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カテゴリ:美術 絵画 教室
小倉さんの新作は海の遙か彼方から上がってくる朝日(または沈んでいく夕日?)を海岸から眺めている親子?3人の姿を描いています。私はこの太陽は日の出と感じたので、以下、日の出と書きますね。 小倉さんの表現は以前と同じように印象派的で、具象表現という範疇からかなり脱却して、自分の感じる心の在り方を大切にした心象風景的な作品になっています。 具象表現は目に見える写実を基本にします。目の前に広がる海の表現はどう描けば良いか?朝焼けの色はどのように描けば良いか?岸辺の景色をどのように描くか?といったふうにあくまでも目に見える自然情景が基本となって、それを画面に写し取る作業が大事になってきます。 小倉さんの作品はそういった実際の景色、情景を正確に表現するということではなく、小倉さん自身が情景、自然をどのように感じているか、或いはどのように思っているかという作者自身の心の在り方を自然描写の中に含ませ、できるだけ正確に自分自身のありのままの心を画面に表現しようとしています。 ですからここに描いた景色というのは実際は全く架空であることも可能ですし、多分そうでしょう。 それよりもこの作品を見て写実的に何を描いたのだろうと思った時、まずは作者(小倉さん)は何を思っている?、何を考えている?のだろうということを自分自身に問いかけながら鑑賞することが良いのかもしれません。 この作品には左下に3つの人のシルエットが描かれています。それも大きさを変えて描かれていて子供のいる家族のようにも感じられます。そして大きな人のシルエットは手を上げて呼びかけているように見えます。その先には日の出の太陽でしょうか。普通に考えたら日の出を見て、その素晴らしさに感動した親子の姿なのかなと思えるかもしれません。でもここには小倉さんの思いが隠されているように思えます。 朝日の光は親子に向かって真っ直ぐに向かってきています。その間の大海原はかなり激しく波がある感じもします。穏やかで静かな海ではありません。小倉さんはそういった海の情景にしても、朝日の光の差し込みも、なぜこういった情景にしたのか、小倉さん自身の心の思いと願いを含めて表現しているのでしょう。 私の好きな画家の中でゴヤといういう人がいます。スペインの宮廷画家で一流の画家であることをその当時の王様に認められ、数々の名作を描きました。その中で「カルロス4世」という作品があります。一見、王様の家族を見事に描き上げていますが、実を言うとゴヤ自身が心で感じている家族の姿を絵の中に含ませました。 絵画というのはただ外の風景、人物をありのままに表現すること以外に、作者(絵描き手)の感じていることを表現に入れることも可能なことなのです。絵画という芸術表現が今まで絶えることなく続いている最も大きな理由はここにあると思います。 小倉さんの新作には小倉さん自身が感じていること、思っていること、願っていることなど含ませてこの情景を表現しています。 私はこの作品を見てこういう風に感じているということは敢えてここには書きません。皆さんがこの作品を見て、そして対話して小倉さんの心に触れて頂きたいと思います。 よく頑張りました、小倉さん! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024/09/18 02:49:03 PM
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