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中国茶・台湾茶と旅行　あるきちのお茶・旅行日記（旧館）

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冷たい美人

何だか思わせぶりなタイトルですが･･･ま、このブログのことですから、もちろん東方美人ネタです(^^;)昨日、上園茶荘で買ってきた東方美人を淹れました。東方美人味のテストの意味合いもあったので、約３ｇを蓋碗に入れて５，６煎程飲み、間違いないことを確認。香り立ちの良さも素晴らしく、戻りの甘さもきちんと出ていました(^^)しかし、良い東方美人の茶葉は高いのです。ここで捨ててしまうのは、とても勿体ない。･･･ということで、今回は徹底的に東方美人を楽しむためのご提案。５，６煎出した茶殻を華泰さんのエコ水筒に突っ込んで、浄水器を通しただけの水を注ぎ、冷蔵庫で一晩置いておいたのが、こちら。東方美人　冷茶上品な東方美人の甘さがじんわりと残る美味しい冷茶に仕上がりました(^^)少しトロンとした茶水で、独特の蜂蜜系の香りも感じられ、冷茶ですが口の中にしっかりと余韻が広がります。茶殻ですから、えぐみなどが出てもおかしくないような気もしますが、そういったものとは一切無縁です。これは、がぶがぶ飲むというよりは、それこそ東方美人の別名・香檳(シャンピン)烏龍茶の名前の通り、シャンパングラスに入れて、ゆっくりと飲んでみたくなるお茶です。美人は、冷たくても美人なのです♪東方美人の上質な茶葉は、確かに高いのですが、力があるので煎が続きます。茶殻もこうして冷茶にしてしまって、徹底的に飲めば、意外とリーズナブルかもしれません。東方美人に限っては、良い茶葉を選んで買うことをオススメします(^^♪茶殻も無駄にしません！

2008.06.30

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有記名茶の奇種烏龍茶

雨続きで気温もなかなか上がらない関東地方。ということで、先日に引き続いて･･･ではないですが、同じ有記名茶のお茶を淹れました。奇種烏龍茶有記名茶オリジナルの看板茶です。聞き慣れない名前のお茶ですが、先日の文山包種茶。あのお茶を炭火焙煎したものです。同じお茶とは思えない茶葉の色ですね(^^;)元々、包種茶は武夷茶の製法をまねて、安渓で作られたものと言われています。確かに文山包種茶の外形を見ると、武夷岩茶のように長細い形ですね。その技術が安渓から移民と共に台湾へ渡り、軽発酵で花のような香りを出す改良が加えられ、現在に至っています。一方、本家であるはずの安渓では、包種茶と呼ばれる條型茶の系譜は無くなってしまいました。このへんが茶の世界の不思議なところです。＃一説として、外形が一緒だと、武夷山の独特の土壌（岩）から生み出されるお茶と直接比較されてしまいます。同じ土俵で戦っては不利ということで、安渓側が丸まった現在の鉄観音の製法に特化したのではないか、と言われています。そんな歴史を持つ包種茶ですから、先祖返りという意味合いもあるのでしょうか。台湾の誇る清香型の文山包種茶に武夷岩茶伝統の炭火焙煎をして仕上げたのが、このお茶なのだそうです。＃奇種という言葉は武夷岩茶の品種の呼称にもあるので、ややこしいのですが、このお茶自体は普通の文山包種茶がベースのようです。文山包種茶に焙煎をかけると、どう変化するのか。焙煎の効果を体感するには、とても面白いお茶だと思います(^^)まず、水色をご覧頂きましょう。文山包種茶は、薄いグリーンの茶水でしたが、焙煎を加えることによって、茶色っぽい茶水に変わっています。焙煎を加えると、まず茶水の色に変化があることが分かります。そして、香り。文山包種茶は春蘭の香りにも喩えられる、清らかな花系の香りですが、このお茶は、むしろ甘い香りが先行し、どこか蜂蜜に似た香りすら感じられます。焙煎によって香りのパターンも変わるんですね。これは本当に不思議です♪肝心の味。まず、口当たりが全く違います。文山包種茶の場合は、青さを含んだ清らかさですが、このお茶の場合は、刺激性がかなり少なくなっています。緑茶と焙じ茶の関係と同じで、青さが苦手な人でも飲みやすい口当たりになります。胃にも優しそうな気がします(^^)口の中に残る余韻も大分違います。岩茶などで感じる、熟した果物の香りに近い甘さが口の中に広がりますが、大きく違うのは、とてもサラッとしていること。茶葉の発酵度が低いせいでしょうね。発酵によって出てきた甘さではなく、焙煎によって強調された甘さなのですね。この甘さは、煎を重ねるごとに際だってきます。最初は、焙煎が強い分だけ、火の香りが勝っている印象なのですが、徐々にサラッとした甘さの印象が強くなっていきます。うーん、これはなかなか面白いお茶です(^^♪ただ、たまたまかもしれませんが、惜しむらくは文山と一緒で茶葉のクラッシュが多い点。包装が何とかなれば、もっと楽しめると思うのですが。＃若干、雑味が出るのです。とはいえ、火が入っている分、温まる感じのするお茶です。ちょっと肌寒い夜に、じっくりと味わいたいお茶ですね(^^♪焙煎は面白い(^^)

2008.06.29

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文山包種茶の楽しみ

暑かったり、寒かったり。なかなか気候が安定しませんねぇ。さて、これからの季節、我が家の冷茶に欠かせない存在となるのが文山包種茶。今、家で作っている冷茶は、２年前に坪林の農会で買ってきた春茶を使っていますが、これでも全然美味しいです。夜、寝る前に茶葉を放り込んで冷蔵庫に入れておくだけで、翌朝には美味しい冷茶に仕上がります♪色は薄いのですが、口の中に入った瞬間に香りが広がるんですね。水出しなら、安価な茶葉でもゴクゴク美味しく飲めるので、オススメです。･･･ただ、今日は寒いので(^^;)、温かいお茶にしましょう。５月に有記名茶で買ってきた、今年の新茶の文山包種茶です。文山包種茶（有記名茶）普段は「聞香杯なんて、面倒だ」という私ですが、熱い包種茶を飲む時は、やはり聞香杯を使いたくなります(^^)清茶と呼ばれるように、爽やかでさっぱりとした飲み口。それでいて、しっかりとした飲み応えがあります。そして、飲み口のさっぱり感とは裏腹に、聞香杯に残る香りは、時間が経つにつれて花の香りへと複雑に変化していきます。この幽玄な？変化を楽しみたくて、聞香杯なわけです。さっぱり感のある味なのに、香りはとても豊富というギャップが、何だか面白いのです。これ、初めて飲む方にはインパクトが強いお茶だと思いますねぇ(^^)さて、買ってきておいて･･･なんですが、このお茶、ちょっと気難しいのです(^^;)元々、文山の春茶は淹れるのが難しいと言われているお茶なんですが、別の理由です。お会計を済ませたあとに、ガッチリ真空パックされていたパッケージを見て、少し嫌な予感。文山包種茶や東方美人は、元々、かさのある茶葉です。経験上、こうした茶葉を、きつく真空パックしている場合は、少し怪しんだ方が良いのです。コンパクトになるので、持ち帰るのは楽で良いのですが、茶葉がクラッシュしている可能性がどうしても高くなります。茶葉がクラッシュすると、お茶の出は良くなりますが、雑味が出やすい傾向になります。そうなると、淹れ方が難しくなります。水出しにするには向いているんですけどね。＃メール便で届くネット通販の茶葉は便利なのですが、この心配があるんですよねぇ。そういう意味では、台湾茶ドットネットさんの包装には感心しましたけど。案の定、このお茶も、ちょっと長く置きすぎたり、淹れ方を少しミスってしまうと生っぽさが出てしまいます。対抗策としては、少し茶葉を多めにしてサラッと淹れたほうが、このお茶の春茶らしい香りの高さ・個性が上手く出るようです。＃十分にテイスティングする前に、色んな方に差し上げてしまいました（汗）ご参考まで。まあ、淹れ方の工夫しがいがあるのも、文山包種茶の面白さの１つかもしれません(^^;)梅雨には爽やかな文山包種茶♪ちなみに、これで冷茶を作っています

2008.06.26

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紅一点

龍井茶を筆頭に、安吉白茶など様々な名優緑茶の産地、浙江省。その中に紅一点ともいえる、お茶があります。九曲紅梅龍井茶の産地、杭州で作られる紅茶です。細く撚られた繊細な茶葉が印象的です(^^)福建省から移り住んできた人たちが作ったお茶なので、武夷山の九曲渓の名前を取ってお茶にしたとか、いやいや、茶葉が曲がりくねっているから九曲だ、とか色んな説があります。梅の香りがする、という話もたまに聞きますが、私は感じたことがありません。おそらく茶水の色合いのことだと思うのですが。それにしても、西湖のほとりにある紅梅の花をイメージすると、なかなか詩的で美しい名前のお茶だと思います(^^)お茶のネーミングって大事です。このお茶、龍井と同じ品種を使って作られています。それゆえの別名が、龍井紅。スリランカ・雲南などの紅茶は、大葉種と呼ばれる大ぶりの葉っぱで作られている分、タンニン分も多く、味わい・香りも濃厚です。しかし龍井茶の品種は日本のお茶と同じように、小葉種に分類されます。夏場のタンニン分の比較的多い時の茶葉を使って製茶されるようですが、渋みが無く、香りも味わいもあっさり目が特徴です。前置きはともかく、淹れてみましょう。水色は、紅茶にしてはかなり明るい水色です。東方美人あたりと間違えてしまいそうです(^^;)＃もう少し長めに置くべきだったかも（汗）そしてお味。最初は一瞬スモーキーな感じもありますが、とにかく「あっさりしているな～」という印象なのです。とても爽やかな飲み口なのです。ところが、このお茶も、やはり工夫紅茶です。撚りがしっかりしている分、煎を重ねていくと、徐々に本領を発揮してきます。長く置いても渋みが出ませんし、そのかわりに穏やかな甘さが出てくるのです♪紅茶にありがちな芳醇さや強烈なインパクトはないけれども、どこかホッとさせるお茶。そんな不思議な浙江省の紅茶でした。中国紅茶も個性派揃い♪

2008.06.23

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茶器購入禁止令

台湾から帰ってきてからというもの、自宅が全然片付かないので、お茶関係の整理を行いました。茶葉は、みなさまの予想通り大変なことになっているのですが（苦笑）、ストックを漁っていると、既に”陳年茶”と呼ぶのにふさわしいような年のお茶も多数出てきました(((((^^;茶葉には大変申し訳ないのですが、一部の茶葉は泣く泣く処分しました。あまりに古い緑茶と、あまりに美味しくなかった某ネットショップのお茶を処分。青茶・紅茶は、陳年になったら面白そうなものもあるので、長期保存用茶BOXを作ってそこへ移しました。ここには陳年になっても美味しそうな青茶・紅茶＋プーアル茶の餅茶を入れています。＃全然、ブログに書きませんが、実はプーアルの生餅が増えてました(^^;)私、好き嫌いよりも、飲み比べを前提にしてお茶を買っているようなところがあるので、バラエティ豊かなお茶のラインナップが揃っています。ということは、飲み比べの教材にはなりそうなので、飲み比べ茶会をやれば消費できそうです。＃既に自力での消費は諦めた。そして、意外だったのが茶器。茶器は専用の棚を作っていたのですが、台所の棚に置いてあったり、箱に入ったままになっているものもあったので、それらを全部整理してみました。結果、分かったこと。茶葉だけではなく、茶器、多すぎ(((((^^;いつの間にか、茶器棚に入りきらなくなってしまいました（涙）まず、茶壺は「１０個はあるなー」という自覚がうっすらとあったのですが、数えてみたら１２個ありました。１ダース...orz高級な一点ものはないのですが、お茶の種類別だったり、容量別だったり、材質違い（陶器・磁器・ガラス）だったりの茶壺が積み重なって、こんな数に。いつの間にこんなに増えてたんだろう･･･＃私、滅多に茶壺は使わない人なんで、全然どれも育ってません（汗）これとは別に紅茶用ティーポットと日本茶用の急須もありますので、我が家には、いわゆる急須が１４個あることになります。ティーバッグとペットボトル茶の普及で、近頃、急須が無い家も多いと聞きますが、これってどうなんでしょう(((((^^;さらに、蓋碗好きな私。でも、蓋碗は茶種別に揃えることはないから、そんなに無いでしょう･･･と思ってたんです。･･･が、出てくるわ出てくるわ。数えてみたら、こちらも１２個ありました...orzやっぱり、サイズ違いや色違い、材質違い（磁器・ガラス）etc...なんですが、台湾で購入したものがかなり多いようです。＃安いので、つい買ってしまうのです。茶杯や聞香杯にいたっては、数えるのも嫌になってきます。。。こんなに増えた理由は明確です。インストラクターの茶藝試験対策で、テーブルセッティングのテーマを「ああでもない」「こうでもない」とやっていたら、増えてしまったわけです。なにより、茶杯の購入単位が最低４つ～になってしまったのが痛い。茶器だけではなく、小道具の存在も大きいのです。例えば、普通の単身男性の家にはまず無いであろう、テーブルクロスやテーブルランナーも数種類あります(^^;)茶盤がわりのお皿や茶筒も何種類か･･･。その投資の甲斐あってか？、最終的にテーブルセッティングは、こんな感じになりました。テーマは･･･あまりに上段に構えすぎているので、言わずにおきます（爆）それにしても、いかに使わなかった茶器が多いかということですね。まあ、この過程は勉強代みたいなもの。最近は余程気に入ったものorテーマに沿ったものではない限り、購入しないようになりました。これも進歩と捉えましょう。･･･とはいえ、茶器増えすぎです。これはしばらく茶器の購入は禁止ですね。今年は物欲を刺激されるOZONEの大茶会も開催されないので、きっと何とかなる...ハズ。色々使ってみて、気に入ったのだけ残し、あとは譲っていくようにしたいと思います。茶器道楽はしないようにします(^^;)

2008.06.22

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鉄観音くらべ

今日は、安渓鉄観音と木柵鉄観音を比較してみました。元々、台湾の木柵鉄観音の苗木は、福建省の安渓から来ています。同じ品種ですので、基本的には同じお茶になるはず･･･なのですが、先日の中国茶と台湾茶でもご説明したとおり、1895年以降、台湾は中国大陸と文化的に切り離されてしまいました。その後、100年あまりの間に、鉄観音はそれぞれの地域で独自に進化を遂げてきました。そのため、現在入手できる鉄観音を大きく分けると、・現代の安渓鉄観音凍頂烏龍茶の影響を受け、発酵も焙煎も軽くなった。緑茶文化圏にも受け入れられ大ブームに。・伝統製法の安渓鉄観音焙煎の強い鉄観音。中心地は香港。香港の茶商が再焙煎をかけ出荷していた。現在も華僑が愛飲。・台湾の木柵鉄観音19世紀当時の安渓鉄観音の製法を引き継ぎ、台湾で独自発展していった。の３つぐらいのパターンになります。烏龍茶は発酵と焙煎が違うと、全く異なった個性（味わい・香り・水色)を持ったお茶に仕上がります。そのため、同じ”鉄観音”という名前でも、人によってイメージするお茶が違ったりします。それを整理しようというのが今回の試みです。皆さんの頭の中にある、鉄観音のイメージ（水色・香り・味など）を思い起こしながら、ご覧ください(^^)＃本当は、お茶会で香りや味を体感いただくのが、いちばん良いのですけれど。ネットではそうも行きませんから（汗）今回、比較したお茶は３種類。・現代の安渓鉄観音・伝統製法の安渓鉄観音・木柵鉄観音です。水色をきっちり見たいので、鑑定杯を使うことにしました。しかしこれらのお茶が全部、家のストックで揃うところが、恐ろしい(((((^^;＃一応、テーマ性を持ってお茶を買ってるんで、こうなるんですね。最初に、現代の安渓鉄観音。安渓鉄観音2006・秋　特選（桃花源）昨日、冷茶で淹れた2006年の秋茶です。色は落ちていますが、緑がかった発酵も焙煎も軽いお茶です。鑑定杯で水色を見るとこうなります（今回は青茶の方法ではなく通用法で見ます）薄いグリーンに少し黄色が混じった茶水です。香りはクチナシの香りといいますか、かなり軽やかです。ちょっと草っぽい青さも混じっています。味わいは少し酸味を感じます。古いからというわけではなく、おそらく鉄観音独特の酸味だと思います。爽やかな飲み口でいて、口の中に戻ってくる甘みもあるという、美味しいお茶です。次に、伝統製法の安渓鉄観音。安渓鉄観音　伝承　2007年冬（華泰茶荘）現代安渓鉄観音と比較してみると、少し色が黒っぽいですね。右が現代安渓、左が伝統安渓です。それでも緑っぽさは残っています。現代安渓と比較すると、発酵も焙煎も高めになっています。鑑定杯で水色を見るとこうなります。先程とはうってかわって、橙色になります。伝統製法は、発酵も焙煎も高めになっているのです。香りは少し甘い香りに変わっていて、青さは感じられません。味わいも酸味は感じられず、蜜のような甘さが感じられます。これ、美味しいかも♪そして、台湾の木柵鉄観音。木柵鉄観音（新純香）焙煎がかなり効いているので、かなり小さくきつくまとまっています。伝統安渓に見られたような青さは全く感じられません。茶色というのがぴったりの表現です。鑑定杯で水色を見るとこうなります。さらに色は深くなって、橙からアンズ色に近い色になります。木柵鉄観音の方が、発酵も焙煎も高めになっているのです。香りは熟した果実の香りに変わっています。青さは全く感じられません。かなり揉捻がきつく、焙煎も強かったためか、あまり茶質が出てきておらず、あっさりしていますが、余韻で果実のような甘さが残るお茶です。現代安渓にあったような刺激性は皆無ですね。･･･とまあ、全く違う水色、全く違う個性のお茶に出るんですね。もう一度整理しますと、まず茶葉。右が現代安渓、上が伝統安渓、左が木柵です。水色も同じように並べてみました。並べてみると、全然違いますよね(^^;)そして、いちばん色々なことが分かりやすいのが茶殻です。現代の安渓鉄観音は、青々とした茶殻です。台湾の高山茶などと違って、綺麗な葉っぱの形に戻るのではなく、安渓鉄観音は葉っぱの部分が所々ちぎれています。これは揉捻を行う時に袋に入れて叩くんですね。その際に葉っぱがちぎれて茶質が出やすくなるようになっています。安渓で作られたお茶の特徴です。それにしても青い。葉っぱの周りが少し赤くなっていますが、その部分が発酵しているところです。ごくわずかですね。そして伝統製法ですが、同じように葉っぱがちぎれています。しかし、少し赤っぽさが増しています。発酵度が高いということですね。昔の安渓はこのくらいの発酵度だったんでしょうね。そして、焙煎が加わっている分だけ、葉っぱの開きが悪くなっています。で、木柵鉄観音。木柵鉄観音は、焙煎しては休ませ、また焙煎して休ませ、という感じで、焙煎を数回、１ヶ月間ぐらいかけて行います（詳しくは台湾茶ドットネットさんなどを参照ください）。念入りな焙煎をするお茶なのです。そんなふうに焙煎がかなり効いているので、茶葉が開ききりませんでした(^^;)しかし、茶殻を見てみると、安渓と違って周りがちぎれていません。葉の形が残っています。このへんが安渓の製茶法と違うところですね。安渓産の鉄観音を木柵で焙煎して木柵鉄観音として出荷しているものもあるそうですが、茶殻を見れば一発で見破れる？わけです。＃ああ、こういうことを書くと、またお茶屋さんに嫌われる（汗）と、全然個性の違う３種類のお茶でした。伝統製法は、本当は香港の茶荘のものが入手できれば良かったのですが、おそらく同じような傾向になると思います。お持ちの方はチェックしてみてください。今回は３種類でやりましたが、ここから飲み比べをさらに深めるとすれば、ちょっと思いつくだけでも、・安渓鉄観音の春茶と秋茶の香り・味わいの違い・安渓鉄観音と黄金桂、毛蟹、本山など色種との比較・安渓産地別（祥華、感徳、西坪etc...）の比較・安渓鉄観音・茶荘の焙煎別・木柵鉄観音の春茶と冬茶の香り・味わいの違い・木柵正叢鉄観音と佛手、梅占などとの比較・木柵鉄観音の原料茶産地別の比較（木柵産、阿里山産、安渓産etc...）･･･と、まあ、いくらでも思いつきます(^^;)実は飲み比べていくと、鉄観音という品種は本当に凄い品種だなぁと感服させられるのです。面白いお茶です、鉄観音。＃教材の調達に一苦労しそうなテーマもありますが、興味のある方はご一報ください。お茶会にします(笑)飲み比べは楽しい♪現代安渓伝統安渓流行の闘茶でも♪

2008.06.21

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鉄観音冷茶

とあるお店で烏龍茶を頼んだら、鉄観音の冷茶が出てきて、ちょっと嬉しかった、あるきちです。それに刺激を受け、絶対、今日は安渓鉄観音の冷茶と決めていたので、コンビニで氷を買って帰宅。帰ってみて、我が家のストックから、安渓鉄観音を探したら...２年前の春茶と秋茶しかなかった(((((^^;意外と買わないんですねぇ、安渓。･･･というか、「買ったら、すぐに飲めよ」という話ですが(^^;)春茶は、安渓の帰り道にアモイで購入したもの。密封・缶入りだから悪くはなっていないだろうけれど、少しでも新しい方が良かろうということで、秋茶を選択。それがこちら。安渓鉄観音2006・秋　特選（桃花源）さすがに色は落ちてますが、茶葉からの香りはまだまだあります。これなら、行けそうです♪　　　　まずは、普通に熱いうちに飲んでみます。私、安渓流に蓋碗にどっさりと（７ｇ目安）茶葉を入れ、サラッと淹れます。一応、茶葉を開かせるために洗茶します。洗茶したお茶で、茶杯を温め、香りも楽しむわけですね(^^)飲んでみたら、これが甘みもあって美味しいのです♪香り立ちも悪くないです。秋茶独特の香りがありますね(^^)･･･きっと新茶の時に飲んだら、相当美味しかったんだろうなぁ。勿体ないことをしました。＃こんな時期の紹介になってしまいまして、すみません、桃花源さんm(_ _)m　　　　で、これを冷茶にするわけですが、用意するのは氷で満たされたガラスコップ。このコップの中に、蓋碗から直接お茶を注ぎ入れるわけです。クリアなお茶にしたかったので、今回は間に茶漉しを通しました。さて、お茶は氷で薄まりますので、思いっきり”濃く”淹れます。何しろ、私の淹れ方は安渓流です。蓋碗の中には、どっさりの茶葉。それを、長めに置くのです。普通に飲んだら、かなり強烈な茶水のハズです。安渓に弱い人は一発で酔うかも(^^;)で、注いだのがこの状態です。まだ少しぬるいので、氷を追加して、少し冷やしてから飲みます。できあがりは、こんな感じ。グラスの縁に口をつけただけで漂ってくる、鉄観音の華やかな香り(^^♪そして、茶水を口に含めば、しっかりとした味わいの中に鉄観音独特の甘さが残ります。これは文句なしに美味い♪ふふふ、これはペットボトルには真似できまい(￣ー￣)ﾆﾔﾘｯ↑すいません、ただの自己満足です。。。手軽に作れる、鉄観音冷茶。急に飲みたくなった時でも、氷と茶葉さえあれば、すぐに出来ます。それなのにペットボトルとは段違いの美味しさです(^^)みなさまも是非お試しあれ♪冷茶の季節！

2008.06.20

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美人来日

我が家にも今年の東方美人がやってきました。今回は、ちょっと個性派の美人です。東方美人　金萱種金萱種を使った東方美人です。珍しいのと味が好みなので、これにしました。東方美人は、色々な品種から作られるのですが、品種ごとに味わいのパターンが違うのです。＃この話、毎回しているので、以下略。早速淹れましょう。東方美人は香りが命なので、蓋碗ですね。茶杯に移す時から、良い香りが漂います(^^♪水色から判断するに、発酵度が少し高めに出ているような気がします。簡さんの話によると、青心大有とほとんど同じ仕上げでやっているのだけれども、青心大有は頑丈な茶葉。金萱はそこまで丈夫ではないので、同じ仕上げにすると微妙に発酵の進み具合が違うのではないかとのこと。揺青（茶葉を揺すってこすりあわせ、発酵を促す動作）の回数・力加減が同じでも、茶葉が華奢な分、発酵が勝手に進んでしまうわけです。うーむ、やはり製茶は奥が深い(^^;)香りの出方も少し違っています。ウンカが咬んだ東方美人独特の蜂蜜系の甘い香りはあるのですが、それに別の甘さが被さっているような感じです。金萱の品種特性から来るものなのか？分かりませんが、簡さんの表現を借りれば、蔗糖のような甘さ。確かにそんな感じです。ただ、しばらく煎を重ねていると、フッと被さっている甘さが取れて蜂蜜系の香りに変わります。それでもしつこく淹れ続けると、今度は金萱らしい柔らかな甘みに変わっていきます。品種の味が出てくるわけですね。うーん、なかなか変化が面白いお茶です(^^)味は割と濃厚。発酵が強いからなのか品種特性から来るものなのか、しっかりとした飲み応えのある味です（このへんが好みなのです♪）戻りの甘さもあります。少々弱い気もしますが、半年ぐらい寝かせると化けるかもしれません。茶殻を見ると、葉の形状からも、青心大有ではなく金萱であることが分かります。＃茶葉が細長系ではなく丸っこい系なんですね。毎年、色々な東方美人に会います。産地違いだったり、品種違いだったり、作り手違いだったり、ウンカの咬まれ具合だったり。その都度、違う表情を見せる東方美人ですが、今回の美人は、なかなかの個性派でした♪今日のお茶：東方美人　金萱種（今古茶籍）美人、続々と来日中？青心烏龍種の東方美人青心大有種の東方美人

2008.06.17

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ペプシ　ブルーハワイ

今からさかのぼること１年前。ペプシコーラは、「キュウリ味」のコーラを発売していました。試飲レポあの後味の悪さは最悪でしたねぇ･･･（遠い目）あれから１年が過ぎました。この時期は、キワモノコーラの時期なんでしょうか(^^;)ふらふらとコンビニに入ると、毒々しいペットボトルが目に入りました。ええ、買ったのは、間違いなく気の迷いだと思います。･･･ペプシ、懲りずに？こんな商品を繰り出してきました。ペプシ　ブルーハワイなぜ、コーラでブルーハワイ。。。「これはギャグだよね？」と思いながら、サントリーのプレスリリースを見ると大真面目なんですね。「ペプシブルーハワイ」は、華やかな香りとすっきりした後味のパイナップルとレモン風味のコーラ飲料です。とおっしゃっておられます。確かに、パイナップル＆レモンと書いてあります。でも、無果汁･･･成分を見ると、何だか恐ろしい化学物質の名前ばかりですね(((((^^;というわけで、恒例の水色チェック(笑）うーん、毒々しいですね(^^;)身体が飲んではいけない、と拒否反応を示しています(((((^^;強烈な粉末ラムネ（駄菓子屋で売ってたつながってる袋のやつです。溶かして飲むやつです）の香りがします。凄く嫌な予感がします。しかし、ヒトバシラーとしては飲んでみねば。ゴクリ････････････････････････････････････涙パイナップルというか、出来の悪い香料で作ったココナッツ風味ですね。そうですね、ココナッツな香りの日焼け止め･･･あるいは、白いふかふかの絨毯を車の中に敷いている人たちが好んで使うバックミラーにぶら下げる車の芳香剤みたいな香りが、口の中に広がります(((((^^;去年のキュウリよりは後味は引きませんが、ブルーハワイという名前から推測されるように、飲むと舌が真っ青になります(((((^^;さすが、ペプシ。期待を裏切りませんね。またもや、期間限定販売だそうなので（そりゃ、そうだ）、ブログのネタに困っている方は是非お試しください（爆）うー、気分が悪くなった(-_-;)これはネタとしか思えない･･･

2008.06.13

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薄めの中国緑茶の意外な旨さ

妙に朝早く目が覚めたので、緑茶を淹れて一息。選んだのは、今古茶籍の新昌龍井。今年のものです。大佛龍井という名前の方が、最近は有名かも。龍井茶は何しろ名茶として有名なので、浙江省のあちこちで作られています。その中でも、紹興市で作られている会稽龍井と同じぐらい名前が知られているのが、この新昌龍井。紹興市の管轄下にある新昌県で作られています（中国は県よりも市の方が上の行政単位なのです）場所は、紹興市から南東へ下がっていったところで、最澄が修行したことでも知られる天台山のちょっと手前ぐらいにあります。新昌は、大佛寺というお寺が有名で、大佛龍井という名前になったのですが、観光資源としては他に硅化木（けいかぼく・木が化石化したもの）の地質公園もあります。どんな場所なのかは、今古茶籍さんのサイトをご参照ください。茶籍新昌龍井は、地質公園に指定された大峡谷の中で育てられているオーガニックティーなのです。ちなみに、品種は烏牛早という早生品種が使われています。ですので、西湖龍井よりも出回るのが早いわけですね。さて、今回は今古茶籍さん的な淹れ方で淹れてみます。･･･というのも、今古茶籍の場合、茶譜の値段を見ると非常にお高く感じるのですが、実は茶葉を使う量が少なくても美味しく飲めるので、想像以上にリーズナブルなんです。例えば、緑茶だと大体１ｇ以下で半日は確実に飲めます。私の使っているグラスは、ちょっと高さがあるので、今回はちょうど１ｇを使います。グラスに入れるとこんな感じ。細長いグラスの底がちょっと隠れるぐらいですね。で、最初に少量のお湯を入れます。茶葉が全体的に浸るぐらいですね。で、少しなじませて、これを飲みます。お茶の香りを楽しむことができます(^^)そのあとで、お好みの量までお湯を注ぎます。で、大体茶葉が沈んだぐらいに飲んでいただくと、甘い茶水というか品の良い甘いお湯になります♪肩の力がフーッと抜けていきます。で、半分ぐらい飲んだら、お湯を差します。これを何度か繰り返していると、不思議なことに３，４煎目あたりからさらに甘い茶水になります(^^)これが美味しいのですねぇ♪･･･とまあ、家ではこんな飲み方をダラダラとしているので、いっこうに茶葉が減らない(^^;)良いお茶であれば、このぐらいの少量でも十分に楽しめるんですね。＃奇古堂の沈さんみたいな感じですが。一般的には、茶葉１gに対して５０ｃｃのお湯ということが言われますし、その分量で入れてくれと紹介しているお茶屋さんも結構あります。･･･が、それは鑑定杯の比率です。あくまで目安に過ぎません。楽しむ分には、自由に調節できるのです。一度、ガラスコップで薄めのお茶に挑戦してみてはいかがでしょうか(^^)中国緑茶の持っている、意外な甘さに気づくことができると思います。＃ちなみに、私も眠い時は茶葉をどっさり入れて強烈な濃さで飲みます。思いっきり濃いお茶でカフェインを取るわけですね(^^;)。お茶の飲み方もケースバイケースです♪薄茶でも美味しいものは美味しい～

2008.06.12

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おいしいコーヒーの真実

先日、映画『おいしいコーヒーの真実』を見てきました。おいしいコーヒーの真実　公式サイト：http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/予告編を見た瞬間、「これは！」と思ったのです。＃みなさんそう思うのか、小さな劇場なのに、ものすごい混んでます。今年に入ってから、『いのちの食べかた』『ファーストフード・ネイション』と食関連の映画を見てきました。我ながら、かなり偏ってますなぁ(^^;)結論から行きますと･･･この映画が一番重たかった...orz残酷なシーンがあるとか、そういうことではないのです。南北問題という、このどうしようもない程に厳然とした格差。これを圧倒的に見せつけられてしまったという印象です。「発展途上国には援助をすればいい」という感覚が、思いっきり破壊されます。映像のインパクトというのは、何しろ強烈です。真剣にこの問題を考え始めると、危険な方向に走っていきそうで恐ろしくなります(^^;)でも、この映画は多くの人に見てもらうべき作品だと思います。上映館が限られているのが残念ですが。。。＃私が見たい映画は何故いつも単館上映(^^;)以下、かなりのネタバレですが、ストーリーと気づいたことなどを。　　　　ストーリーは、コーヒーの原産地であり、現在もコーヒーの輸出大国エチオピアの様子を映し出します。エチオピアは典型的なモノカルチャー経済の国。総輸出額の４０％程度をコーヒーが占めます。その一方で、エチオピアは最貧国の中の１つ。飢餓に苦しみ、国連の食糧援助なども受けています。ここで１つの数字が出てきます。私たちがコーヒーショップで購入する、トールサイズのコーヒー３３０円。このうちコーヒーの生産農家が手にする金額わずか　３～９円率にしたら消費税にも満たない金額しか、農民の手には渡らないのです。いくら物価が違うとはいえ、これでは生活できるはずがありません。そのために、その日の食料にも困る生活を余儀なくされ、飢餓に苦しむエチオピアの人々。子供たちは学校にすら通わせることができません。「教育こそ国を作るのだ。なんとしても教育をしてあげたい」と真っ直ぐに信じる親がいて、「勉強したいんだ」と目を輝かせる子供たちがいるのに、経済的な事情で、それもままならないのです。中には、食べるためには仕方がないとして、コーヒーを放棄し、麻薬性作物の栽培に手を染めざるを得なくなる農民もいます。悲しいことに、そちらの方が高く売れるからです。生活のためには仕方ないのです。一杯のコーヒーの向こう側には、人々のこんなに悲しい生活があるわけです。その一方で、先進国側の輸入・焙煎・流通・販売業者（喫茶店）側には、９０％以上が落ちています。もちろん、人件費や地代家賃などに当てる部分や焙煎のコスト、危険の伴う国への買い付けコストなどもあるので、ある程度の利益を取るのは良いのです。価格がどうやって上昇しているのかのプロセスを見ると、どうやら生豆から焙煎を行う段階で、グンと価格が上がるようです。焙煎は確かに大変な作業です。生豆の中に形が不揃いな物があったりしたら取り除かなければいけません。ピッキングの作業は大変です。ブレンドも色々な国・産地の物を組み合わせたりしますので、これはこれで大変な手間であり、ノウハウであることは間違いありません。でもね･･･ちょっと取りすぎなんじゃないの？という感覚がフツーの感覚だと思います。しかし、市場原理というものは、ある意味、恐ろしい。人間の感覚以上に、市場原理は魔物のように働いてしまうのです。大昔の社会科で勉強した、”価格は需要と供給で決まる”というアダム・スミスの”神の見えざる手”というやつです。そんなコーヒーの価格決定のプロセスに、映画は切り込んでいきます。コーヒーは石油に次ぐ大型取引商品であり、ニューヨーク商品市場で取引されています。ここで需要と供給のバランスで、価格決定がされるんですね。取引市場ですから、当然相場は上下します。ここの価格が１９８９年以降、低迷しているのです。１９８９年は、コーヒー生産国間で生産量の割り当てをしていたコーヒー協定が破綻した年。これ以降、各国は勝手に増産に走り、需給バランスが崩れます。そこで起こった問題がコーヒー危機。過剰な生産が過剰な在庫を生み、販売価格が生産コストを下回るようになってしまったのです。つまり、作れば作るほど赤字の状態を生み出してしまったわけですね。低迷を続けたコーヒー相場はここ１，２年で倍ぐらいに跳ね上がりました。が、頭に来ることに、多国籍企業＆コーヒーチェーンは、その分をしっかり販売価格に上乗せしてきます。相場が倍になったと言ったって、農家の取り分３～９円が６～１８円になっただけのことです。マーケティングコストを削減して何とかしろよ、と言いたくもなります。結果として、多国籍企業や大手チェーンは、コーヒー事業の利益率を維持して最高の業績を上げ、超高額の給与をＣＥＯは成功報酬で持って行くわけです。･･･なんたる南北格差。こういう状況を打破するために、高品質なエチオピア産の豆の良さを全世界に紹介して回り、適切な価格で直接購入してもらえるように働いているエチオピア人が出てきます。彼がこの映画の主人公と言っても良いかもしれません。彼が要求するのは”フェアトレード”。良いものをきちんと認めてもらって、適正な利潤が取れる価格で買ってもらおうという動きです。イギリスなど、欧米では活発なようですが、日本ではまだまだ。広げる余地はあると思います。強烈なインパクトのある映画なので、「この映画で、フェアトレードに目覚めました」という人は多分多いと思いますが、この映画を見ただけで、分かった気になるのは危険です。この映画の主張は、問題の一面を捉えているに過ぎません。コーヒーの問題については、様々な良書が出ていますので、それらを読んで問題の本質をもっと見極めるべきだと思います。↑例えばこの本。･･･というのは、知れば知るほど、フェアトレード運動だけでは問題は根本的に解決しない、と私は思うからです。確かに一消費者ができる範囲のこととしては、これぐらいしかないのですが。明日の生活にも困っている農家を救うための応急処置としては効果的だと思いますが、そもそも市場価格が低すぎるのが根本的な問題だからです。市場価格はフェアトレード運動では上昇しません。市場経済である以上、価格は需給バランスで決まるものだからです。この経済原則を軽視してフェアトレードを活発化させることは、フェアトレードの恩恵に預かれる人と預かれない人との格差を生むだけです。まずは、コーヒー市場価格を生産コストがまかなえるレベルに引き上げることと先進国側の利益取り分を生産国にどう還元するかのルール決めが必要でしょう。具体的には、積み上がった在庫をどうにかして処分し、生産調整を行う必要があります。ものすごく難しいことですが、これをどこか（ＷＴＯ？）が主導してやらなければいけません。同時に生産国側でも、品質向上のための取り組み、具体的には農家の栽培技術指導、農村のインフラ整備などを行わなければいけません。どれをとっても大変なことですが、これによって多くの途上国が食糧援助などの状態を脱し、経済的に自立する道が開けるというのは、最大の途上国援助になります。本当の国際貢献というのは、こういうことでしょう。こういうことにリーダーシップを取って取り組むのが先進国のあるべき姿なのですが、某国の首相はアフリカ開発会議で「ＯＤＡや円借款頑張りますから、常任理事国入り支援お願いします」という趣旨の発言をして、アフリカ各国の首脳から呆れられました。国内だけではなく国際社会でも、ＫＹぶりを余すところ無く発揮していますなぁ。彼らが欲しいのは援助ではないのです。経済的に自立するための方策なのです。具体策が欲しいわけです。「日本はフェアトレードを応援します」「農業生産性を向上させるための技術供与をします。具体的には･･･」ぐらいのことを言っていれば拍手喝采だったでしょう。甘いんですよ、日本の踏み込みの仕方が。「日本は金さえ出せばいいと思っている」とアフリカ諸国に思われていることでしょう。情けない。。。おっと、脱線しました（汗）この映画はコーヒーを問題として取り扱っていますが、このような問題は別にコーヒーに限ったことではないと思います。そして、南北問題に限らず、国内にもこういう問題はあると思います。何でも市場価格というところに任せすぎてしまうことの危険性を知らなければいけません。ものを作るのにどれだけの費用がかかるのか、その仕事を通じて家族を養っていけるのか、ということを消費者がきちんと理解して、ものを買わないと、こういう悲劇はいくらでも起こると思います。フェアトレードの商品を買うのも１つの方法だと思いますが、まずは消費者が、産地を知り、その生産の様子を知ろうとすること。販売する側は良いことも悪いことも、きちんと情報開示をすること。メディアはきちんと現地の様子を伝えること。そこから全ては始まるのだと思います。色々考えさせられることの多い、深い映画でした。↑フェアトレードについて詳しく知りたい方は、この辺をどうぞ。ダージリンの紅茶の様子などにも触れられています。考え、行動する消費者に！

2008.06.11

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評茶の世界

中華人民共和国の国家資格に評茶員・評茶師というものがあります。中国茶関連の国家資格というと茶藝師が有名です。茶藝師資格は、元々は茶館で働く人の能力認定を目的としたものですが、お茶を「美味しく」「美しく」淹れる技術と茶文化への理解度が問われます。日本でも取得して活躍している方が数多くいらっしゃいますので、テレビやイベントなどでも、よく見かけます。そんな分かりやすさもあり「中国茶を勉強してみよう。せっかくだから形に残るように資格を･･･」と思った時に、一番最初に目が行くのは茶藝師の資格ではないかと思います。中華人民共和国のものですが、一応、国家資格ですしね。一方、評茶員は日本での知名度は今ひとつ。評茶員・評茶師として活躍している人は、あまり人前に出てきませんし、イメージがなかなかつきにくいからだと思います。よく評茶員は”中国茶のソムリエ”と説明されています。が、よくよく考えてみると、この表現はちょっと分かりにくいかなぁ、と私は思っています。たとえば、日本で”ワインのソムリエ”といった時のイメージは･･･ワインについての詳しい知識を持っていて、味が分かる人？レストランなどでワインを上手にサーブしてくれる人？料理にあったワインを勧めてくれる人？というようなものだと思います。そんなわけで、私が”中国茶のソムリエ”と聞いた時の印象は、知識があって、サーブしてくれる人だから･･･それって茶藝師じゃないの？というものでした((((((^^;違いますじゃあ、評茶っていったい何をすることなのか？評茶員という資格を目指すとどんな勉強ができるのか？勉強すると何かいいことがあるのか？今日はそんなお話を。＃うーん、資格ネタ。新しい切り口の話題ですね(^^;)＜評茶という仕事＞評茶員・評茶師の仕事は、文字通り、お茶の評価を”客観的に”つけることです。中国茶専門店などで”品評会の受賞茶”というものを見かけることがありますが、その品評会でお茶の評価をつけているのが評茶員・評茶師です。その他、お茶の買い付けや輸出をする人、あるいは生産農家などにも評茶員資格を持った人がいます。お茶に対して、評価を”客観的に”つけるというのは、なんだか難しいことのように思えます。そもそも、お茶は嗜好性の強い飲料ですから、それぞれの人に好みもあって千差万別。それを評価する（＝点数をつける）のは難しいんじゃないの？と思います。ところが、これができてしまうのが、中国茶の評茶システムの不思議なところ。そのために、用いるのが官能検査・官能試験というやり方です。人間の五感をセンサーがわりに使い、お茶の状態をある程度決められた用語で表現していきます。枠に当てはめていくわけですね。そうすると、自然とそのお茶の点数が決まっていくのです。不思議なのですが。＃詳しく書くとあまりに大変なので、割愛します（汗）当然、こうした評茶をする際には、条件を統一しなければいけませんから、・評茶の環境・お茶のサンプルの取り方・サンプル茶葉の量・お湯の温度・量・鑑定杯の操作の仕方・抽出時間・鑑定の行い方・茶種ごとの評価基準（緑茶・青茶・紅茶etc...）などが、中国政府によって、こと細かに決められています。中国の国家労働資格の１つである評茶員には、このような技能・知識を最低限習得することが求められ、その上でお茶の良し悪しを判定する能力を身につけていることが要求されるのです。＜評茶の勉強をすると何が分かるか＞そういうふうに書くと、「なんだかプロ以外必要なさそうな資格･･･」に見えるかもしれませんが、実は評茶が一般の中国茶愛好者にとっても勉強になるのは、この先です。お茶の品質を見分けていくわけですが、そのためにはそのお茶がどんな作られ方をしているかをしっかり理解しなければいけません。そうすると、実は色々なことが分かってきます。お茶を作る過程には、その工程、工程で難しい部分、失敗しがちな部分があります。以前、私が東方美人を作った際に、発酵程度のコントロールでとても苦労していましたが、ああいうお茶の味を決めるポイントが、それぞれのお茶にあるのです。例えば、緑茶であれば、発酵を止める殺青というプロセスがあります。中国緑茶の場合は、釜炒り（炒青）したり、輻射熱（［火共］青）を利用したりして、酸化酵素の働きを止めます。この加熱加減が難しくて、火をかけ過ぎると焦げたりしてしまいますし、逆に火が足りないと、十分に酵素の働きが止まらず、部分的に発酵してしまったりします。焦げれば当然、焦げた香り・味が出てしまいますし、部分的に発酵したりすると渋みにつながったりします。製造工程での問題は、お茶の味や香りに反映されてしまうわけです。評茶員はこういう茶葉の問題点を、鑑定杯を使ったテイスティングと茶葉の状態から、ズバリと指摘します。と同時に、良い点もズバズバ指摘していきます。･･･と書くと、何だか難しそうですが、実は少し訓練すれば、ある程度のレベルはとても簡単に見分けられます。こういうことを体系立てて教えてくれるのが、評茶員の養成講座です。理論のバックボーンを教えてもらえるので、評茶の勉強をすると、こういうことがスカッと分かるのです。そうなると、どんな良いことがあるかなのですが、まずお茶屋に騙されなくなります。これぞ玉石混淆！の杭州の龍井茶農家に行くと分かりますが、大体彼らはこういう売り方をします。農家：まず、このお茶とこのお茶を飲んでみて。明前と明後（雨前）の龍井茶。明前のは最高級品だよ～普通の人：やっぱり明前の方が美味しいね～。ちょっと高いけど、街中のお茶屋さんよりずっと安いからこっちにしよう。･･･となりますが、その高級品と言われた茶葉。実は大したことの無いＢ級品茶葉で、茶商が引き取ってくれなかった、売れ残りだったりします。２つ比べると、良い方が圧倒的に良いような気がして、納得して買ってしまうのですが、これぞ観光客商法です。＃素人は素人なりの商売をされるのが当然なのです。ところが、評茶の勉強をしてみますと、評茶の勉強をした人：（茶葉を見て、香り、味わいをみて、茶殻の様子をしげしげと見る）これ、殺青失敗したでしょ。農家：（ギクッ）安くしとくよ・・・というふうになるわけです。まあ、商売上手な中国人相手にこんなに上手く行くわけはありませんがね(((((^^;それでも、お茶の味が「美味しくない」という”印象”だけではなく、いまひとつな”理由”を指摘できるようになりますので、農家や茶商にとっては怖い存在になることができます。そうなると価格交渉も有利に運びますし、何より変な茶葉を売りつけられなくて済むわけです。中国でも台湾でも分かる相手には、きちんとしたものが出てくるんですね。＃不思議なもので、お茶の飲み方・味わい方を見るだけで、その人がどのくらいお茶を飲んできているのか分かっちゃうものです。ですので、茶葉は現地で買う派の方や、良いお茶をきちんと買いたいと思っている人は、評茶の勉強はしておいて損の無いものではないかと思います。評茶の知識は、あなたをお茶屋にとって手強い客にしてくれます(^^;)＃こういうことを書くと、ますますお茶屋さんに嫌われそうだ･･････とはいえ、評茶員の養成講座は大体が短期集中なので、時間が限られていますから限界もあります。良いお茶かどうかを見極めるためには、飲む絶対量が必要になるのですが、これは個人の努力に頼らざるを得ないのです。本当に美味しいものを飲んだことがなければ、どのくらいのレベルで美味しいものなのかは分かりません。逆に不味いものや失敗作も飲んでいないと、問題点が指摘できないんですね。言っていることが矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、評茶員の養成講座に出ただけでは、本当の評茶力は身につきません評茶のやり方や操作技法は習得できるでしょうが、その後も、粛々と量を飲んでいかないといけないのです。「評茶員資格を持っている＝お茶の味が分かる」ではないということです。実力は、その後の本人の努力次第というわけです。＃資格を持っていなくても、長年お茶を飲み慣れている人や農家の方が詳しかったりしますただ、理論が頭に入っていると、飲む視点が変わってきますから、お茶の違いがハッキリと分かるようになります。一般の中国茶愛好者にとっては、これが評茶の勉強をする、一番のメリットなのかもしれません。その道のプロに言わせれば、意識してお茶を飲み続けていると、初めて飲んだお茶でも評茶できるようになるものなのだそうです。･･･え、今さらですが、何で評茶員の話をし始めたのかですか？(^^;)まあ、お気づきの方も多いと思いますが、要はですね。。。こういうことです。おかげさまで中級評茶員の証書を頂きました(^^ゞ＃中国国内の証書発行が混乱しているらしく、ようやく届いたのです（汗）分かったようなことを書いてますが、私もまだ評茶員の駆け出しです(((((^^;緑茶の一部が何となく分かるようになったというレベルに過ぎません･･･でも、評茶は面白いんですよねぇ(^^)奥が深いというか、「あのお茶屋が言っていたのは、そういう意味だったのか！」と最近になって分かるようになってみたり。もっと早く勉強しときゃ良かったと思ったぐらいです(^^;)こうなったら、高級評茶員でも目指しますか。ははは。。。評茶は楽しい♪【ご参考までに】「評茶、勉強してみようかな」と思われた方のために日本国内で、評茶員の資格取得ができるところをご紹介しておきます。華泰茶荘遊茶（現時点では募集を行っていないようです）おそらく、日本国内で検定試験まで受験できるのは、この２カ所ぐらいではないかと思います。中国側のパートナーが違うので、それぞれ認定機関が若干違いますが、同じ国家資格です。

2008.06.08

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東方美人の季節

今日は二十四節気の１つ、芒種（ぼうしゅ）です。お茶好きにとって、芒種といえば、東方美人の収穫の季節です♪台湾では本格的に蒸し暑くなる、この時期にウンカが大量に発生し、茶畑の茶の新芽に吸いつきます。ウンカに吸われた茶葉は、ウンカの分泌物によって成長が止まります。＃蚊に咬まれるようなイメージですね。吸われるだけでなく、かゆみ成分を残していくような。こうしたウンカの被害にあった茶葉を使ってお茶を作ると、独特の香気を持ったお茶に仕上がります。この独特の香気を持った東方美人は、この時期、限定！のお茶です。＃発酵だけでも、それっぽいのは作れますが、やっぱり違うんですねぇ。というわけで、今日のお茶は、台北の茗心坊で買ってきた東方美人。東方美人の産地として名高い、北埔の産です。品種は青心大有が使われています。２年前のお茶ですが、後発酵が進むお茶なので、置いておいてもあまり味が落ちません。ここのは適度に焙煎もされていますし。むしろ、甘さが増していくような気がします。さらっと淹れてみましたが、香りの立ち方がとても良いです(^^)２年前のお茶とは思えません。先日の上園茶荘では、青心烏龍種の東方美人を購入してきましたが、やはり品種が違うと香りも味も違ったものに出ます。青心大有の方が、少しさっぱりした口当たりのような気がします。うーむ、これもいつかは一斉に飲み比べて検証せねば(^^;)東方美人は、自然な甘さのあるお茶なので、疲れた時には良く効くような気がします。体調の崩しがちなこの季節には、ちょうど良いお茶かも。はてさて、今年の東方美人はどのような出来になるでしょうか。良いものができるとよいのですが(^^)今日のお茶：東方美人（茗心坊）、黄山毛峰（今古茶籍）もうすぐ美人の季節♪

2008.06.05

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