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カテゴリ:心理学 メンタル 悩み、読書
「毎日更新」読レポ第2078 カール・ロジャーズ ~カウセリングの原点~ 著:諸富祥彦 第6章 1955年ロジャーズとジャンドリン ジャンドリン宅での 短い会話(1/2) ここで筆者は、かつてニューヨークのジェンドリン宅に招かれた際、次のような会話をしたことを思い出す。 私「私はすでに200冊ほどの著作を出していますが、自分のほんとうに言わんとしていることが読者に伝わらないのが、一番の悩みです。私のなかには、たしかに、言葉にされたがっているもの、まだ誰も言葉にしていなくて、多くの人に伝えられたがっている「何か」がある。それは、たしかな感じなんです。ですから、なんとかわかってもらおうと、わかりやすく書いているのですが、そうすることで私の考えがありきたりな、一般的な考えのうちに解消されてしまっているような気がして……」 ジャンドリン「それがよくないのだ。わかってもらおうとするから……」 私「ん?なるほど。では、どうすればいいんでしょうか?」 ジャンドリン「あなただけの、新しい言葉、新しいターム(意味や使い方)をつくることだ。まだ誰も使っていない言葉をつくるのだ。すでにある言葉を使うと、あなたのユニークな考えは、すでにある既存の考えになぞられて理解されてしまう。誰からも簡単には理解されない言葉、あなただけの新しい言葉をつくるのだ。よく理解できない新しいターム(意味や使い方)と出会うことで、読者は立ち止まり、そこでこの著者はこれまでにない新しいことを言わんとしているということに注意を向けるだろう」 誰も理解できない「新しい言葉」をつくりなさい。そうすれば、読者は、あなたが他の人とは違う新しいことを言っているのに気づくだろう。この時、ジャンドリンは筆者に、「TAEをしながら本を執筆しなさい」と誘ってくれていたのだ。そんな課題に少しは取り組むことができているであろうか。 フォーカシングにおいても、TAEにおいても。自分独自の方法で言語を開発して使用できるようにすることで、通常の仮定にとらわれることがなくなる。定義された概念の制約から解放される。新しく生成されたフレーズは、他の方法では定式化できない経験の側面を示す可能性がある。 この本では私は、既存の方法を疑う。私たちが普通の仕方で語ることができるよりも、より以上のことについて知ることのできるエッジと、哲学は私たちを導いてくれる。私たちが語ることができるもの辺緑において、言葉以上の知(MORE-THAN-VERBASL KNOWING)からさらに思考を進めていくために、普通の習慣的な概念や単位を解体していく必要がある。そうすることで新しい概念や単位が立ち現れてくるのだ。 エッジから出発して、新しい仕方で語る方法を考案するためにも、もちろん私たちは。これまでと同じ古い言葉を、これまで使われていたのと同じ言葉を使わないわけにはいかない。 哲学はこれまでと同じ古い言葉を使う。けれども哲学は、その同じ言葉に、より以上の何かを意味したりかたらせたりしうる。新しい哲学はいずれも、その哲学の主要な言葉を新たに位置づけし直す(repostion)のである。(Gendlin,1998)
言葉以上の知からさらに思考を進めていくために、普通の習慣的な概念や単位を解体していく必要があり、そうすることで新しい概念や単位が立ち現れてくるのだとジャンドリンが述べてくれた。哲学はこれまでと同じ古い言葉を使うが、けれども哲学は、その同じ言葉に、より以上の何かを意味したがり、新しい哲学はいずれも、その哲学の主要な言葉を新たに位置づけし直すのである。 確かに同じ言葉でも、時代が進むにつれて、その言葉の位置づけが変わっている。例えば、「忖度」などは、本来の意味は「相手の気持ちを考慮する」ことで、どちらかというとポジティブなイメージの言葉です。 広辞苑には「他人の心中をおしはかること」とあるが、近年は、目上の人の顔色をうかがうようなネガティブな意味で使われるようになってきている。 ネガティブな言葉を否定するのではなく、肯定的に受容することで、時間は遙かにかかるが、ポジティブな言葉の位置づけに変わってくると、この項の最後の哲学を読んで、言い方は新しくないが、位置づけにが変われば、新しい言葉となりうるであろう。 新しい言葉を生み出すには、自分の中の自分と対話することです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.05.19 00:10:40
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