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2023.12.07
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読レポ第1147号

カール・ロジャーズ

~カウセリングの原点~
著:諸富祥彦

発行:㈱KADOKWA

第1章 ロジャーズを理解するための5つのキーワード

 本書は、ロジャーズの思想と方法の「本質」に迫る著書である。まずは、骨太に、その全体像―ロジャーズが人生を賭して何をしようとしていた人物であるか―を、5つのキーワードから描いておきたい。

 キーワードは、①真に自分自身となる、②内臓感覚、③受容・共感・一致、④内側からの理解、⑤静かなる革命―の5つである。

「自分自身」になっていく―自分の内側と深くつながっていきる

ロジャーズの代表作を一つ選べと言われたら、多くの人は『オン・ビカミミング・ア・パーソン』(Rogrs1961a)(邦訳『ロジャーズが語る自己実現の道』)を選ぶであろう。

 原著のタイトルを直訳すれば、『ア・パーソン(一人の人間)になることについて』となる。しかしこれは、考えてみれば、奇妙なたいとるである。「一人の人間になる」ことについて、わざわざ著作を物すというのであるから。では「ア・パーソン」(一人の人間)になる、ということについては、どのようなことであろうか。なぜ、「一人の人間」になるということについてあえて論じる必要があったのか。それは、多くの人が一人の固有な人間として生きていない、と思われたからだ。ロジャーズが生まれた20世紀半ばにあってもそのことはすでにたいへんに困難な課題であった。

 周囲の人の期待に応えたい、この社会から取り残されたくない、そのような思いを抱えいるうちに、人は、言わば自然と、自分でも気づかないままに自分を見失っていく。いつの間にか、自分の内側の実感から切り離され、誰が考えたのかわからない定型的なパターンに沿ってものを考え、語るようになっていく。それはまさに「自動機械」のようである。

 ロジャーズが「発見」したのは、彼がカウンセリングの場で、悩める人のこころの声に深く耳を傾けて受け止めていくにしたがって、人間は、おのずと、そのような「社会」の勝手な期待に応えることから「離脱していく」、そのような方向に変化していく、ということであった周囲の人の期待に応えるのをやめていく。その社会の、その時代の定期的思考を自動機械のようにおこなうのをやめる。自動機械のようなパターン化された思考をくりかえしていた人が、立ち止まり、「ええっ、うーん……」と、自分自身で考え、語るようになっていったのであった

 人は、その人をその内側から深くていねいに理解してくれる人がいるならば、おのずと、定期的なパターン化された思考をやめていく。自分自身の内側に入り、内側から言葉を発するようになっていく。カウンセリングの場で生じるこの「観察事実」をロジャーズは「発見」したのである

と著者は述べています

 確かに、悩めんでいる人は、周囲の人の期待に応えたい、この社会から取り残されたくない、そのような思いを抱えいるうちに、人は、言わば自然と、自分でも気づかないままに自分を見失っていいます。
 まさに、誰が考えたのかわからない定型的なパターンに沿ってものを考え、語るようになって「自動機械」のようなパターン化した思考をくりかえしているのが多くの人は、やっているのが現実です。日本のピラミッド型サラリーマン化が主体性を薄らげて、悩める人を増やしているように思います。

 それは、子どもたちにも現れてきています。不登校や大人も含めて出社拒否反応、引きこもりなどです。、一部かもしれませんが。
 そういう、自分を見失た人には、著者の言っている、ロジャーズの「悩める人のこころの声に深く耳を傾けて受け止めていく」ことで、自動機械のようなパターン化された思考をくりかえしていた人が、自分自身で考え、語るようになっていくようです。
 周囲の期待を手放すこと、離れることで、自分自身を徐々に取り戻すことができるようになるのでしょう。
 「悩める人のこころの声に深く耳を傾けて受け止めていく」ことで、その人はその人らしさを取り戻すことができるようです。

 否定しないで、しっかりこころの声に深く耳を傾けて肯定的に受容することだと思います。

 





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Last updated  2023.12.07 16:45:41
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