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昨日の日記のつづき
麻酔と言っても意識はしっかりしていたし、すっかり麻酔も効いて痛みもかなり緩和していたので精神的な余裕があった。 手術台から見える丸いライトはテレビと一緒だなとか思った。 ライトに写る赤い部分がメスを入れられている箇所だと分かったが、全く感覚が無いのでまるで、他人事のように手術をしている箇所を眺めていた。 「もう大丈夫だ、やはり虫垂炎だったよ、でも盲腸が破裂して腹膜炎を起こしていたようだね」 「破裂ですか・・・」 「どうする、自分の盲腸見てみる?」 見てみるかと言われると見てみたくなるものだ。 僕の体から切り取られた盲腸は僕が知っている盲腸の形ではなく5センチほどの真っ赤に染まったゴムホースの端切れみたいな形をしていた。 「でも、よく我慢したね、相当痛かったはずだ、人間の痛みの中で内臓に穴が開くことと捻れることが一番痛いって言われてるんだよ」 なんだか、褒められているようで嬉しかった。 腸の中のものが繭のように丸い状態で内臓に溜まっていたので、内臓を洗浄することになり、術後、暫く患部に管を通しておかないといけないと言われてかなりグロテスクなことになっていたんだなと思ったが、あと1日手術が遅れて、繭が破れていたら3本は体に管を通すことになっていただろうと言われもっとグロテスクな状態になるとこだと思った。 因みに2日遅れていたら命の保証は無かったと言われた。 (あの雰囲気からするとジョークかもしれないが・・・) 結局、術後、20日間入院した。 期末試験は受けられず、オールナイトニッポンは聴くことが出来ず、タバコは吸えず、マージャンは出来ず、病院の食事は不味く、体重は10キロ落ちた。 退院の日、終業式を終えたマージャン仲間がお見舞いに来てくれた。 さすがに僕のことを良く知っている。 差し入れはもちろんアレだった。 笑わせようとするマージャン仲間に必死になって笑いをこらえながら味わうアレは格別だった。 マージャン仲間のNが笑いながら言った。 「時代が違っていたら死んでたかもな」 17歳の時、「死」を初めて意識した僕は「生」も同時に初めて意識したような気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.05.21 22:04:06
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