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2010.01.06
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カテゴリ:雑記

これまたしつこく去年のやり残しなのだが…

脚本家の内舘牧子さんのエッセイにはときどき、いやしばしば、
「そうそう、ほんとにそう!」と、我が意を得たり、的気分にさせられることが多い。
たいていの場合それは日本語―変な日本語―にかかわることで

そのたびここでも書こうと思うのだが、つい書きそびれてそのままになっている。

去年の下書きにも「日本人的付加疑問文」というタイトルが残っていて、
これも内舘さんの文章を読んで思ったことのはずなのだが、
元の内容をはっきり思い出せないのである。自分の言いたいことはほぼわかっているのだが、
どうせなら敬意を表して紹介したかった。やはりその時にやっておかないと駄目なもんである。

だが動機がふたつ重なればやる気も増すというもので。
たまたま、去年の末に出た新年特大号週刊誌で、内舘さんが
井上陽水作「少年時代」をとりあげていた。
これを読んでいて、私は自分の犯していた間違いに気付いたのである。

年が明けてからわざわざ自分の間違いを知らせなくたっていいような気もするし、
その場で気づいていた人の記憶を蘇らせるのも愚かだとは思うのだが、

以前、種田陽平さんの新刊『どこか遠くへ』を紹介したときに、
ちらっとこの歌「少年時代」を出したのである。
流れとしては、"少年時代"というと夏祭りや輝く太陽や水遊びを連想するが、
陽平さんのこの絵本は違う、という、それを受けて、であった。

そしてこの本は、井上陽水の「少年時代」ではない、と書いたのである。(実はここで歌詞の引用も間違えていたのだが――つまり二重に間違えていたことになる――そこはいま、ひそかに消去しました。どう間違えていたかは内緒である。そのくらいは許してくれ。)

だがこれは訂正しなくてはいけない

考えてみれば井上陽水という方が、子供時代をすんなりと、「顧みるべき麗しい昔」と位置づけるはずもないのである。
40周年記念コンサート(内館さんも行ったらしい)でも、「これも皆様のおかげと思いまして、おりにふれ感謝などしてみたり」などと言う人だ。
そのシニカルがやはり好きなのである。

好きなのであるのに、なぜここで誤ったか。

映像だ。

種田氏も関わっている、その映像の力である。

この「少年時代」は、たしかCMで使われたはずだ。さらに映画にも。…また間違えると嫌だから検索してみたら、たしかに映画主題歌であり、CMには何度も使われている。…

それでバイアスがかかったのだ。やられた。

内舘さんはご自分の「勝手な解釈」としているが(そもそも詩は受け手が勝手に解釈してよいものだけど)、これはなるほどと思った。

つまり井上陽水「少年時代」は、"昔日の感傷を歌ったものではなく”、
"夢花火"であった八月のあと、"来るべき九月以後を歌ったもの”だというのである。

とするとこれはむしろ、種田氏の絵本と相反するどころか、むしろ通じるものではないか。

人生は花火みたいに儚かった、といつか思う日が来るはずだけど、
"まだ自分は八月の盛りにあり、「夢花火」が迫って来ない年代だと思っている”人の歌だ、と
内舘さんは書いている。"恐い歌詞”であると。

種田氏の『どこか遠くへ』にも、巻末に怖い言葉が引かれている。
――
「すべて君の見ているものはまもなく消滅してしまい、
    その消滅するところを見ている人間自身もまもなく消滅してしまう。」

少年時代は過ぎ去り、それを八月の花火だったと気づいたときにはその人自身も消えつつあり、
さらには、その人を見送った人も消えていく。

「少年時代」は暗くて怖かったのである。

***
種田陽平氏は今年も年明けから飛びまわるようであり、1月末からはロッテルダムで非常に面白いことをやるらしい。Taneda's Coolsingel Cubeなるもの。オランダに行かれる方はどうぞご覧ください…と言っても、この時期オランダに行ける人はあまりいないかもしれないが。
すでにHPに紹介されていると思うので、どうぞそちらをご覧ください。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 






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Last updated  2010.01.10 20:26:28
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