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カテゴリ:美術 絵画 教室
小倉さんの新作は水を張った田んぼの情景を基本にした風景です。遠くには日没時?(もしかして朝時かもしれません)の太陽、海、山々、そして近くには桜の花が描かれています。都会ではなかなか見られない田んぼの風景を捉えています。特に田植え前の水を張っただけの田んぼは田舎に住んでいる人たちにとっては春先の当たり前の景色ですが、都会に住む人たちにはなかなかお目にかかれない風景かもしれません。 小倉さんは水を張っただけの田んぼに美しさを見ました。色合いから言うと、水を張っていても泥水の状態ですから土色です。決して透き通った綺麗な田んぼの水ではありません。逆に濁りのある泥水といった方が良いかもしれません。その水面に小倉さんは美しさを感じ、絵にしてみようと思ったのでしょうか。 小倉さんは田んぼの水面のみを見て美しさを感じたのでしょうか? 私は水を張った田んぼの周りに見える山々、遠くに見える海、太陽の光、近くに咲く桜の花など小倉さんを囲む全ての景色から「綺麗だ、美しい」と感じたのではないかと思っています。そこには風のそよぎ、花と言わず自然の香りなども大きく影響したのではないでしょうか。そしてその中心に水を張った田んぼの存在があったのではないかと思います。そしてその存在感が小倉さんの心を圧倒したのでしょう。 美しさを感じるというのは私たちの感性に触れ、同じような波長を感じた時に生まれます。理論的にこの形が素晴らしくて美しいと言っても、私たちの感じている波長と合わない、感性とかけ離れていると美しいと感じる響きは生まれません。身近にある何でもない風景、或いはモノにしても美しさを感じることがあります。壮大な景色を見て美しさを感じるのもありますが、何でもない小さなところに美しさを感じることもあります。 小倉さんは日常の当たり前にある風景の中にある様々な断片から心に響く美しさを感じ取ったのでしょう。 19世紀のイギリスの画家でターナーという方がいました。彼の絵は自然の風景とか歴史的な出来事を表現していましたが、大気、或いは空気感に対してとても繊細な表現力を持っていました。小倉さんの作品を見ていると何故だかターナーとか印象派の作品を思い浮かべてしまいます。これは小倉さんの作品には彼らが見ようとしていた空気感が同じように感じられるからかもしれません。 よく頑張りました、小倉さん! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/04/24 01:47:41 PM
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