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2004年10月04日
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2.救い


 彼女は、その日も駅前広場の脇に立っている時計塔の前にあるベンチに座っていた。
 僕は店の窓ガラス越しに彼女の姿を眺めながら、自分が彼女に声をかける姿を想像する。

 「こんにちは、今日も誰かを待っているんですか・・・」
 「初めまして。あそこの雑貨店で働いているものです・・・」

 ・・・・
 実際に声をかけるだけの勇気もなく。僕はただ彼女の姿を毎日眺めているだけだった。

 彼女は決まって毎週日曜日の、昼頃から日が暮れるまでそこで誰かを待っていた。僕は2ヶ月ほど前に彼女の存在に気づいたのだが、店長の話によれば、もう一年近くそれが続いているそうだ。

 その場所は駅で待ち合わせる人々の目印となっていて、休みの日には待ち合わせをしている人たちがひっきりなしに入れ替わっている。そんな中で、彼女だけが何時間もそこで誰かを待ちつづけている。そして、いつも決まって待ち人は現れず、日が暮れると彼女は一人で帰っていくのだ。

 僕は、広場の前の雑貨店でバイトをしている。この店で働いているのは、バイトの僕と店長の二人だけである。小さな店で、客足もまばらであるため、それほど忙しくはない。実際に平日は、店番が一人居れば十分であり、店長が休みの日以外は僕に出番はない。
 しかし休日は多少忙しく、ほとんどの土日は二人で店に出ることになっている。最初は全ての土日が潰れるということに抵抗があったが、今ではそれが良かったと思っている。
 このバイトのおかげで、毎週日曜日には彼女の姿を見ることが出来るから・・。





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最終更新日  2004年10月04日 14時12分08秒
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