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遊心六中記

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2017.04.23
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カテゴリ:探訪 [再録]

                                                                                               [探訪時期:2015年3月]
比叡山の東塔を後に、登ってきた本坂を今度は坂本の町に向かって下ります。
下りは山道からどのような景色が遠望できるか、それが楽しみでもあります。
冒頭の写真は、3月28日時点の写真ですので、湖西の山並みは未だ冠雪していました。
 
                 
かなり下ってくると、琵琶湖が眺められ、対岸の市街地の先には三上山が見えます。
   
ここが本坂のほぼ起点です。出発点に戻ってきました。
常夜燈の石灯籠の斜め前に立つ石標「坂本五丁目」の左側面には「本坂」と刻されています。
     
当日入手したマップから一部を切り出して借用した部分図です。(資料1)
このマップを参考にし、今回の個人オプションとしての探訪ご紹介を最後に致します。
日吉大社への参道「日吉馬場」の東西には、比叡山延暦寺の里坊が数多くあります。JR比叡山坂本駅に行くまでの道程で、この部分図の塔頭区域を拝見しながら下りました。比叡山に登るときは、穴太積みの石垣を見ながら単にその前を通過したにとどまったので、拝見できるところは可能な範囲で拝見していこうと思った次第です。
境内を拝見できるところと、拝見できないところに分かれます。境内を拝見できないところは、山門が開いている場合は、門前からの景色だけを楽しませていただきました。

そこで、まずは境内に入って拝見できるところのご紹介です。

上掲の石段下の通りの反対側斜め前には、石仏が集められた一画があります。
「おそろい湯のみおお地蔵さん!」マップにはそんな記載で載っています。(資料1)
3479,3827
石仏群の背後に見える六角形の御堂が、「坂本六地蔵」の一番目に挙げられている「早尾地蔵尊」です。早尾神社の石段下にあることから、早尾地蔵尊と呼ばれるそうです。

この地蔵尊、石標に記されているように「かくれんぼ地蔵尊」という別名や「子育て地蔵」という別名もあるのです。
この探訪オプションでは、この早尾地蔵尊堂を拝見しただけですが、「坂本六地蔵」の名称だけでもまずはリストアップしておきましょう。(資料2)

1. 早尾地蔵尊                       坂本4丁目
2. 阿波羅屋地蔵尊 江若バス日吉台線団地口下車すぐ    平和堂坂本店駐車場脇
3. 苗鹿地蔵尊   江若バス堅田駅行苗鹿下車、徒歩5分   法光寺の境内
4. 比叡辻地蔵尊  江若バス堅田駅行比叡辻下車、徒歩5分
5. 穴太地蔵尊   京阪電車石坂線穴太駅下車、徒歩3分   三叉路の辻
6. 明良地蔵尊   京阪電車石坂線坂本駅下車、徒歩3分   坂本3丁目

これら六地蔵は、最澄自作と伝わっているようです。
「かくれんぼう地蔵尊」(早尾地蔵尊)の文字の上には、「傳教大師御自作」及び「慈摂大師本地」とあります。

         早尾地蔵尊は、別名・六角地蔵堂です。六角形で正面は唐破風。  
  屋根上の鬼板

正面には、御詠歌の扁額が掛けられています。

 伝教の 彫みおかれし 石地蔵 姿をかへて 出(いで)し真盛     と読めそうです

  尚、駒札は「伝教の彫みおかれし石地蔵 姿を変えて出ずる真盛」と記します。

この御詠歌の前には、「慈摂大師廿五霊場第四番六角堂」と記されています。
慈摂大師は、西教寺・天台真盛宗の開祖・真盛上人の諡号です。この御詠歌が「かくれんぼう地蔵尊」の別名に関係するのです。

というのは、真盛上人が生まれた嘉吉3年(1443)にこの地蔵尊が姿を消し、真盛上人が入滅された明応4年(1495)に再び姿を現されたという伝承があるのです。この地蔵の生まれ変わりが真盛上人という次第。お地蔵様は真盛であった間、その背後に隠れていたという意味でしょう。そこから、慈摂大師本地という表現が出てくるのでしょう。
 
              
堂内を拝見すると、中央に地蔵尊が祀られ、両側壁面はびっしりとミニチュアの地蔵尊が奉納されています。壮観です。

右手を上げて印を結び、左手には如意宝珠を持たれた立像です。花崗岩に浮き彫りされていて、像高は1.3mだそうです。
最澄は童子のすこやかな成長に心を注ぎつつこの像を彫られたという伝承から「子育て地蔵」とも。「頭の病、安産、子育て」に霊験があると信仰されています。
                
早尾地蔵尊の前の通りを下ると、広場の奧に、「旧竹林院」があります。

「竹林院」は延暦寺で高齢となった後、修行から退いた老僧が住んだ隠居住まいの里坊でした。明治初年に民間の手に渡り、個人の別邸となり里坊ではなくなりました。そのため「旧」という字を冠しているようです。広大な庭園があり、国指定名勝庭園となっているのです。午後5時までの拝観なので、あまりゆっくりと拝見する時間がありません。今回はパスしました。

上掲マップの「恵林院」「実蔵院」「寿量院」は非公開のようです。後に回して、拝見できた「律院」のご紹介を先に致します。
 「律院」山門


山門の屋根には、両端に獅子像の飾り瓦が置かれ、その内側左右に口許が阿形・吽形の鬼瓦が置かれています。
         
                 山門をくぐり、左の石畳の参道を進みます。
 
 
山門もこの屋根も軒丸瓦の先端は菊紋の中央に輪宝が陽刻されています。獅子口の中央には松葉菱の中に橘のある紋様が見えます。獅子と鬼瓦の造形が山門とは少し異なっています。微妙な差異が結構おもしろいのです。
   
回り込み、直進すると、本堂が見えます。
          
ここの獅子の飾り瓦、獅子口も上掲の造形とはまた異なります。経の巻のところが花に置き換えられています。大概は経巻の側面のように丸い輪の形なのですが、これはちょっとめずらしい気がします。
3863,3867
正面、向拝の頭貫の木鼻の象は、牙が片方に2本出ています。延暦寺で見た先が分かれた形とはまた違います。ここの木鼻も象の頭の上に斗が載った形です。
蟇股は龍の透かし彫り。龍の髭が別に取りつけられている感じです。

台座に「大行満祖賢和尚像」という銘板が取り付けられた僧の銅像が建立され、その右手に祖賢和尚の経歴説明碑が設置されています。

祖賢和尚は、昭和21年9月、第2次世界大戦直後に、比叡山での千日回峰行を満行された天台宗の僧侶です。「大行満」とは「行位」を意味するそうです。
昭和26年(1951)に叡南覚誠師の養子となって、稲田祖賢から叡南祖賢に改称されたとのこと。
稲田祖賢和尚は、横川・飯室谷の安楽律院の管領を勤められていたのですが、そこが昭和24年(1949年)に火災で焼失。比叡山横川の総里坊だった松禅院がかつては現在地にあったそうですが、大正以降に民間の所有になった後荒廃していたそうです。そこで、この地に昭和24年(1949)「律院」を創建されたのです。寺号「律院」は「安楽律院」に由来するようです。(資料3,4,5)

「松禅院」といえば、西塔でみた草野天平という詩人と結びついてきます。律院のところが松禅院だったとは・・・。当日境内を訪れたときには全く無知でした。
 
そこから少し離れた右隣りに、「祖師堂」があります。


そのさらに先にあるのが、不動明王を祀るお堂です。
ここで行われる護摩焚きの法要が有名なようです。律院についてネット検索していて、この護摩焚き法要について記されている多くのブログ記事を読ませていただきました。熱心な信仰心篤い多くの人々が参集されているようです。

現在の律院のご住職は叡南(内海)俊照阿闍梨。祖賢和尚の孫にあたる方で、戦後8人目の阿闍梨だとか。
  
  このお堂の鬼瓦  
 
               再び、山門の正面の建物の屋根を側面から眺めて

次回、最後に非公開と思われる里坊の表門の拝見で終わりにしたいと思います。

つづく

参照資料
1) 「おおつ観光ようこそマップ ~比叡山坂本編~」 
2) 坂本の六地蔵  大津の歴史データベース :「大津市歴史博物館」
3) 叡南祖賢  :ウィキペディア
4) 律院 滋賀の神社・仏閣  :「京都の神社・仏閣」
5) 天台宗総本山 比叡山延暦寺一山 比叡山麓 律院  :「OVER-REV.JP」

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
阿闍梨  :ウィキペディア
千日回峰行 → 延暦寺  :ウィキペディア
千日回峰行、赤山苦行のお寺  :「赤山禅院」
君は比叡山延暦寺の荒行「千日回峰行」を知っているか?  :「NAVERまとめ」
律院情報
  矢田勝美さんyokokarenさんCOSMETICSさんの各ブログ記事です。

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


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Last updated  2017.04.23 21:55:54
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