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カテゴリ:観照
このマンホールのふたの中心のマークは京田辺市の市章です。 「京田辺の田の文字をかたどり、丸い円は市民の融和を意味し、横に突き出た部分は無限にのびゆく京田辺市を表現したものである」(昭和37年6月28日制定)と言います。 この汚水ふたには、「きょうたなべ」と市名が刻まれています。 京田辺市は古くから南山城の交通の要衝の地に立地します。西には生駒山系に連なる甘南備山があり、東には木津川が流れています。 1906(明治39)年の町制施行により田辺村が田辺町になり、1951(昭和26)年に隣接する大住村、三山木村、草内村、普賢寺村が編入・統合され、田辺町域が拡大します。日本の高度経済成長期を通じ、この地域でも大規模な住宅地開発や交通網の整備が進展します。さらに、1986(昭和61)年には、文化・学術・研究の一大集積地、関西文化学術研究都市の一角であるこの地に同志社大学のキャンパスが開校されました(資料2)。また、同志社女子大学のキャンパス及び同志社中・高校も開校されています。地図を見ますと、一例として、同志社山手という区域・地名もできる位になっています。人口増加と都市化が進む中で、1997(平成9)年4月1日に市制が施行され、京田辺市が誕生しました。 つまり、町章が市制施行により市章として継承されているということになります。 小さめのサイズのこのふたも目にとまりました。 京田辺市の市の木は「なんきんはぜ」[1967(昭和42)年11月1日制定]、市の花は「ひらどつつじ」[1969(昭和47)年6月16日制定]です。市の木、花はともに田辺町時代からそのまま継承されています。 冒頭の汚水ふたと花のデザインを少し変え、市名の代わりに、市の花の名称「ひらどつつじ」が陰刻されています。対比的に見ますと、葉の表現が変化し、帯状の外周円の幅も変化しています。 電線の影が映っていますが、このカラー版のふたを見つけました。 やはり、この方がひらどつつじが鮮やかに目に飛び込んできます。 脇道に逸れます。「ひらどつつじ」という名称に関心を抱きネット検索しますと、やはり原産地は長崎県平戸市ですね。 「長崎県平戸市で栽培されていたケラマツツジを主な親として、リュウキュウツツジ、モチツツジ、キシツツジなどが自然交配と実生を繰り返してできたツツジを、まとめてヒラドツツジと呼びます。丈夫で刈り込みに耐え芽吹きが良いことから、公園や街路樹などにもよく利用されています。」(資料3)とのこと。 ひらどつつじの開花期は4~5月で、5月上旬頃が最も見頃だと言います。 ツツジ全般の花言葉は「節度」「慎み」であり、赤いツツジは「恋の喜び」、白いツツジは「初恋」だとか。(資料4) 元に戻ります。 京田辺市では、この花が「市の気候風土に適し、木が強く花弁も大きく美しいところから、のびゆく市にふさわしいもの」として制定されたそうです。(資料1) もう一つ、このデザインのふたが目にとまりました。同様に「汚水」ふたですが、1985という数字が刻まれています。常識的に受けとめれば年号であり、田辺町時代に敷設されたものと推測します。 この幾何学的デザインのふたなら、どこの市町でも使えますね。 デザインの異なる「仕切弁」のふたです。方向を示す矢線が刻されているという共通点があります。 「バルブ」と刻されていますが、こちらも仕切弁ではないかと推測します。 こちらは中央左側の八角形の窪みの中に、矢印が刻まれています。下部の図柄はこれもひらどつつじでしょう。 中央に「消火栓」と陰刻されてオレンジ色に塗り込め、周囲を黄色く塗ってあるのは目につきやすくするためでしょう。おまけにふたの周囲を太く四角く黄色の線で囲ってあります。 マンホールのふたから読み取れるのはこれくらいです。 序でに、市の木「なんきんはぜ」です。調べてみますと、「名前のとおり中国の中南部を原産地とし、種から蝋を採る有用樹として江戸時代に長崎を経由して日本へやってきた。『ハゼ』との名はあるがウルシ科のハゼとは別もので、樹液に触れてもかぶれることはない。」(資料5)とのこと。「『ハゼと同じように蝋が採取できる中国の木』という意味合いでナンキンハゼと命名されたという説、紅葉が埴輪の色に似ているため、埴輪を作る埴師(はにし)にちなんで命名されたという説がある。」(資料5)という説明もあります。 京田辺市のホームページには、「京都の南部に位置する市にふさわしい木として、紅葉の美しい「南京はぜ」を選びました。木の強さはのびゆく市にふさわしいものです」と説明してあります。 「南京」を掛詞流に京都の南という意味に解し、位置関係でとらえたということでしょうね。 調べてみましたが、南京はぜが名所になっているところは特になさそうです。しかし、「虚空藏谷川の桜並木」というソメイヨシノが約700mに渡り咲き乱れるところがあるようです。(資料6) これで終わります。 ご覧いただきありがとうございます。 参照資料 1) 市のプロフィール :「京田辺市」 2) 京田辺校地 :「同志社大学」 3) ヒラドツツジ(平戸ツツジ)とは?開花時期や樹高など特徴をご紹介!:「BOTANICA」 4) ツツジの花言葉 :「花言葉-由来」 5) ナンキンハゼ :「庭木図鑑植木ペディア」 6) 虚空藏谷川の桜並木 :「京田辺道中記」 補遺 けいはんな学研都市とは :「関西文化学術研究都市推進機構」 けいはんな学研都市の構成・規模 ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) こちらもご覧いただけるとうれしいです。 マンホールのふた見聞考 ウォッチング掲載記事一覧 探訪 京都・京田辺 松井・大住を歩く -1 天神社、仲谷古墳群、女谷・荒坂横穴群、松井横穴墓群 4回のシリーズでご紹介しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.02.22 17:27:47
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