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2024.02.29
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読レポ第2000号

カール・ロジャーズ

~カウセリングの原点~

著:諸富祥彦
発行:㈱KADOKWA

第5章 ロジャーズのカウセリング/心理療法
 プレゼンス(ただ、そこに「いる」ことに全力を注ぐ) ¾

 ここで紹介する二つの面接は開始後11カ月のものである。一つ目の面接では50分、3日後おこなわれた二つの面接では53分が沈黙である。このタイプのクライアントが166回もの面接を自分の意思で続けるのは、なかなかないことだろう。関係を成立させるためにロジャーズは、クライアントにタバコを渡したり、雑誌を探したり、お金を貸したりと、あらゆる努力を試みている。統合失調症の患者と何とか治療的接触を試みようとするロジャーズの賢明な姿が見て取れる。

 一つ目の面接から最初のほうを紹介する。

「ロジャー」:引き出しの中にタバコがありますよ。あれっ。そうか、なくなってたんだ。(沈黙25秒)

「ロジャーズ」:今朝は怒っているように見えるんですけど。そういうわけではないですか(ジムはかすかに首を振る)。怒ってはいないですね(沈黙1分26秒)
「ロジャーズ」:なにか起こってるでしょう。そこに入っていっていいですか。(沈黙12分52秒)

「ロジャーズ」:(ソフトに)「もし少しでも、お役に立てるなら、入っていきたいんですけれど」と、言ってみたい感じがあります。でももし、そうではなくて、あなたが自分の中にいて、自分の感じることを感じていたいのでしたら、それでもかまいません。そして私がほんとうに言いたいのはもう一つ、こんなことです。「私はあなたのことを思っていますよ。ただここに棒のように立っているのではないですよ」(沈黙1分11秒)

「ロジャーズ」:あなたは沈黙していますけど、そうすることで、今は出ていきたくないし、またそうすることもできないんだと言っているでしょうね。いいですよ。ジャマしないでいましょう。でもただ、私がここにいるっていうことは、覚えておいてください。(沈黙17分41秒)

 タバコを渡す、ジムの感情を共感的に推測する、侵入的にならない仕方で自分の感情を伝える―考えうるあらゆる試みを尽くしている。

 その30日後におこなわれた面接の後半部分を紹介する。前半でジムは、昨日から「死にたい」「死ねれば」と思い続けていたことを語っている。

「ジム」:今日、行こうと思うんです。どこに行くのかわかりませんが、どこでもかまいません。

「ロジャーズ」:もう決心はできている。あとは行くだけだ。どこか決まった場所へ行くのではなく、ただただどこかへ行ってしまいたい。そうですね。(沈黙53秒)

「ジブ」:(しょげ返った調子)だから行ってしまいたいんです。何が起こってもかまいませんから。

「ロジャーズ」:えぇ?

「ジム」:だからもう、行ってしまいたいんです。何が起こってもかまいませんから。

「ロジャーズ」:あなたは行ってしまいたい。なぜなら、自分がどうなってもかまわないから。何がどうなってもかまわないから。

でも私はこう言いたいです。「私は、あなたがどうなるかが気になります。何が起こるのか、とても気になるんです。かまわなくなんて、ない」と。

(30秒後、ジムはすすり泣きをはじめる)

「ロジャーズ」:(やさしく)ただただ気持が溢れだしてくるのですね。(沈黙35秒)

「ロジャーズ」:ただ、泣いて泣いて泣き続けていたい。とてもひどい気持なんですね。(すすり泣きていたジムが、鼻を鳴らして、大きな息をする)

「ロジャーズ」:あなたがどんなにひどい気持ちでいるのか、わかる気がします―ただただ泣き続けていたい。(ジムは頭を机にのせ、息をのみ、喘ぐようにして泣き始める)
「ロジャーズ」:ここ何日か、感じていて、たまっていた気持がただただ噴き出してくるですね(沈黙1分56秒)

「ロジャーズ」:ティッシュがありますよ。何か引き裂かれるような気持ちなんでしょうね。(沈黙1分56秒)

「ジム」:死んでしまえば、って思うんんです。(すすり泣き)
「ロジャーズ」:死んでしまえば、って思うんですね。あまりにひどい気持ちなんで、この世から消えてしまいたい。

(ロジャーズは、ジムの腕にやさしく手を置いている。ジムははっきりした反応を示さない。けれども、嵐はいく分かあさまっている。とても重い呼吸)(沈黙1分10秒)

「ロジャーズ」:とてもひどい、内面が引き裂かれているような感じ。それでも、消えてしまえばって思ってしまうんですね。(沈黙3分29秒)

「ロジャーズ」:生きていることがほんとに大変なんですね。胸が張り裂けるほど泣きたいし、死んでしまえたらって思うんですね(重い呼吸が続く)(沈黙6分14秒)

ロジャーズはこの後、すでに次のクライアントとの面接時間になっているからもう行かなくてはならない、できれば次の火曜日にまた会いたい、必要ならその前でも会えるから電話をしてほしいと伝えた。ジムが洗面所で顔を洗って帰ってくるのを待って、面接を終えている。最後にジムはタバコを1本ねだっている。

 このケースでロジャーズは、「私はあなたに関心がある」「あなたのことを気にかえている」「あなたがどうなろうと、かわなくない」「あなたの世界を少しでも理解できたらと思っている私がここにいる」―ひたすらこれらのことを伝えようとしている。

 この面接を転機として徐々に変化をとげていく。直後の面接では再び沈黙が支配して落胆させられた。しかしその後数ヶ月のうちに生きる姿勢が変わり始めた。退院して部屋を見つけ、パートタイムの仕事についた。2年後には、「半分くらい戻ってきた」と思うし、「あなたとはまた会いたい」という旨の手紙を送られている。

と著者は述べています。

 この面接のエピソードから、ロジャーズが、総合失調症のジムに対する、徹底的な関心をもって傾聴して、試行錯誤していたことが見えてくる。沈黙も耐えて、クライアントとのジムに集中して関心をよせて同行者として徹底的に寄り添っている。

 この中での沈黙時にロジャーズは、自分の中に湧き出す自分の価値観や考えのジャッジの感情をどのようにしたのかな。ロジャーズは、自分の中の価値観や考えは湧かなかったのかな。それを知りたいし、そのように湧き出ずいたるトレーニングを知りたい。

 私は、悩みを聴いていると自分の中にたまに湧き出す自分の価値観や考えをジャッジしてしまうので、湧いて来た価値観や考えを自分の横に置くようにして、その価値観や考えにフォーカスから外して、話し手に集中して聴くよにしていますが、完全ではありません。

今、話し手に集中できるようにトレーニングの日々です。
 自分の中の価値観や考えが芽生えてくると、話し手の話をジャッジして否定的に受容してしまうことがあるので。傾聴は、私は自分の中の価値観や考えを横に置いて、話し手の話を肯定的に受け止めて傾聴しています。完全でなくてもいいとおもう。人には、自分の中の価値観や考えの湧き出す衝動があるから、それをむりやり抑えつけると、自分の中にマイナスの感情を溜め込んでしまうからです。自分の感情も受容しながら、話し手の話を肯定的に受容することだと思う。場合により、相手を否定しないで自分の感情を伝えても良いと思います。





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Last updated  2024.02.29 11:01:06
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Re:読レポ第2000号 カール・ロジャーズ プレゼンス(ただ、そこに「いる」ことに全力を注ぐ) ¾(02/29)   かめおか ゆみこ さん
ハネさん、遅ればせながら、
2000号おめでとうございます。 (2024.03.01 16:42:37)


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