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2024.04.27
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読レポ第2056

カール・ロジャーズ

~カウセリングの原点~

著:諸富祥彦
発行:㈱KADOKWA

第6章 1955年ロジャーズとジャンドリン

 1950年代後半ロジャーズ論文におけるexperiencing(エクリンピング:経験する)概念(2/2)

 ではロジャーが、ジャンドリンの言うexperiencing(エクリンピング:経験する)のdirect referent(ダイレクト:直接、レフレント:指示対象)としての特質をまったく軽視していたのかというと、そうではない、微妙な揺れが感じられるのが、第6段階についての記述である。第6段階のクライアントについてロジャーズは、「それについて感じるのではなく、体験の中に主観的に生きている」と言い、クライアントの発した「ワアーッ!これも変だ!」と言葉を引きながら、この言葉は「彼の中で進行し、彼がその中で生きている!experiencing(エクリンピング:経験する)」を表したものだ、と言うのである。ここでもやはり、experiencing(エクリンピング:経験する)は、クライアントがその体験そのものになって生きる、という実存的ニュアンスが濃厚であり、direct referent(ダイレクト:直接、レフレント:指示対象)としての性質は希薄である。しかしその後、同じ第6段階の説明として次のようにものべられている。

 十分に体験するその瞬間の体験の流れ(the moment(モンメント:一瞬) of full experiencning(エクリンピング:経験する))は、明瞭にして明白な参照体となる。前の例で、このような瞬間に自分に突然生じたものがなんであるか、クライアントはしばしばあまりはっきりとは気づいていないことがわかるだろう。しかし、そのことはそれほど重要ではない。というのは、この事象(event(アベント:イベント)は、それについてもっと多くのもを見出すために、必要ならばたびたび引き返していることのできる実体であり、参照体だからである。これらの例に表れている懇願や、「自分を愛する」感情は、正確なものではないと後でわかるかもしれない。しかし、それらが何であるかについて、クライアントが満足のいくまで引き返していくことのできる、確固たる参照体(point(ポイント:ポイント) of reference(レフリーズ:参照)なのである。おそらくそれは、意識生活の下層であり、はっきりした生理的な事象を構成しているのもあり、クライアントが探索的な目的でそこへ引き返していくことができるものである。ジェンドリンはexperiencing(エクリンピング:経験する)の持つ参照体としてのこの重要な特質に、私の注意を向けてくれた。彼はこれを基盤とした心理学理論を展開しようとしている。(Rogers,1958)

 おそらくこのように理解していいのではないだろうか。1956年から1957年にかけてロジャーズは、心理療法の過程に関する自身の考えをまとめることに没頭した。1年間。録音された心理療法の面接の記録を聴くのに何時間もかけ、できるだけ無心に聞き入っていた。心理療法の過程に関して、またクライアントの変化について、どの要因が重要かについて、とらえるすべての手がかりに身を浸した。その結果、「自らのその瞬間その瞬間の体験そのものになりきって生きる」という実存的なニュアンスの強いイメージがゴールとして設定された。そしてそこに向けて、クライアントの変化過程を7段階に区分けし、ジャンドリンをはじめとした当時の共同研究者の提示したさまざまな概念をその過程の中にちりばめていった。experiencing(エクリンピング:経験する)概念はそこに取り入れられた概念の中に最も重要なものであるけども、まず先に設定されたロジャーズ自身のクライアントの変化過程に関するイメージが先行し、そこに組み込まれていく作業の中で、ジャンドリンがこの概念に込めた意味合いと若干ずれた使われ方がされたところもあるだろう。

 筆者は、『オン・ビカミング・パーソン』(Rogers,1961a)(邦訳『自己実現の道』)の翻訳の中心的な作業を担当したが、その際、最も訳し分けに苦労し困惑したのが、「心理療法の過程概念」においてロジャーズが使うexperiencing(エクリンピング:経験する)の訳し分けであった。direct referent(ダイレクト:直接、レフレント:指示対象)としての性質が明確で、ジャンドリンに忠実にexperiencing(エクリンピング:経験する)の語を使っており、したがって「体験過程」と訳していいと思われた箇所と、たとえば先に引用した「十分に体験するその瞬間の体験の流れ(the moment(モウメント:一瞬) of full experiencing(エクリンピング:経験する))」といった表現のように、experiencing(エクリンピング:経験する)でも「体験過程」とは訳しづらい箇所(そう訳してしまうと、the moment(モウメント:一瞬) of full experiencing(エクリンピング:経験する)は、十分に体験過程の瞬間、となって、意味が取れなくなってしまうが至るところで混在していたからである。

と著者は述べています。

 ここでもロジャーズは、ジャンドリンのexperiencing(エクリンピング:経験する)より、クライアントの変化過程に関するイメージが先行して、ジャンドリンのexperiencing(エクリンピング:経験する)も混在していることを著者は、語っている。著者は、このロジャーズとジャンドリンのexperiencing(エクリンピング:経験する)をどう訳すか苦労し困惑したようです。
 私は、ロジャーズのクライアントの変化過程をよく見て、観察して、クライアントの変化の瞬間をつかむことに心ベクトルを向けて、クライアントが言葉を鏡になって、別な言葉で反射したりしながら、クライアントの自己変容を促すことに働きかけたい。
 誰かの指示よりもクライアント自身が自己変容しなければ、成長はしていかないと思う。





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Last updated  2024.04.27 16:45:11
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