の暮らしを細かく描きました。穢れたものを一手に引き受ける仕事です。　先日読んだ「鬼泪」でも、カムイを彷彿とさせる（あんなにかっこ良くないけど）「石神」という苗字の「栄次」が、と殺場で働き、その姿を見てお礼参りにきた地元のチンピラが腰を抜かす場面があります。　　ベジタリアンになろうかな～。　それでは平田牧場さんが困るだろうしな～。

  2010.05.27

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