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遊心六中記

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茲愉有人

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2016.05.31
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カテゴリ:探訪

IMG_9669 (400x300).JPG  IMG_9670 (400x300).JPG

知恩院口から登り、法垂窟を拝見してそのまま引き返す予定が引き返せなくなってすこし慌てたことは前回触れました。将軍塚まで登ることなく、石積上の地蔵尊のところが分岐点となることをご教示いただけたので、助かりました。冒頭の写真は、その分岐点にある道標です。左の写真には、「東山山頂公園」の方向を示しています。ここで右の写真の板橋を渡って右方向に山道を下ります
その下り道の右側山麓が「安養寺」の寺域なのです。

IMG_9671 (400x300).JPG

山道を少し下ると、この石標が目に止まりました。

安養寺の山門前の道は円山公園と知恩院とを結ぶ道として、過去幾度も通り過ぎています。そのため、この寺が吉水草庵ゆかりの地であり、歓喜天が祀られていることは石標で知ってはいました。山門をくぐって、境内に入って拝見できるものと思い込んでいました。今回この聖天堂を直に拝見できることを知ったことは、思わぬプラスアルファの一つでした。
安養寺境内は未だ拝観していません。いずれ機会をみつけて、またこの辺りを散策したいと思っています。

IMG_9672 (400x300).JPG

石標の傍に、お堂までの参道が山腹沿いに北方向に延びています。お堂の手前に、手水舎があります。

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円山聖天堂(歓喜天堂)
「歓喜天」の扁額が掛けられ、「大聖歓喜天」と記された提灯が向拝に吊り下げられています。
ここの歓喜天は生駒聖天より勧請されたと伝わります。また、このお堂はかつては雨宝堂だったとか。(資料1)

IMG_9676 (400x300).JPG

更に山道を下ると、「将軍塚道」の石標が分岐点付近にあります。

右折して下って行くところに、

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これら民家が立ち並んでいます。序でにご紹介しておきます。
左の写真、安養寺の南隣り、円山公園の一番奥に位置する「お宿吉水」(京都吉水)。100年の歴史を持つ数寄屋造りの宿です。京都吉水のホームページはこちらをご覧ください。 
右の写真の右端に見える白い柱が上掲の石標です。この写真に写っているのは、「唯凡庵」(左)と「原口天青庵」(右)というお店。料理屋さんです。

右折した下り坂は少し北方向に向かっています。次の分岐点で道を北に歩むと、安養寺の石垣上の築地塀と山門への石段が東側に見えるのです。

IMG_9679 (400x300).JPG

今回は南方向に左折して先にある石段を下ります。ここに見えるのが「吉水弁財天堂」です。

この辺りの地図(Mapion)はこちらをご覧ください。位置関係がご理解いただけるでしょう。

IMG_9680 (400x300).JPG 吉水弁財天堂の正面

ここは安養寺門前の下段の地になり、飛地境内です。(資料2,3,4)

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石造鳥居手前の狛犬像

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お堂には、銅葺き・唐破風の向拝が付いています。屋根の獅子口に付けられた紋がかなり風化しています。
両側の柱には、「吉水弁財天女」の提灯が掛けられ、頭貫の下には中央に一際大きい「大弁財天女」と記された大赤提灯、その両側に「弁財天女」と記した赤提灯が吊されています。

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弁財天女像は厨子に納められて祀られているようです。厨子の前に赤い鳥居と鏡が置かれていて、孔雀の羽根が数本見えました。

この弁財天は慈鎮和尚(慈円)が安養寺の鎮守として祀られたそうです。比叡山無動寺からの勧請といいます。(資料2,3,4)

「後小松帝の頃琵琶法師源照がこの弁才天に願をかけ技芸上達に励んだ所その名声が天聴に達し紫衣を着ることを許された。とか粟田口の刀工藤四郎吉光が弁財天の向い槌で名刀を鍛えあげた。」(資料3)と伝えられているそうです。この粟田口の藤四郎のエピソードは、『山州名跡志』(資料5)が詳しく記述しています。

古来技芸上達祈願の信仰が厚い弁財天堂。「円山の弁天さん」として親しまれ、土地柄でしょうか、祇園花街の人々の信仰を集めているといいます。

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頭貫の上の蟇股部分がダイナミックな大きな龍の透かし彫りで覆われる位です。これとバランスする形で木鼻の彫刻も見応えがあります。

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上を見上げながらお堂の周囲を回り始めたせいか、お堂の南側境内にある「吉水(よしみず/きっすい)の井」の井筒を見落としてしまいました。ちょっと残念!
慈鎮和尚(慈円)は、この水を汲んで閼伽の水にされたといいます。
古来名水の一つとされ、この「吉水」がこの辺りの地名の由来になったのです。『山州名跡志』は「吉水 多福菴の下、石階の傍の清泉是也。則地の名とす。慈鎮和尚この所に居住の故に、吉水和尚と称す。」(資料5)と記しています。事後調べでの後智恵です。なにせ、ここを訪れたのも、今回は2つめのプラス・アルファだったのです。

この吉水が重視されていた事例として、『都名所図会』は、次の説明を加えています。「青蓮院宮御代々の法親王潅頂の時、この水を閼伽とし、夜深更に例式の列を糺し給ひ、御手づから汲ませらるるといふ」。また、『山州名跡志』ではさらにその当時の儀式に触れてこう記します。「其式甲冑を著したる者前駆し、白衣を著する僧、水桶を担ひて列を引、門主乗輿にて来臨なり。種々の儀式あり」と。(資料5,6)  

IMG_9696 (400x300).JPG 境内の南東隅に滝口が設けられています。

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滝口の上奧には、不動明王石像が安置されています。

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お堂を回り込むと、北東側には石垣の上に小祠が祀られていますが、不詳です。

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石垣の西・お堂の北東側に「慈円和尚宝塔」(鎌倉時代・重文)が安置されています。

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壺形の塔身正面は扉を開いた形で、多宝・釈迦の二仏が並座する姿を浮彫にしているといわれています。(資料2) 基壇の代わりに大きな自然石が使用されていて、少し変則的な宝塔です。どっしりと重厚な感じがします。

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この弁財天堂の前の道路を今までに何度も通り過ぎてはいるのですが、今回初めて境内を拝見した次第です。いずれ機会を作り、見落とした箇所の拝見とともに安養寺の現在の境内を拝観したいと思っています。

IMG_9709 (400x300).JPG

この後、円山公園を横切り、桜を眺めつつ、京阪電車の祇園四条駅に向かいました。

ご一読ありがとうございます。

参照資料

1) 安養寺(東山区) :「京都風光」
2) 『昭和京都名所圖會 洛東 上』 竹村俊則著 駸々堂   p231-235

3) 吉水草庵安養寺 ホームページ
4) 吉水弁財天堂(円山弁天堂)(東山区) :「京都風光」
5) 山州名跡誌 68/335コマ目 :「近代デジタルライブラリー」
6)『都名所図会 上巻』 竹村俊則校注 角川文庫  p282

補遺
比叡山延暦寺 無動寺明王堂・弁天堂 :「古今御朱印覚え書」

聖天信仰の寺々
  京都女子大近くにある香雪院(通称「東山聖天」)へ
       :「京都検定合格を目指す京都案内」
  眞葛が原聖天 :「天台宗金玉山雙林寺」
  嵯峨野大覚寺塔頭 覚勝院 ホームページ
  雨宝院(西陣聖天宮) :「KYOTO design」
  双林院(山科聖天) :「京都観光Navi」
  深草聖天(嘉祥寺) 拙探訪によるブログ記事ですが・・・・

     探訪 京都・深草を歩く(旧伏見街道の波紋) -5 嘉祥寺(深草聖天)へ
  御蔵山聖天 :「ガイドブックス京都」
  観音寺(山崎聖天) :「山崎観光案内所」

聖天さまQ&A  :「天台宗金玉山雙林寺」
聖天信仰の本義と時代背景を求めて  新田義圓氏  pdfファイル

弁財天廿九ヶ所 古の京の霊場  :「京の霊場」
七福神(弁財天)  :「寺社関連の豆知識」
蛇 ~ヘビ(1) 弁天・弁才天・弁財天の蛇  :「神使の館」

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

探訪 東山山麓を歩く -1 知恩院の大鐘楼から法垂窟へ
 






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Last updated  2016.05.31 10:46:01
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