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狩猟・釣り・千太郎の部屋

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2004.11.16
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さんざんニュースでも報じられているように、今年は各地で熊が異常に出没している。
台風や害虫などの大量発生などにより、山が荒れたため、餌が枯渇しているからという説、人間の生活様式の変化により、人間と熊の生活圏の隔たりがなくなってきたからだという説、地殻の異変が始まり、熊が生活圏の移動を始めたのでは・・(新潟地震がとの関連性からか・・)という説等々、諸説、様々出ているが、
いまのところ、決定的な原因解明には至ってないようだ。
だが、こうしている間にも、熊の棲息する山の近くで生活している人々は、熊にいつ遭遇するかという危険に瀕していることだけは確かだ。
それらの地域の自治体や関係機関は、猟友会への駆除要請、子供たちの通学途中のパトロール、山と人里との境に高圧電量の流れる柵を設けるなど、考えられる様々な策を実施しているようだが、著しい効果を上げたという話しは今のところ聞こえてこない。
つい先日も、テレビのニュースを見ていたら、捕獲した熊に「唐辛子入りスプレー」をかけて、熊を再び元の山へ戻していた。関係者は、人間は怖いということを熊に覚えさせれば人の生活圏へ近寄らなくなる・・とインタビューに答えていたが、僕は、その話にちょっぴり疑問を持った。
スプレーをかけられた熊が本当に人間社会に近づかなくなるのだろうか・・・確かに、熊は頭の良い動物だから、学習させることによって人間への恐怖心は植え付けることはできるであろう。しかし、だからと言って人里へ降りてこなくなるとはどうしても僕には思えないのだ。
まず、熊が攻撃を仕掛けてくるのは、自分の防衛範囲内に対して入り込んできた人間にだけである。これは熊に限らず、野生動物は自分の防衛範囲外で人間を発見した場合は、間違いなく動物の方から逃げていく(ライオンやトラなど猫科の動物に関しては一概に言い切れないが・・・・)
熊は人間と出くわした場合のみ、自らの防衛本能で反射的に攻撃をかけてくる。
つまり、防衛本能イコール恐怖心から襲い掛かってくるのだ。人間が怖いから人間に襲い掛かる・・・これは人間を含めた全ての動物に共通することだ。相手を恐れ、自分の生命に危険を感じれば自分がやられる前に、相手を倒そうとする。恐怖心を与えられれば、余計、攻撃力は増し、凶暴化するのではないだろうか・・・
昔、青森へ「熊撃ち長さん」こと藤原長太郎さんを訪ね、お話しを伺ったとき、藤原さんは「熊で怖いのは子連れ熊、それより怖いのは手負いの熊だ」とおっしゃっていた。
ハンターが熊を撃ち損ね、弾が掠っただけでも、その熊は人間を恨み、離れていても人間を見つけると襲い掛かり、凶暴性も普通の熊とは比較にならないほど増すという。
スプレーで人間への恐怖心を植え付けるにはよいが、逆に凶暴性を助長させてしまうのではないかと僕は思うのだが・・・
また、人間に恐怖心を持った熊は人里に下りてこなくなるというが、僕は絶対にそんなことは有り得ないと思う。
山の資源が枯渇し、食べ物が不足して飢えた野生肉食動物は、最後には共食いまでするという。戦争中、南方へ派兵された日本兵が飢えて敵兵の人肉までを食べたように・・・
一度、人里へ降り、食べ物があるということを覚えた熊は、空腹になるとどんなに自らの危険を冒しても、必ず、食糧のある場所へ餌を探しにくる。自らが飢え死にしそうになれば、撃退スプレーの恐怖なんか、何ともなくなるであろう。
やはり、藤原さんから聞いた話だが、家畜を襲った熊は、一度、味を覚えると犬がいようが、何をしようが、必ず再び家畜を襲いに来ると言っていた。
事実、熊は牛を襲わないと言う定説があるにも拘らず、マタギで有名な阿仁町で牛が殺されたというのを本で読んだことがある。僕自身、熊の生態についてはそれほど詳しくないが
撃退スプレーで効果があると考えるのは、ちょっとばかり熊を甘く見過ぎているような気がしてならない。
それから、各地で行われている猟友会を中心とした熊の駆除(射殺)に関して、野生動物の保護を叫ぶ人たちが、批判の声をあげているらしい。
たしかに、むやみやたらに動物を殺すことは僕も賛成できないし、どんな生き物であっても命はあるのだから、その命に対し尊厳の気持ちは持たなければならないと思う。
しかし、現実の問題もよく考えてもらいたいと思う。
野生動物が増え過ぎれば、人間社会に大きな被害が生ずる。
各地で被害が増大している鹿や猪、猿などの例を取ってもそれは明らかだ。ハンターが格好のゲームとして猟の対象とするキジにおいても、ここ数年、激減しているのだが、これは人間が獲り過ぎているからではない。野生のキツネやカラスなどにより、卵を食べられてしまうことが大きな要因らしい。(他にも原因は多々あるとは思うが・・・)最近のハンターはキツネを撃たなくなった。キツネを撃たなくなった理由の一つが、野生動物の保護政策があげられる。鹿にしても同じである。要は過度の保護が、生態系の破壊に繋がる場合もあるのだ。ただ、保護だ保護だと声をあげる以前に、いかにしたら、種を根絶することなく、自然界とのバランスを取りながら、人間と野生動物が共存共栄の道を辿ることが出来るかを模索していくことが、今、人間に与えられた使命だと思うのだが・・・






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最終更新日  2004.11.16 21:09:04
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