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あたふたあなくろクロニクル

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2009.10.20
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カテゴリ:一応正当日記風

蟄居中の身にとって、

唯一といってもいい楽しみ、

それはお風呂。温泉

そして本日も私は安らぎを求めて
風呂の湯ボタンを押したのでした。音符

そして一拍置いて(タメがあるよねあれね、ぜったい)
"シャーッ" "じゃーっ"みたいな音が出てきて、
それを聞きつつドアを閉める。

うちのお風呂のドアはよくある、いわゆる蛇腹式というか蛇腹の一枚分式というか、
ドアがたたまれたり開かれたりして開閉するやつです。

そのくもりガラスのドアを閉じた。

くもりガラスの向こうは…

風のなか、ではなくて(寺尾聰、なんて、若い方は知りませんよね…)

クモだった。

どくろ

どくろどくろどくろどくろどくろどくろ

気がつくとダイニングルームにいた(関係ないけど、こういうときどう表記するか考えますね。ダイニング、ねえ…)。こういうとき私はテレポーテーションが可能です。

くもりガラスから透けて見えた、紛れもないクモの姿。つーか、足。脚。肢。余計なアシ。

一瞬であれ、同じ室内にいたのかと思うと
どくろどくろどくろどくろどくろどくろどくろどくろどくろどくろ

そーやって、陰から見てたんだ。窺ってたんだ。だから嫌いなんだよ。

梅図かずおの漫画にあったような・・・ 天井の隅から、下のいたいけな女の子をじっと窺う蜘蛛。あれはすでに蜘蛛女なんだっけ?

「なに、クモけ」
(しつこいようだが”け”は疑問詞です。知られてない方言って面倒だよね)と、
いたいけな時代を知らぬわが母がゆっくり言った。

だがさすがは母である。わかっているのである。

「くも。」

と私は答えました。合言葉かクモは。

それにしても。

なんで? 

年を経て面の皮は厚くなっても、どうしてもここだけは厚くなれない。

なんで、

私の前に、

出てくるんですか!! 

あんまりだ。あんまりだわ。

私の泣きたい気分を察する気配もなく、
母はすでに箒とチラシ数枚を手に、ゆっくりと現場に向かっていた。食事

「掃除機、持ってくる…?」
いきなり小心者の私であった。

「ああ、そのほうがいいわ」と、振り向きもせずに母。

母は箒を掃除機の筒に換えてくもりガラスに近づいて行った。ぺんぎん

くもりガラスの向こうでは相変わらず"しゃー" "シュー"と湯が噴き出している音。

前かがみに、のしのしと獲物に近づいていく母。ゴジラのテーマが流れそうな…ぺんぎん(これはペンギンですけどね。まあ、ペンギンに似ていなくもない)

ここで、あの、『サイコ』の、有名な場面を思い出していただきたい。かちんこ

シャーッとシャワーの水音。くもりガラスと湯気の向こうにぼんやり浮かぶ美女の影。
そしてそこにシルエットになってかぶる、不気味な黒い影。その影が腕を振り上げる・・・・

ここではシャワーではなく湯船に噴き出す湯であり、
美女の代わりに 醜い(失礼、蜘蛛好きの人も世の中にはいるのだ)蜘蛛であり、
そして忍び寄る影はナイフではなく掃除機の筒を構えているのだが、
近づいていくのは偽物の老婆ではなく本物の老婆である。

がーーー。(電源を入れたのだ)

老婆が戸をあける。

娘、外に逃げる。

がーーー。の音に混じって、母の声。

「どこにいんの?」

「え、うそ、いない?」
――ここで新たな不安が。すでに犯人は逃亡したかもしれぬ。

「あ、いたいた」

がーーーー。

「入った入った」

「え、ほんと?」 すごい! 早業。

「たぶん・・・うん、入った入った」

す、すごい。さすが老母。

一件落着。
動物保護団体のために言うと、蜘蛛さんは吸われても生きてます。
これがびっくりなんだが、そーなんだよ。
以前にこれと同じ方法で捕獲を果たした母が、
「念のため」と、外に掃除機を持ち出してごみを捨てようとしたのである。

すると・・・

ささささっ、と

まさに梅図かずお大先生の描く蜘蛛女のごとく、
吸われたクモが逃げ出していったのだ。

いったのだ、と言っても、もちろんその場に私がいたわけじゃなく(冗談じゃない)、
母の報告によるものでありますが。

母は偉大だ。
持つべきものは母である。

あー、喧嘩してなくてよかった。。。 と思った娘であった。

だがここで一縷の不安が。

普通に考えれば、おそらく母は私より先にあちらの世界に行く。

あくまで「普通に考えれば」であって、
母自身も「普通ではない状態』があり得ることは頭のどこかにあるらしいが
(「どうなるかわからない」とか言っちゃうの、結構すごいよな)--
とにかく、通常の状態からすると、私はこの家で一人で暮らすことになるかもしれない。

その時私は、どうすればいいのであろうか。

『サイコ』みたいに母の即身仏おいといたら
母の根性が私に乗り移るかというと、
それはやはり怪しい。

これは由々しき老後問題である。

一人暮らしの時も私はなぜか蜘蛛に好かれどくろ

ある時には大家さんが、自分の背より高い箒と孫を連れて退治しにきてくれたり

ある時には友達が自分の背より高い虫取り網持って(ほんとです)やってきたりしてくれたが、

いくら友達だって、たがいに老人になったらわざわざ呼ぶには忍びない。

目が悪くなって、蜘蛛の存在も見えなければ問題ないのか。

そう、そうそう。つまりは、

!私の前に出てこないでいてくれたら、それで万事丸く収まるのです。

でなければ、百歩譲って、蜘蛛はすべからく巣を張り、そこだけで暮らしていてほしい。
あるいは蜘蛛はすべからく体調1センチ(むろん肢を含めてだ)以内にとどめてほしい。

さすれば無駄な殺生もなくなる。

私だって自然との共存を望んでおる。

だから出てくるな。

金輪際出てくるな。

とくにあの、想像するだに恐ろしい、手のひらサイズのクモ。

その無駄に多い肢。無駄に長い脚。

必要ないでしょうが。

ついでに言うと、その無駄に長い/多い、肢の同族の方々、
すなわちげじげじムカデヤスデの類の方々も、

出てくるな。出てくるな。私の前には出てくるな。

この季節、越前ガニ水揚げとかいうニュース、あるでしょ。あの映像ね、捕まったばかりのカニね。

・・・連想する。
似てるでしょ。。似てるよね、あの足ね。

しかし私、カニは嫌いではありません。

そもそもカニは目の前に出てきても、こっちに飛びかかってくる不安はないものね。

そしてこの晩私は、サイコの美女のようにおそれおののきながら、お風呂に入ったのでありました。

 

 






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Last updated  2009.12.01 13:05:26
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