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2018年10月06日
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カテゴリ:日頃
ヨーロッパかスラブ系のどこかの国のバスの中。

財布もパスケースを兼ねたスマートフォンもなくし、私はみっともなくあたふたとしていた。

仕方なく運転手に、無理な英語で状況を訴える。

白髪のおじさんは、その顔の皺に怪訝な表情を浮かべて異国の言葉を話した。

おそらくロシア語か何か、一般の日本人には英語以外の言語としか理解できないものだった。

私の不安はより暗く、濃くなり、顔を歪めさせた。

黙って元の席に戻り、肩を落として膝を眺めた。

どれくらいの時間が経ったろう。

窓の外は夜の闇に染まっていた。

追い詰められているときには、とことん運命に追い討ちをかけられる。

私は何もかもを諦めて、目を閉じた。


次に意識を取り戻した時、私は暗闇の中で何者かに目を縛られ、拘束され、手足を引かれていた。

大量の人間が、理解できない呪文のような言葉を詠唱し続ける音だけが鼓膜を、身体を揺らす。

冷静に聴けば、きっとこれは日本語で、それは本来家のような温もりをもたらすはずなのに。

しばらく歩いた先で私は目隠しをはずされた。

何万人と収容できそうな広大なホール。

「これを着て、そこに座りなさい」

はっきりとした日本語でそう言われ、袈裟を渡された。

映画館のようなゆったりとしたソファに私は座らされ、今度はアイマスクで視界を覆われた。

アイマスクの向こうから、映像の光のみが届いたり届かなかったり、それが断絶的に不快感を与えてくる。

映像の向こうからは不気味な呪文をリードする指導者のような声。

一声の後、蠢く集団が追随する。

私の中からも知るはずのない不気味な呪文がゆっくりと溢れ出て来る。

口が自然と動き始めた。

私は涙を湛えながら、宇宙のような言葉に口を震わせた。

不快感を詰め合わせたようなコンテキスト。

だんだんと、その不快の源泉となる目が、視力を失っていくように感じた。



こんな夢を見るのは、終わっていると思った。





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最終更新日  2018年10月06日 09時54分48秒
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