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カテゴリ:心理学 メンタル 悩み、読書
「毎日更新」読レポ第2095 カール・ロジャーズ ~カウセリングの原点~ 著:諸富祥彦 第7章 「静かなる革命」 ロジャーズによれば多くの場合、対立する双方は次のようなパターンに陥っている。「我々は正しくあなた方が誤っている。我々は善であなた方は悪だ」。このような場面でもっとも必要なのは、自分たちサイドが「自分たちは正しい」と信じているのと同様に、相手サイドもまた、「自分たちは正しい」と信じているのを認めること、そしてその事実を受け入れることである。 ここでパーソンセンタード・アプローチは効力を発揮する。成功したいくつかの事例の中で最も大きな緊張を抱えていたものの一つが、以下に紹介する北アイルランド、ベルファストでのエンカウンター・グループ(1973年)である。 イギリス人男性一人(退役陸軍大佐)を含む5人のプロテスタント信者と4人のカトリック信者からなるそのグループは、数世代にわたる経済的・宗教的、文化的増悪を孕んでいた。 このグループの様子は映像に撮られ、今でもDVDで見ることができる(『鋼鉄のシャッター』)。しかし真の困難は、撮影の前段階にあった。「グループには7名参加しましたが、人選の過程でぞっとするような体験をしています。IRA(アイルランド共和国軍)からの参加者と交渉する時(引用者注:ロジャーズの仲間のビル・マクゴーとバット・ライトが)打ち殺されそうになったのです。グループを成立させることが最大の難問だと言えます」(Rogers & Russell,2002)。私たちがDVDで見ることができるあのグループの様子は、まさに命懸けの交渉の上に成立したものだったのだ。 しかし、プロテスタントのデニスとカトリックのベッキーが夕食時に10分ほど話をし、個人的な友情を感じ始めたのをきっかけに、グループの緊張は緩和され始める。両グループの憎悪や不信感が次第にオープンに表現されるようになっていった。たった16時間の短いエンカウンター・グループであったが、この短時間のうちに何世紀にも及ぶ根深い憎悪が和らげられていった。オープンな感情表現がお互いの理解を深め、その理解が過去からの障壁を洗い流したのである(残念ながら、敵対者に理解を示すことが証拠として残ると発言者の生命が危険に晒されることからことから、それらのいくちかはフィルムから削除された)。 グループ解散後も、参加者のほぼ全員が危険を冒して自発的に集まり続けた。また、自発的にチームをつくって、プロテスタント、カトリック双方の教会で記録映画を上映し討論会を開いた。最終的に数千人が参加したが、ベルファストの殺害を止めることはできなかった。もしそれが可能になることがあるとすれば、それは、問題が深刻化して大衆が決意し、エンカウンター・グループが街のあちらこちらでおこなわれるようになった時だとロジャーズは考えている。 ここでも北アイルランド紛争と同じように大事なのは、お互いの信頼でのオープン化であると思う。それには、平等で一人一人を尊重するファシリテーターの存在が重要です。参加者を肯定的に受容する力が必要だと私は思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.05 06:05:24
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